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創作関連

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短編小説のようなものからスマホで取った写真など。創作関連を集めたもの。更新頻度は不定期です。
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ウエディングドレス (創作)

【どこかにあるようなないようなそんな時間。    完結してるようなしてないようなそんな短いお話】 なんで現地集合にするかな、とタケルの提案に不満をもちながら試着会の会場へ向かう。 「すみません、予約している高山といいますが」という私の言葉に、どことなくぎこちない笑顔をするお店の方に疑問を感じながらもついていくと。 「こちらの部屋でございます」と案内された扉を開けると、ウエディングドレスを着た人が?! 「え?!は?何やってるの?」と素っ頓狂な声が出て歩み寄るとそこにはタ

いつかのあの日。(創作)

【どこかにあるようなないようなそんな時間。    完結してるようなしてないようなそんな話】 「あの時の緊急事態宣言はホント参ったよな~」とビール片手にタケルが言う。いきつけの居酒屋にいつものメンバーが揃う。 「俺なんて3か月丸々仕事なくてお先真っ暗って、この俺ですらメンタルやばかったもんな」と、当時のことを思い浮かべてか真一は大袈裟に身震いしながら話す。 「あ~、あの時お前からもう駄目だって死にそうな声で電話来たときは、こっちが焦ったさ。会ってやること出来ないし、金だっ

いつもの飲み屋で。(創作)

【どこかにあるようなないようなそんな時間。   完結してるようなしてないようなそんな話】 「何でそんなことされたのに、会えるんだよ。平気なのかよ?そいつはサキが傷ついたことすら気づいてないんだろ?」 「う~ん、そんな感じ」 ソーシャルディスタンスを忘れ始めた居酒屋で、タケルと飲むのが日課になっていた。 最初はこんな私の過去の恋愛の話なんてするつもりなんてなかったのに、 つい、というか、思わず、というか、耐えきれずにこぼしてしまった。 先月6年ぶりに連絡してきたアイツのせいで

気になる存在 2(創作)

【どこかにあるようなないようなそんな時間。         続くようで続かないお話 】 外からお店の中が少し見え暖色系の照明でどこか温もりが感じられ、お店全体が落ち着いているそんな雰囲気を漂わせていた。カウンター席がしっかりとしていそうな感じが気になり足が向いた。カランカランとドアベルが響くと、ちょっと怖そうながっしり体形のマスターらしき人がこちらを向いた。と同時に足が止まり心の中で「やめる?」と思った矢先にマスターの「こんばんは」という言葉とくしゃくしゃとした優しい笑顔に

気になる存在 1(創作)

【どこかにあるようなないようなそんな時間。    完結してるようなしてないようなそんな短いお話】 朝の出勤時間は普段より少し人が多くなる。しかし都会のど真ん中ではないので、いくぶんゆったりした時間が流れているように感じる。 「今日は久しぶりに晴れたな」そんなことを思いながら歩いていると、白い杖を顔より少し上に掲げて立っている女性がいた。どうしたんだ?と歩み寄ろうとしたら、駅の方から小柄な髪の長い女性が足早に駆け寄ってきた。 「どうしました?お手伝いしますよ?」と何の迷い