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ウィルスによる感染について問題発見の視点から考える(2)

(1)1. ウィルス(病原体)とは
(2)2. 感染源(ウィルス保有者)
(3)3. 感染媒体(感染経路)4. 被感染者
(4)5.どうする

2. 感染源(ウィルス保有者)

感染源となるのはウィルスに感染した所謂感染者である。そして、改めて感染とは、生物の体内もしくは表面に、より体積の小さいウィルス等の病原体が寄生し、増殖するようになること。従って初期の段階では病原体の数は少ないが、例えば、インフルエンザウィルスは1〜2日で108個にも増え、感染原因は、摂取するウィルス量が最も多い飛沫感染が主と考えられている。

インフルエンザでは、子供が学校で感染し、家庭内に持ち込むと言われている。確かに、小学校の低学年までは至近距離で会話し、飛沫を浴びることも多いと想像できる。その子供が帰宅し、家の中の至るモノに触れ、また家族と長時間密閉空間(特に冬はあまり換気しない)に滞在するので、どの感染経路からも感染する可能性は高い。

普通の風邪でも、この時期になれば、大人が感染することは稀だが、特に保育園で免疫力が弱い子供が感染し、家庭にウィルスを持ち込み、長時間濃厚接触することにより、親兄弟に感染が広がることがある。ウィルスが少なければ免疫のある大人は発病しないが、摂取するウィルス量が多くなれば発病することの根拠と言えよう。

尚、感染しても初期の段階で、病原体の数が少なければ症状が出ない場合もある。症状が出るのは、生体が異物を感知し、防御反応を起こすため。症状がでない潜伏期間中はウィルス量が少なく、生体が異物として検知していないか、排除するために免疫系が準備中と考えられる。

新型コロナウィルス (COVID-19、SARS-CoV-2)は、潜伏期間が平均5日程と長いが、それは増殖が遅いことを意味する。無症状者が感染させる可能性もあるとされているが、咳やくしゃみ等の飛沫を発生することもないので、排出するウィルス量は発症者より数桁少ないはずであり、摂取量が少なければ、仮にその様な感染源から感染しても免疫により排除できる可能性が高い。

無症状者から感染の確率が低いとしている例を以下に紹介する。

インフルエンザの不顕性感染者が感染源となる頻度

不顕性感染者がウィルスの高排出者であり,乾燥した環境下で,免疫力の低い感受性者が家族内のように比較的長時間,近距離で接触するような,特別な条件を備えた場合には感染が成立する可能性は否定できないが,現実的には感染が成立する場合は稀であると推測される。この点についてはインフルエンザの公衆衛生上の感染防止対策を考える上で重要であり,今後解決すべき研究課題である。

無症状者から感染少ない WHO「発熱・せき患者から拡大」

WHOは二日、新型コロナウィルス感染症では主に発熱やせきなどの症状を示した患者から他人に感染しており、症状が出ていない患者からの感染例は少ないとする研究結果を明らかにした。
WHOによると、感染経路としては、感染者のせきなどによる飛沫(ひまつ)感染や、ウィルスが付着したドアノブや手すりなどに触れた手で目や鼻などを触る接触感染がある。発症してから最初の三日間に、鼻やのどからのウィルスの排出が最も多いことが分かったという。
感染から発症までは平均五~六日の潜伏期間があるが、十四日間に上る例もあった。潜伏期間中に人にうつす可能性は否定できないとしながらも感染拡大の主な要因は発症した患者からと分析した。
また、感染しても症状が全く出なかったケースもあった。無症状の患者から他の人への感染はこれまで確認されていない。WHOは症状の有無にかかわらず、ウィルス検査で陽性となった人は感染者と定義している。


この様に、一言で感染源と言っても、ウィルス保有量の少ない無症状者から発症して自覚したばかりの軽症者、ウィルス量が最大になる発症者(医療で言う軽症者、重症者)に分類できる。そこで、感染源毎に感染媒体と被感染者の関係について表に整理した。尚、医療で言う症状の程度について、誤解が多いので、総務省消防庁の「平成30年版 救急救助の現況」を以下に示す。

傷病程度とは、救急隊が傷病者を医療機関に搬送し、初診時における医師の診断に基づき、次の5種類に分類している。傷病程度に基づく分類は次のとおりである。
(1) 死亡:初診時において死亡が確認されたものをいう。
(2) 重症(長期入院):傷病程度が3週間以上の入院加療を必要とするものをいう。
(3) 中等症(入院診療):傷病程度が重症または軽症以外のものをいう。
(4) 軽症(外来診療):傷病程度が入院加療を必要としないものをいう。
(5) その他:医師の診断がないもの及び傷病程度が判明しないもの、並びにその他の場所に搬送したものをいう。
なお、傷病程度は入院加療の必要程度を基準に区分しているため、骨折等で入院の必要はないが、通院による治療が必要な者は軽症として分類されている。

この中で軽症は範囲が広く、高熱で相当苦しくても通常入院が必要なければ軽症に該当する(新型コロナでは隔離のため入院)。

表 感染源と媒体、被感染者の関係表 感染源と媒体、被感染者の関係

新型コロナウィルスの場合、重症者は基本的に入院し、隔離されているので市中で一般の人を感染する感染源とはなりえない。無症状者も感染源となることを否定はできないとされているが、保有するウィルス量が少なく、細胞にしがみついているウィルスが呼気により排出されるとは考えにくい。仮に呼気と一緒に排出されるとしてもその量は少なく、感染経路も限られる。従って、ただの風邪で新型コロナに感染しているという自覚がない感染初期の軽症者が主な感染源と考えるのが妥当ではないか。

感染源は、ウィルスの保有量により感染力が異なると考えるのが妥当であり、無症状者が感染源となることは否定できず、誰もが被感染者になり得るが、可能性が高いのは、長時間濃厚接触する家族等に限られると推察できる。また、医療従事者等特殊な環境でない限り、重症者と接触することはなく、感染源は風邪症状を自覚し始めた感染初期の者が主と考えるのが妥当。

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