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何度も辛い過去を思い出さなくてもいい

昨日と今日、体調が悪くて会社を休んだ。4日ほど前から少し希死念慮があって、微熱もあった。双極性障害なので、体調に波があるのは当たり前だし、冷静にとらえている。

ただ、一個だけ気になったのは、体調が悪くなるたび、過去に嫌だったこと、辛かったことを思い出してしまうということ。私の場合、会社でパワハラにあったことや、母親から長年、父親や義祖母の愚痴を言われ続けたことなど。

その度、フラッシュバックのような感じで、嫌な気持ちが蘇ってしまうので、余計に体調が悪くなる。まさしく二次被害だ。

ただ、これには自分にも原因があることがわかった。きっと体調が悪くなったことや、それで会社を休んだことに罪悪感があって、その罪悪感を消すために、「自分が辛い体験をしたんだから仕方ない」というロジックを持ち出そうとしていたのかもしれないと、そう思った。

冷静に考えれば、普通に生きていれば、体調が悪くなることもあるし、それで会社を休んだとしても仕方ない。それに対して罪悪感を感じているということは、「体調が悪くなってはいけない」「体調悪くても会社を休んではいけない」という考えが頭にあるからなのではないだろうか。だから、わざわざそれが許されるような理屈を外側から引っ張ってくる必要があったのではないだろうか。

思い返せば、会社を休職しているときは、毎日のように、自分がされた嫌なことや、理不尽な体験を思い出していた。もちろん、治療のために過去の体験を振り返ることは、時には必要かもしれない。ただ、それとは違う意味合いで、過去の辛かったことを思い出すことは、自分が何度も傷つく事になってしまうので、悪影響の方が大きい。

確かに会社を休職することは、罪悪感が凄まじい。その辛さは、休職経験がある人にしかわからない。社会からドロップアウトしてしまう恐怖、周りに迷惑をかけたという罪悪感、金銭的に不安定になることの不安感、周りから悪く思われているかもしれないと疑心暗鬼することの辛さ。人生を台無しにしてしまったように感じられ、24時間自分を責め続けるから、睡眠薬無しでは寝られなくなる。

だから、その罪悪感を消したいから、自分を責めたくないから、自分を守りたいから、「こんな辛いことがあったんだから、休職しても仕方ないじゃないか」と思いたいがために、過去の辛いことを何度も何度も思い出してしまう。そして、その原因となった人や環境を恨み、その怒りで余計に体力を消耗する。

ただ、冷静になって考えると、そもそも、その罪悪感を感じる必要なんてないはずだ。問題は、体調を崩したり、会社を休職することを、悪いことだと思っていることにあるのではないだろうか。自分は体調を崩さないし、会社を休職なんてしないと、何となく信じてきたプライドのようなものがあったのではないだろうか。

だから、そのプライドを守るためには、そうせざるを得なかった理由、つまりそれに足る辛い経験が必要だった。私自身もそうだった。この会社では2度と出世もできないし、休職期間中お金がなくて借金もした。プライドなんかズタボロだ。だから、それを「仕方ない」と思えるような理由がないと、あまりに辛かった。

ただ、そういった、過去の辛い出来事を思い出して、それを理由に罪悪感を消そうとする行動習慣は、結果的に、自分を苦しめることになる。思い出さない方がいいこともある。辛いことは、そっと心の中の物置にしまっておけばいい。

だから、そもそも罪悪感を感じなくてもいいということを、自分に言い聞かせる方が大事だ。生きていれば、体調が悪くなることもあるし、休職することもあるさ。失敗や挫折だって何万回もするのが人生だ。だから、罪悪感なんか感じなくてもいい。もちろん、運がいい人も世の中にはいる。そんな人を羨ましくなるときもある。自分よりも立派な人はたくさんいて、自分のことがちっぽけに感じることもある。それでも、与えられた環境で、少しでも自分の力で変えられることに集中して、少しでも人生が楽しくなるようにするしかないし、ある意味、それが全てだ。

好きな仕事をして、好きなコーヒーを飲んで、好きな歯磨き粉で歯を磨いて、好きな漫画を読んで、好きなペットと遊んで、好きな料理をたべて、そうやって日々を作っていくこと。それが全てだ。ちょっとずつでいいから、人生が快適になるように、部屋をリフォームする感覚で、好きなように人生を作っていけばいい。そして、それを許すための免罪符なんかいらない。おぎゃーと産まれたときから、みな平等にその権利をもっている。また、生きていれば失敗なんか無限にするし、挫折したり、方向転換したり、腐ったりすることもあるだろう。

だから、幸せになるために条件なんかいらないし、何かに挫折したり失敗する度に、罪悪感なんか感じなくてもいい。その度に、わざわざ辛かった記憶を思い出したりしなくてもいい。

これからも、私自身、そうやって自分に言い聞かせて、辛い過去をなるべく思い出さなくていいようにしていきたい。

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