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肥料を知る!(基礎)~リン酸(P)・カリ(K)~

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今回も前回と同様、農業初心者や家庭菜園の方向けに肥料の基本についてのお話をしたいと思います。前回は窒素の話をしましたが、今回は3大肥料のうち窒素以外、つまりリン酸、カリについての話です。

〇肥料の3大要素
窒素とともに肥料の3大要素として名を連ねているのが「リン酸(P)」と「カリ(K)」です。 それぞれ植物の栽培における重要度は窒素に劣らず、必要とされる量も多くなります。よく市販されている肥料を見てみると「8-8-8」などと書かれていたりします。これは窒素(N)ーリン酸(P)ーカリ(K)はそれぞれ100g中に8gづつ含まれていることを示しています。

肥料の袋の表に3大要素の含有量がドーンと書かれていることからも、これら3つの肥料の重要性がわかると思います。

〇リン酸(P)の働きと特徴
リン酸(P)は細胞膜やDNAの成分で植物が活きていくためのエネルギーの受け渡しに関わっており、これが欠乏すると植物の生育はほぼストップしてしまいます。リン酸は一般に実肥と呼ばれ、花や実が育つ生殖成長期に多く必要となります。
リン酸肥料の必要量は窒素に比べれば少ないのですが 土の中でアルミニウムや鉄と結合しやすく、そうなるとほぼ 植物が吸収できなくなるので注意しなければなりません。カルシウムとも 結合しますが、その場合はかろうじて根から出る根酸によって溶かされ 吸収できます。
特に東日本の畑は 火山灰起源の黒っぽい土が多く、アルミニウムを多く含むため、リン酸が不足しがちです。こういう土には「く溶性肥料」といって、2%濃度のクエン酸に溶けるように工夫された肥料が効果的で熔成リン肥がこれにあたります。

※く溶性ってあまり聞かない言葉ですが、く溶性の「く」はクエン酸の「く」で、”クエン酸に溶ける”という意味です

この肥料は根が酸を出すことでゆっくりとけ土の中で 不溶化しにくい性質を持ちます。
リン酸肥料は リン鉱石を海外から100% 輸入して製造しています。今回のコロナ禍のように物流が止まってしまったりした場合には調達が不安視されています。現在、モロッコ、中国、ヨルダンからの輸入が多くなっています。また物流が止まるだけでなく、資源の保有国が輸出制限をすると価格は大幅に値上がりして農作物の生産費の上昇が問題になっています。
そのため下水汚泥 や鉄鋼スラグ から回収方法の開発など リン酸の効率的利用と循環を促進する取り組みが国や地方自治体、JAなどが主導して対策をしています。

肥料原料の輸入元


〇カリ(K)の働きと特徴

カリは細胞内の液胞に蓄積されており、植物の気孔の開閉や光合成産物の移動に関与しています。

カリは一般に「根肥」と呼ばれており、根の成長を促す、生育不良を改善させるという働きがあります。根が強くなると植物の株全体が丈夫になるので、全体的な効果をもたらします。

カリは 土の構成成分として大量に存在してはいるのですが、水に溶ける植物が利用できる状態のカリは多くありません。そのため 肥料として供給してあげる必要があります。
カリも リン酸と同様100% 海外産に頼っており、主にカナダからカリ鉱石を輸入しています。

今日は簡単ですがリン酸(P)、カリ(K)の話でした。


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