高温障害対策をしっかりと!(農業)
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。暑い日が続きますね・・・。
一般的にトマトの栽培適温は、日中は23℃~28℃、夜間は10℃~15℃で、きゅうりやナスでも栽培適温はだいたい同じような温度帯です。
しかし最近の気温を見てみると、もう全然このレベルではないことがわかりますよね。
上のグラフは気象庁が発表している大阪・枚方市の日の最高気温・最低気温ですが、夜間温度が日中の適温の水準になっており、日中の最高気温はそれより10℃近く高い水準になっています。こりゃ高温障害が出て当然ですよね。
●高温障害とは・・・
高温障害とは、気温が一定の高温を超えることで農作物が正常に成長できなくなる状態を指します。連日35℃以上の気温が続くと、作物の光合成能力が低下し、栄養供給が滞るなど、成長障害を引き起こします。この高温障害が発生すると、収穫量の減少や品質の低下がおこります。
高温障害の症状としては葉の表面が褐色になっている、果実の表面が茶色くなり硬くなっている、株が萎(しお)れているなどの症状が現れ、着果不良(花が落ちる)、果実の生育不良(奇形や退色、軟化)、糖度の低下(食味の低下)が起こり、農業の経営面で大きな打撃となってしまいます。
●高温障害の原因
高温によって障害が発生するメカニズムはとしては下記のことが言われています。
・植物は高温が続くと、「光合成能力の低下」「呼吸量の増加による消耗」「代謝の異常」によって生育が停滞します。
・高温が続くと野菜の葉からの水分蒸発量が増加します。同時に、根からの水分の吸収が追いつかず、「乾燥ストレス」を引き起こします。これにより、野菜全体の水分バランスが崩れ、生育不良や生理障害を引き起こすことがあります。
・高温が続くと土壌の乾燥状態となりやすくなります。土壌が乾燥状態では「水分不足」が要因となって、植物が萎れていきます。
・高温は、病害虫の活動を活発にし、その結果、野菜が病気や害虫の被害にさらされやすくなります。これは間接的に高温障害を促進する要因となります。
●高温障害予防のための対策
高温障害を回避するため、さまざまな対策が考えられています。
しかし、上記の対策の1については、栽培計画策定時点で高温に強い品種の選定が必要になります。今後も日本の夏は暑いということを念頭に置いて、品種選びが重要になります。また対策の2,3では、設備導入などが必要になりますので、こちらもすぐに対応できるものではなく、栽培計画策定時点で手配しておかなければなりません。
「今年の夏は暑かったから栽培がうまくいかなかったなあ。。」で終わらせず、おそらく今後も日本の夏は暑くなっていくものだと考えて、品種選びや必要な設備導入などを計画的にやっていきましょう。
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