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ハウス栽培では季節の変化への対策を! ② ~遮光~ 

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。だいぶん暖かくなってきましたね。前回の続きハウス栽培での高温対策についてお話したいと思います。まだ春になったばかりなのに、、、と一般の方は思うでしょうけど、ハウス内の日中温度は既に30℃近くになってきています。日本の夏はドンドン暑くなってきていますし、高温対策には設備投資が必要なモノもあるため、まだ春になったばかりですがこの時期からしっかりと夏に向けて対策を考えていく必要があります。
 
先日の記事と同じものですが、下記は3/31のハウス内温度と気温のグラフです。

3/31でハウス内の最高温度は既に29℃近くまでになっています。
朝夕は外気温とハウス内温度は同じくらいで推移していますが、太陽の光が当たるとハウス内温度は外気温に比べて非常に高くなっておることがわかります。
 
下記の表も前回の記事にも記載したものですが、ハウス内の暑熱対策としては以下の種類があります。 

今回は前回の続きで「遮光」のお話したいと思います。

〇遮光
当たり前ですが太陽の光が当たれば温度が上がります。夏の青天のひの屋外日射量は、およそ 1kW/㎡に達します。そこで遮光、つまり入ってくる光を遮ることでハウス内の温度上昇を抑えることができます。よりハウス内へ入ってくるの日射量が小さくなれば、その分、室温上昇は抑えられるということですね。

・遮光の方法 (外部遮光と内部遮光)
遮光は、内部遮光と外部遮光があります。内部遮光とはハウス内に遮光カーテンを設置することであり、外部遮光とはハウス外側の天井フィルムに、べたがけのようにカーテン資材を乗せて使用することです。
内部遮光はハウス内に入ってきた日射エネルギーをハウス内で遮断するため直接植物が日射エネルギーをあぶることはありませんが、ハウス内空気は温まってしまいますので、ハウス外部にカーテン資材をべたがけする外部遮光の方が高温抑制効果は大きいです。
しかし、外部遮光は取り外しが面倒なこと、強風・雨による破損などが考えられるため、一般的に葉内部遮光が採用されています。

(写真は内部遮光の例で㈱誠和のLSスクリーン:)

内部遮光は、保温カーテンとの兼用が一般的で、1 層遮光カーテンあるいは異なる遮光率資材を組み合わせた 2 層遮光カーテンなどがあります。遮光カーテンの利用では、全て閉めると天窓などからの換気が抑制され高温化するため、数 10 ㎝以上の開隙間を設けるのが一般的です。通常は遮光によって室温を外気温以下にすることは難しいです。ただし、遮光率が高く、温室内での蒸発散量が比較的多く、換気が多い条件であれば、室温を外気温なみに抑えることもできます。

・遮光被覆資材
日射(波長 280~3000nm)の波長区分別のエネルギーの割合は、紫外線(波長 280~380nm)が約5%、可視光線(波長 380~760nm)が約 50%、近赤外線(波長 760~3000nm)が約 45%です。光合成に使われる日射は可視光線部分なので、熱的な作用がおもである近赤外線はカットしても作物成育への支障はないとみていいので遮光被覆資材はとくに近赤外線のカットに力点をおかれていますが遮光被覆資材にもいろいろあります。

一般遮光資材といわれるものは全波長をを遮光するもので寒冷紗、あるいはアルミ編込資材などがあります。遮光率が大きいほど室温上昇は小さくなります。

アルミ編込タイプ

近赤外線カット被覆資材は作物の生育に必要な波長帯の光(波長およそ 300~800nm)を透過し、不要な近赤外部をカット(吸収または反射)する資材です。光合成に必要な光の波長帯は透過するため植物育成にはあまり影響を与えないため遮光用途としてはもっとも一般的なものとなっています。

近赤外線カットタイプ

それ以外に最近流行りなのが遮光用塗布剤(遮光剤・遮熱剤)です。外張資材への遮光用塗布剤の利用は、既存設備で解決できない場合に後付けで出来る数少ない対処方法です。温室内に設置された遮光カーテンでは、吸収日射熱が室内に放熱されます。これに対し、遮光剤は外張り資材への塗布となるので、そこでの吸収熱の多くが屋外に放熱されるので、遮光カーテンより昇温抑制効果の点からは有利です。

遮光用塗布剤

遮光用塗布剤には、全波長帯にわたり光を吸収・反射するタイプと近赤外部の反射率(または吸収率)を高めたタイプがあります。近赤外部の反射タイプは作物成育に不要な近赤外部の遮断効果が高いことから、遮熱剤と呼ばれています。

既存のハウスにも後付けで使用でき設備投資を伴わないので、遮光用塗布剤は非常に人気があります。商品の見た目がなにやら工業用品のようで恐ろし気に見えるのですが、安全性にも問題ないとのことで暑熱対策としては非常に広がっています。

ただしハウスの屋根に塗布するので動噴などの機材は必要になります。


今日は遮光についてのお話をしました。ぜひ早めに夏対策を検討していきましょう!

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