ハウス栽培では季節の変化への対策を! ①
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。だいぶん暖かくなってきましたね。季節の変わり目はハウス栽培でも栽培環境管理に気を使う時期です。外気温が温かくなってくるともちろんハウス内温度も高くなってきます。
下記のグラフは2024/3/31の大阪のある農家のハウス内温度と外気温の変化を表したものです。
3/31でハウス内の最高温度は既に29℃近くまでになっています。
日の出あたりからハウス内温度は外気温より急速に温度が上がり、12時~15時ごろまでは外気温より5℃近く温度が高くなりますね。
ハウス内温度は今の時期でこの温度ですし、最近の夏の暑さは異常ですので、ハウス栽培されている方はしっかりと暑熱対策をしていく必要があります。
今の時期から夏の暑熱対策を考えておかないとアッという間に夏がやってきますので。。。
ハウスの暑熱対策にはいろいろありますので、何回かに分けて紹介していきたいと思います。
暑熱対策では昼間と夜間で対策手段が異なります。昼間は換気を高めることが基本です。より積極的な手段としては「遮光」、「気化による冷却」の順番になります。
昼間と夜間で対策手段が異なるのは夜間に遮光しても効果は得られないですし、夜間は湿度が高くなりますので、その状態では水は気化しませんので細霧冷房やパット&ファンも効果が得られないということになります。
また暑熱対策の多くは、換気扇やカーテン、細霧冷房、ヒートポンプなどのようにハウス設備に依存するため、建設時に対策手段を決定し、組み込んでおく必要があります。ハウスを建設した後で追加で設備導入するとコスト高になる元ですから。
一方、設備投資を伴わない暑熱対策としては、遮光用の塗布剤利用や遮光被覆資材の張替えのタイミングでの種類変更くらいです。最近の流行りは塗布剤利用ですね!
〇換気について
日本の農業ハウスでは窓換気(自然換気)が全体の約 8 割強、換気扇による換気(強制換気)が 2 割弱らしいです。換気はもっとも基本となる暑熱対策ですが、仮にハウスにビニールなどの被覆資材を張らないで骨組みだけにするなど100%換気を行っても、当たり前ですが外気温より低くなることはありません。しかし締め切っていると暑くなるので換気効率が高ければ高いほどハウス内の温度は下がります。
換気によって暑熱対策の効果を高めるためには換気窓の面積を大きくすることが大事です。側窓などの面積を広げたり、天窓や谷換気窓の面積を広げることが換気効率を高めハウス内温度を低くすることができます。そのように考えると連棟ハウスはハウス全体における換気窓の面積割合は小さくなりますので換気割合が悪く暑熱対策には不向きで、単棟ハウスの方が換気の面から見れば“良い”ということができます。
〇ハウスの高軒高化について
高軒高のハウスは高温抑制の効果があります。温まった空気は上に上にと上昇するため軒高が高くなり天窓位置が高くなるほど高温抑制効果が促進されます。しかし高軒高のハウスは設備投資額が高くなります。
〇適切な防虫ネットを選ぶ
近年、病害虫対策として虫が入ってこないように目合の細かな防虫ネット(目合 0.4mm 前後)の利用が増えていますが、これが換気効率を低下させてハウス内の高温化の一因になっています。対策としては、天窓など高い位置に設置する窓はあまり虫が入ってこないと考えられるため、粗い目合のネットにしておき、側窓などの低い位置に設置する窓は細かい目合いのネットにするなどの対策が必要です。
長くなってきたので今日はこれくらいで・・・!
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