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野菜の味は保存で決まる!(農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。すくに食べるならいいのですが、ふつうの家庭ではは買ってきた野菜を冷蔵庫などで保存して使うのが一般的です。
実は収穫後の野菜は保存の仕方で味や品質が大きく変わってきます。せっかく手間ヒマかけて育てられたのですから、最も美味しい状態で食べたいものですね。野菜は収穫後も生きています。根を通じて養水分の吸収ができなくなりますが呼吸は続いているのです。呼吸ときくと酸素(O2)を吸って二酸化炭素(CO2)を吐き出すというイメージをする人が多いでしょう。実はこの時、植物は体内に蓄積した糖やアミノ酸 ・有機酸などの酸を分解し、生きるためのエネルギーを作っています。 呼吸が続けば糖と酸の消費も続きます。
収穫後の野菜は根からの養分補給が絶たれている状態ですから、野菜内部の糖や酸は失われる一方です。
家計で例えるなら収入がゼロになったのに支出ばかりが続いているようなもので、貯蓄はあっという間に減り、家計は火の車です。収穫後の野菜はまさにこの状態なのです。ここで重要なのは 植物内で消費される糖や酸が植物の風味を決定付ける成分であるということです。つまり呼吸が続けば 野菜の味はどんどん落ちていくのです。収穫後の野菜の呼吸量は温度が上がると増え、下がると低下します。つまり品質や鮮度を保つための鍵となるのは温度を低くして野菜の呼吸を抑え、糖・酸の消費をできるだけ抑えることなのです。収入がなくなったら節約してなるべく これまでの貯蓄を減らさないようにするのと同じです。

<蒸散を抑えて水分を保持>
呼吸と同じくらい管理はしたいのは収穫後も続く蒸散による水分の消失です。蒸散は葉だけでなく果実でも行われているのです。水分量が収穫時から5%減少すると見た目の劣化が明らかになり 品質が低下します。

<果菜類の収穫は朝に行う>
果菜類を収穫するなら朝❗
できれば早朝の気温が上がる前に行いましょう。 気温や果実の温度が上がると呼吸が活発になってしまうからです。野菜の体力が十分に回復している朝のうちに収穫してすぐに冷やせば 味も質も良い状態を保てます。
朝の収穫がよいもう一つの理由は、果実に糖が最も多い状態だからです。日中 、植物は光合成を行い、糖などの同化産物を生成して葉に蓄積します。ですから葉菜類は夕方以降の収穫が適しているのですが、蓄積された糖は夜になると果実など別の器官へ送られます(転流)。つまり 朝の果実は 葉から送られた糖でたっぷりと満たされているのです。

<収穫したらすぐに冷蔵庫へ>
果菜類を収穫したらすぐに冷蔵庫に入れ冷やすことが重要です。呼吸量が抑えられ、糖やアミノ酸などの消費を防げるからです。冷蔵庫で保存する際は ポリ袋に入れ蒸散による水分の消失を防いでください。2・3日の保存なら十分 に品質が保てます。ただしナスなど低い温度にさらされると低温障害を起こす野菜もあります。
やってしまいがちなのが 新聞紙に包んで冷蔵庫に入れる方法ですが、果菜類には不向きです。新聞紙に水分が吸い取られ乾燥が進むからです。必ずポリ袋に入れてください。

<とうもろこしは茎付きで糖度が上がる>
鮮度の落ちやすいトウモロコシは収穫後すぐに茹でるか冷やして保存するのが常識でした。ところが茎をつけて収穫・保存すると、常温でも 糖度が下がらないということがわかってきました。さらにいうと収穫時よりも糖度が上がるケースがあるようです。
方法は簡単で収穫時に剪定用のハサミなどで茎を3節つけて 50cm 程度に切り取るだけです。しかし茎から生えている葉は蒸散を続けているので残さずに切り落とします。茎付きの保存の場合、冷蔵せず常温25℃~30℃の屋内や日陰で立てておきます。例えばエアコンの効いた室内や台所の隅に置いておけば良いでしょう。真っ暗ではなく少し明るいところを選ぶこともポイントです 。ショ糖合成酵素は光によって活性化すると言われているからです。実験では8時間程度は 糖度が維持されることが確かめられています。つまり朝取れば夕食まで甘い状態が保たれるのです。

<じゃがいもは冷やして甘くする>
次にじゃがいも。保存は常温が当たり前なじゃがいもですが、 今年は騙されたと思って冷蔵庫で保存してみてください。低温糖化という現象によってでんぷんが糖に変わり、1ヶ月ほど経つと5℃だった糖度が10℃くらいまでなります。約2倍という驚きの甘さになるからです。凍らなければかなりの 低温にさらしても大丈夫です。糖化したじゃがいもはまず蒸して甘味をじっくり味わってみてください。電子レンジの加熱調理でも OK。甘みを生かしポテトサラダなどに使うといつもの料理が ひと味 変わります。


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