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米利上げ0.25%に減速 「継続的引き上げ」の声明は維持~インフレは収まるのか?~【日経新聞をより深く】

1.米利上げ0.25%に減速

米連邦準備理事会(FRB)は1日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決めた。利上げ幅は2会合連続で縮小し、通常のペースに戻った。同時に公表した声明文では政策金利の先行きについて「継続的な引き上げが適切」とした前回までの表現を維持し、利上げの停止時期がまだ先であることを示唆した。

利上げ幅は市場予想通りで、政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利は4.5〜4.75%となった。市場ではFRBが声明文のなかで今後さらに複数回の利上げがあることを前提とした「継続的な引き上げ」との表現を修正するとの見方が浮上していた。

2022年12月の前回会合でFOMC参加者が示した政策金利の到達点は中央値が5.1%だった。残り2回の利上げとなり、通常ペースなら5月会合で打ち止めになる計算だ。これに対し、金利先物市場は1日午前の段階で、次回の3月会合に1度だけ追加利上げをして最後にする可能性を7割近く織り込んでいた。

同日記者会見したFRBのパウエル議長は足元でインフレ率が低下しつつあることを歓迎しつつ、その傾向が続くかどうかについては慎重な見方を示した。特に家賃以外のサービス価格で上昇の勢いが鈍っていない点を問題視した。新型コロナウイルス禍からの回復局面は「従来の景気循環と異なる」と予想の難しさを強調した。

利上げペースを減速したのは、金融環境が十分に引き締まった領域に達しつつあるためだ。急ピッチで続けてきた利上げが時間差で実体経済や物価に及ぼす効果を見極めつつ、利上げの到達点を探る。その後はどこまで金融引き締めの状態を維持するかが焦点となる。パウエル氏は会見で「物価の動向が見通し通りなら、年内の利下げは適切ではない」と主張した。

22年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が6.5%となり、6カ月連続で鈍化した。高水準ながら6月につけた約40年ぶりの9.1%からは低下している。ここから高インフレが終息に向かうためには飲食店やレジャーなど幅広いサービス価格を押し上げる賃金の上昇が一服する必要があるが、企業の求人件数は依然として高水準で早期退職の増加による人手不足も深刻だ。

「深刻な景気後退を起こさずにインフレ率を2%に安定的に戻すことは可能だ」。パウエル氏は改めてこう強調した。ただ同時に「物価の安定には時間がかかる」とも繰り返した。ロシアによるウクライナ侵攻が原油価格の高騰を通じてインフレを加速させたように、リスク要因は米国の内外に多くある。

FRBは22年3月から利上げを開始した。利上げ幅は通常ペースの0.25%から5月には0.5%に拡大。6月には約27年ぶりに0.75%として11月まで4会合連続で続けた。12月に0.5%に減速し、今回の会合で0.25%に戻した。

FRBは21年11月から22年3月まで量的緩和の縮小(テーパリング)を実施し、6月からは米国債などの保有資産を圧縮する量的引き締め(QT)を始めている。QTについては利上げ停止後もペースを変えずに継続する見込みだ。

(出典:日経新聞2023年2月1日

2.インフレ収束への懸念材料

米国の失業率の低さは労働市場が以前として強いことを示しています。

(出典:TRADING ECONOMICS/米国失業率

米国の平均時給の上昇率も若干下がったものの、まだ高水準です。

(出典:TRADING ECONOMICS/米国平均時給

上記の記事はOPECプラスが原油減産を維持するというものですが、今年は世界的な景気悪化といわれていましたが、ここにきて世界景気は思ったほど落ち込まないという発表が相次ぎました。中国も年央以降は回復してくるともみられています。すると、原油価格を始めとするコモディティー価格の上昇が懸念されます。

3.戦争長期化もインフレ懸念

米国をはじめとする西側諸国の相次ぐウクライナへの戦車の提供が発表されています。ロシア側はNATO軍との戦いという受け止めを日に日に高めています。

また、ウクライナ側からロシア国内への攻撃も起きています。

米国はロシアが核軍縮を定めたニュースタート条約の条項に反したと非難しています。しかし、ロシア側はその前にウクライナ危機でワシントンがモスクワに介入したため、米ロ関係はおそらく史上最悪で改善の見込みはないと発表しています。

短期的に停戦、終戦が起こる見込みは薄く、これらもインフレ要因として懸念されます。

米国だけでなく欧州もインフレが低下傾向となっていますが、英国では賃金をめぐっての大規模ストライキが発生しているようです。インフレが生活が苦しい人が賃上げを求める。しかし、それはインフレ要因です。

インフレがどうなるかは、今後数か月の動向を見ていく必要があるのではないでしょうか。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】

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