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【日経新聞をより深く】3メガ銀の外債含み損4兆円 9月末、米金利上昇で急増~米金利上昇のリスク~

1.3メガ銀の外債含み損4兆円 9月末、米金利上昇で急増

国内の3メガバンクが保有する外国債券の含み損が今年9月末時点で計4兆円規模にのぼることが分かった。米金利上昇で債券価格が下落したためで6月末時点の2.6兆円強から3カ月で約5割増えた計算だ。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが続けば含み損の拡大が見込まれる。追加の損失処理に踏み切るかが焦点となりそうだ。

2022年4~9月期決算の連結純利益は計1兆円程度と前年同期から3割強減ったようだ。米地銀MUFGユニオンバンクの売却に伴い、同行が抱える債券の含み損などを三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が約6300億円計上する影響が大きい。

4兆円規模の外債含み損は開示されたデータをさかのぼれる15年3月末以降で最も多く、異例の規模だ。新たな資本規制に基づく健全性の指標で3メガは10~11%程度で安定するが、有価証券の含み損が膨らめば銀行の自己資本にも影を落としかねない。

インフレ封じを急ぐFRBが政策金利を大幅に引き上げ、米10年債利回りは6月末の3.01%から9月末に3.83%まで上昇した。各社は相場の急変動に備えるヘッジ取引を活用しており、三菱UFJとみずほFGでは含み損の実質的な影響額は5割前後にとどまるようだ。

各社は時価が簿価を大きく下回る外債の損失処理にも踏み切ったが、9月末時点までは限定的だったとみられる。年度末にかけ、追加の損失処理が必要か判断を迫られる可能性がある。

(出典:日経新聞2022年11月13日

国内の金利水準が低く、邦銀は運用のために米国債を大量に保有しています。債券は金利が上昇すれば、価格が下落します。そのため、米金利が上昇したことによって、含み損を抱えているということです。

2.3メガ外債保有残高

三菱UFJフィナンシャルグループのIR情報から保有外国債券の保有状況を見てみます。

(出典:三菱UFJフィナンシャルグループIR情報

1兆2,181億円の評価損が確認できます。

次にみずほフィナンシャルグループを確認します。

(出典:みずほフィナンシャルグループIR情報

4,313億円の評価損が確認できます。

三井住友フィナンシャルグループを確認しましょう。

(出典:三井住友フィナンシャルグループIR情報

7,296億円の評価損が確認できます。

上記の資料は第1四半期の資料であり、6月末現在です。そこからさらに米金利が上昇し、損失が拡大したものと思われます。

ちなみに以下の資料は農林中金のものです。外債かどうかはわかりませんが、債券で巨額の損失が出ています。国内の金利は上昇していませんから、価格の下落は起きていません。したがって、外債、特に米国債での含み損を想われます。三菱UFJフィナンシャルグループを超える1兆3,127億円の評価損が出ています。

(出典:農林中金IR情報

3.米金利上昇は国内の金融機関にも影響する。

米国の金利上昇は、上記のように国内の金融機関にも影響を及ぼします。ここでは3メガバンクと農林中金を確認しましたが、他にも運用難から多くの邦銀が米国債を保有しています。

体力のあるメガバンクは自己資本比率などにも問題はないかもしれませんが、体力のある金融機関ばかりが米国債を保有しているわけではありません。

FRBの金利上昇ペースは緩やかになるという観測はありますが、それでも上昇することには変わりありません。この先、金利上昇で米国債の含み損を抱える金融機関の損失処理が問題となってくるでしょう。

来年3月決算時にはどの程度になっているか。米国のインフレからくる金利上昇はこんなところにも影響しています。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】

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