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タッカー・カールソンのプーチン大統領へのインタビューを見て

ロシアのプーチン大統領とタッカー・カールソンのインタビューが公開されました。

多くの方が、日本語に翻訳されているので、ぜひそちらも見てください。必見です。
こちらのAlzhackerさんのHPに日本語全文訳が掲載されています。ただ、Alzhackerさんも書かれていますが、機械翻訳なので、その辺りは考慮して読んでみてください。

私も見て、公開された英文スクリプトも読んだのですが、自分で翻訳するのは、ちょっと大変です。2時間以上あるので。とはいえ、やはり自分でも翻訳は始めています。いつものように英文と日本文の対訳をしていこうとは思います。

プーチン大統領の見ている世界は、やはり、西側のメディアが報道していることとは全く違いました。

そして、プーチン大統領は、ウクライナへの特別軍事作戦が、決して、対立や領土拡張を目的としているわけではないことが分かります。

このタッカー・カールソンのプーチン大統領へのインタビューを見て、次のようなことを感じました。


1.プーチン大統領は歴史を深く理解し、長期的な視点を持つ指導者であること。

2.NATOを東方拡大しないという約束を破ったのは米国であり、ロシアは騙されたこと。そして、2014年からすでに戦争は始まっており、2022年2月からは戦争を止めるための作戦であること。

3.プーチン大統領は、米国、西側との交渉の用意はあるが、拒否しているのは西側であること。

4.ドルを武器化して、自滅しているのが米国であること。

5.中国は決して攻撃的な外交はしておらず、ロシアとは歴史的に関係が深い国と認識していること

6.BRICSやインドネシアが発展していくのは不可逆的な歴史の流れであること。そして、アメリカはすでに終わっていること。


1.プーチン大統領は歴史を深く理解し、長期的な視点を持つ指導者であること。
プーチン大統領はこのインタビューを、ロシアとウクライナの関係をロシアが国家として形成された862年から語り始めました。

そして、歴史的経緯としては、ロシアは、キエフとノヴゴロドの二つの中心に発展し始めたと話します。その後、東方キリスト教の採用からそれが一つとなり、中央集権的なロシア国家が始まっていったと。

この歴史認識の話は、この後、帝政ロシアの時代、第一次世界大戦、第二次世界大戦、その後と続きます。

また、このようにも話しています。「ウクライナでは人口の90%以上がロシア語を話していました。家族の絆、3分の1の人が何らかの家族や友情の絆を持っていたこと。共通の文化。共通の歴史、最後に、共通の信仰、何世紀にもわたる単一国家との共存、そして深く相互に結びついた経済」。

プーチン大統領の歴史認識に、タッカー・カールソンは「百科事典みたいに詳しい」と表現する場面がありますが、本当に詳しく、かつ資料を元に歴史を重要視していることが分かります。

そして、インタビューの最終部分ですが、西側は現実的であり、それが科学や産業の発展をもたらしたが、ロシア人は「もっと永遠について、道徳的価値について考えます」と語ります。

ここに西洋文化とは違うロシアの文化や価値観を感じます。どちらがいいとか、悪いとかではなく、「全く違う」ということです。

こうした歴史的背景を深く認識しているリーダーがどれだけ西側にいるか?日本にいるか?

プーチン大統領の話の内容を知ると、時間の軸が非常に長く、深く世界を考察していることを感じます。

2.NATOを東方拡大しないという約束を破ったのは米国であり、ロシアは騙されたこと。
「1991年以降、ロシアが文明国の兄弟的な家族に迎えられると期待した時、このようなことは何も起こらなかった」

そう、プーチン大統領は語り、続けて、「あなた方は、私たちを騙したのです」と話しました。そして、話は続きます。

「もちろん米国のことです。NATOは東方には拡大しないという約束でした。しかし、それは5回起こりました。5回の拡張の波がありました。私たちはそれをすべて容認しました。私たちは彼らを説得しようとしていました。やめてくれ、と」。

やはり、プーチン大統領は、NATOの東方拡大については「騙された」と語っています。さらに、2014年にはウクライナでクーデターがあったとも話します。親露であったヤヌコビッチ政権を米国主導のクーデターで倒し、クーデターを支持しない人々を迫害し始めた、と。

そして、ウクライナ政権はドンバスで民間人に対する航空機や大砲の使用による戦争が始まった、と。

さらに、次のように語ります。

「これがすべての始まりです。ドネツクを上空から攻撃する航空機の映像があります。彼らは大規模な軍事作戦を開始しました。そしてまた別の作戦。失敗すると、次の作戦の準備を始めました。これらすべては、この領土の軍事的発展とNATOの門戸開放を背景にしています。」

「では、なぜクーデター?なぜ犠牲者が?なぜクリミアを脅すのか?なぜドンバスで作戦を?私には理解できません。それこそが誤算です。CIAはクーデターを完成させるために仕事をしました。国務副長官の一人が、多額の費用がかかったと言ったと思います。ほぼ50億。」

「現在のウクライナの指導部、外務大臣、その他すべての高官、そして当時の大統領自身は、ミンスク合意については何も好きではないと言いました。つまり、履行するつもりはなかったのです。1年か1年半前、ドイツとフランスの前指導者たちは、ミンスク合意には確かに署名したが、それを履行するつもりはなく、単に私たちを鼻であしらうだけだと公然と述べました。」

※ミンスク合意は1、2とあり、ウクライナ、ロシア、ドイツ、フランスでドンバス地方での戦争の停止を協定したもの。その場にいた当時のドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領が、守るつもりのない合意だったことを自身から話している。

「2014年に戦争を始めたのは彼らです。私たちの目標はこの戦争を止めることです。2022年に戦争を始めたわけではありません。これは戦争を止めるための試みです。」

このようにプーチン大統領は、NATO東方拡大からミンスク合意の茶番劇、そして、2014年から当時のウクライナ政権がドンバス地方に攻撃をし始めたことに対する、防衛として特別軍事作戦を始めたことを語りました。

ここは、非常に重要な部分です。以下に、2022年5月23日の日経新聞の記事を引用します。

ただロシアのドンバス侵略は資源が狙いではない。プーチン大統領は2月、侵攻直前のテレビ演説で「8年間、ウクライナ政権の嘲りとジェノサイド(大量虐殺)に遭ってきた」ロシア系住民の擁護が目的と語った。

ドンバスでは8年前の2014年、ロシアが扇動したとされるロシア系住民の暴動が発生。ウクライナ軍と親ロ派武装勢力の泥沼の戦闘となり、ロシアも軍事介入した。ドイツ、フランスが仲介した和平合意(ミンスク合意)締結後も、散発的な戦闘が続いた。犠牲者の総数は1万4000人を超える。

ミンスク合意はドンバスに高度の自治権を付与すると定めたが、ウクライナ政府は履行していない。一方、国際機関はロシアが主張するロシア系住民へのジェノサイドを認めていない。米国務省は「侵攻の口実づくり」のデマ情報と断じる。

2022年5月23日の日経新聞

主張は真っ向から対立しています。さて、どちらが正解なのでしょうか。ミンク合意を破った当事者のドイツ元首相のメルケル氏、フランス元首相のオランド氏は、「ミンスク合意は守るつもりはない合意だった」と発言しています。つまり、騙した、と。

3.プーチン大統領は、米国、西側との交渉の用意はあるが、拒否しているのは西側であること。
プーチン大統領は、一度はトルコのイスタンブールで合意した停戦協定を当時の英国首相のジョンソン氏がやってきて、破棄させたと語ります。

そして、これは、元ドイツ首相のシュレイダー氏が公にしています。

戦争は1年半前に終わっていたはずなのに、それを拒否したのは、西側だということです。

ロシアは交渉の用意はあるし、戦争はすぐに終わる、それは「西側が武器の供給を止めることだ」と言います。ロシアは特に領土を欲しているわけではないことも明らかです。

この戦争を長引かせ、戦争を継続させたいと願っているのは、米国であり、西側であることはプーチン大統領の言葉と起きている事実の整合性から見ると、明らかです。

さらに、戦争を終わらせることは簡単であり、それはNATO加盟国が武器の供給を止めることです。プーチン大統領はそれが実行されれば、戦争は終わると言っています。

トランプ前大統領が自分が大統領だったら、24時間以内に戦争は終わると発言していることもわかります。

戦争が長引く原因は、NATOの武器供給です。

4.ドルを武器化して、自滅しているのが米国であること。
米国がロシアに対する制裁を行い、それによって、自滅しているとプーチン大統領は語ります。

「ドルを外交闘争の道具として使うことは、アメリカの政治指導部が犯した最大の戦略的過ちの一つです。」

「米国のインフレはごくわずかです。アメリカのインフレ率は3%か3.4%で、これはアメリカにとってまったく許容範囲だと思います。しかし、彼らは印刷を止めようとしません。33兆ドルの負債は何を物語っているのでしょうか?」

「政治指導者が米ドルを政治闘争の道具として使うことを決めたとたん、このアメリカの力に打撃が与えられました。強い言葉は使いたくありませんが、これは愚かな行為であり、重大な過ちです。世界で起こっていることを見てください。

アメリカの同盟国でさえ、ドル準備を縮小しています。それを見て、誰もが自分たちを守る方法を探し始めるのです。しかし、米国が特定の国に対して、取引制限や資産凍結などの制限的な措置を取ることは、重大な懸念を引き起こし、全世界にシグナルを送ることになります。」

「2022年まで、ロシアの対外貿易取引の約80%は米ドルとユーロで行われていました。米ドルは第三国との取引の約50%を占めていました。しかし、現在は13%にまで減少しています。米ドルの使用を禁止したのは私たちではありません。そのような意図はありませんでした。米ドルでの取引を制限したのはアメリカの決定です。」

米国がドルを武器化するという過ちを犯したのは、おそらく「自惚れ」からくるのだろう、と語ります。

そして、ロシアにドルを排除しようとした意図はなく、ウクライナ戦争前まではドルを主に利用しており、ドルの使用からロシアを排除したのは米国です。排除されたロシアは当然、自国の防衛のために、ドル以外の通貨で貿易を行います。

そうした国家がとる自然の流れを強引に止めることができると考えたのは、米国の自惚れという指摘は図星だと言えます。

5.中国は決して攻撃的な外交はしておらず、ロシアとは歴史的に関係が深い国と認識していること
中国について聞かれると、プーチン大統領は次のような答えをしています。

「中国とは隣国です。近親者を選ぶことができないように、隣人を選ぶことはできません。私たちは1000kmの国境を共有しています、これが第一。」

「第二に、私たちには何世紀にもわたる共存の歴史があります。私たちはそれに慣れています。第三に、中国の外交理念は攻撃的ではありません。常に妥協点を探すという考え方です。私たちはそれを理解しています。」

また、「タッカーさん、中国との協力を制限するのはあなた自身の不利益です。あなた自身を傷つけているのです。」とも話しています。

中国は「脅威」というイメージが強いですが、プーチン大統領はそのようには考えておらず、中国は常に妥協点を探す外交を行っており、攻撃的ではないと言っています。

現状、中国と敵対するわけにはいかないという政治的配慮も考慮しなければならないかもしれませんが、それを差し引いても、中国に対する印象は大きく違います。

ここは、日本も考えなければならないと思いますが、プーチン大統領が言うように隣人を選ぶことはできず、ロシアと中国は国境を1000kmに渡って接しているわけですから、敵対することにメリットはありません。対して、日本は海を隔ててはいるものの最も近い国であるロシアと敵対関係にあり、中国とも緊張のある関係です。

米国主導の西側の一員とされる日本ですが、実際には東側、それも極東と言われる位置にあるわけですから、隣国との外交は考えなければならないと言わざるを得ないでしょう。

6.BRICSやインドネシアが発展していくのは不可逆的な歴史の流れであること。そして、アメリカはすでに終わっていると
「BRICsについては、今年ロシアが議長国に就任しましたが、BRICs諸国は概して急速に発展しています。私の記憶が正しければ、1992年当時、世界経済におけるG7諸国のシェアは47%に達していました。

BRICsは1992年には16%でしたが、今ではG7を上回っています。ウクライナの事件とは関係ありません。これは先ほど申し上げたように、世界の発展と世界経済のトレンドによるものです。そして、これは必然です。これからも起こり続けるでしょう。」

「太陽の光のようなものです。太陽が昇るのを防ぐことはできません。太陽が昇るのを防ぐことはできません。武力制裁、圧力、爆撃、武力行使の助けを借りて、米国はどのように適応するのでしょうか?これは自惚れです。あなた方の政治体制は、世界が客観的な状況下で変化していることを理解していません。」

そして、こうも発言しています。

「It's over to the US a long time ago.(米国はもうとっくに終わっています)」

これは衝撃的な発言に感じましたが、プーチン大統領は、米国が世界一の経済大国とはもはや見ていないようです。

これは、購買力平価GDPを元にして話しています。現在の購買力平価GDPの世界ランキングは1位中国、2位米国、3位インド、4位日本、5位ロシアです。

購買力平価GDPとは各国の対ドルレートの代わりに購買力平価でもってドル換算したものが購買力平価GDPです。購買力平価は、自国と相手国で取引されている様々な商品の交換比率を表しています。1商品だけで購買力平価を考える指数では、各国のマクドナルドのビッグマック1個の値段から為替レートを算定する「ビッグマック指数」が有名です。

世界の購買力平価GDP(USドル)ランキング

https://ecodb.net/ranking/imf_pppgdp.html

世界のビッグマック価格ランキング
https://ecodb.net/ranking/bigmac_index.html

ロシアはヨーロッパで最大の経済大国となり、さらに成長していると語ります。

さらに、インドネシアについても話をしています。

「インドネシアの発展ぶりを見てください。人口6億人。私たちはどこから逃れられるでしょうか?どこにもありません。私たちはインドネシアが参入してくることを想定しなければなりません。すでに世界の主要経済国の仲間入りをしているのですから。」

購買力平価GDPでインドネシアはドイツに次いで7位です。イギリス、フランスよりもすでに上です。そして、人口は今後、6億人の人口というのは、今後それだけ多くなるという意味と思われますが、現在インドネシアの人口は世界4位です。1位インド、2位中国、3位米国、4位インドネシアです。

BRICSやグローバルサウスが発展するのは太陽が昇るようなものだ、と言っています。

こうした一連のプーチン大統領の認識は、もはや西側諸国が世界の中心ではなくなったことを感じさせます。そして、この変化は急速に起こっており、ローマ帝国が崩壊した時代とは違うとも言っています。

今回のタッカー・カールソンによるプーチン大統領へのインタビューは、米国の嘘と欺瞞、そしてウクライナ戦争の原因、さらにもはや米国を中心とする西側諸国は世界の中心でもリーダーでもなく、「すでに終わっている」ということが分かります。

タッカー・カールソンは、エドワード・スノーデンとも面会したとされています。さらに、米国の嘘と欺瞞が出てくるのではないでしょうか。

今回のインタビューで「世界は変わる」のではなく、「世界はすでに変わっていた」ことが明らかになったのではないでしょうか。

<プーチン大統領インタビュー>

https://tuckercarlson.com/the-vladimir-putin-interview/


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