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IMF専務理事、世界経済「数カ月前より悪くない」~景気に楽観論、金利は高いまま~【日経新聞をより深く】

1.IMF専務理事、世界経済「数カ月前より悪くない」

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は20日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で、世界経済は「数カ月前に心配していたより悪くない」との認識を示した。中国がゼロコロナ政策を見直したことで成長率を押し上げる可能性が出てきたため。先行きは「悲観的にも楽観的にもなりすぎないことだ」と訴えた。

世界経済の見通しや政策対応をテーマに討議した。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁も登壇し「当初の懸念よりも確実に良くなっている」とゲオルギエバ氏に同調した。ただ中国でエネルギー消費が高まることで「インフレ圧力をもたらす」とも述べ、世界的な需要拡大が物価を押し上げるリスクにも言及した。

IMFは2023年の世界経済の成長率を2.7%と予測している。ゲオルギエバ氏は22年10月時点で、世界経済の3分の1が23年までに2四半期連続のマイナス成長に陥るとの見方を示していた。

(出典:日経新聞2023年1月21日

昨年末に広がった世界景気への強い警戒感は弱まっているようです。

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2.米金利は高いまま

米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は20日の講演で「(2月の)次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げを希望する」と明言した。利上げを減速して金融引き締めの効果を見極める局面だという従来の見方について「この先も波乱はなさそうだ」と説明した。

個人消費や企業の求人件数は減速しつつあるが、失業率は2022年12月も3.5%と歴史的な低水準にある。ウォラー氏はかねて企業の求人が多すぎるため、失業率は急には上昇しないと主張してきた。講演では「労働市場に深刻なダメージを与えることなくインフレを抑制させるソフトランディング(軟着陸)は十分に可能」という主張を繰り返し、今後についても楽観視していると強調した。

12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が6.5%と6カ月連続で鈍っている。市場では高インフレの沈静化に期待が高まっているが、ウォラー氏はこの点では慎重な見方を示してまだ利上げを継続する必要があると主張した。「1~3カ月間のデータを取り上げてバラ色の絵を描くことは可能だが、私はそうしないよう注意している」と話した。

「2%のインフレ目標まではまだかなりの道のりがあるため、金融引き締めの継続を支持することになる」と説明。利上げを止めた後も、早期には利下げには転換せず、金融引き締めの状態を保つとの見方を示した。

(出典:日経新聞2023年1月21日

2月1日に控えるFF金利の発表は、0.25%の利上げということで、スローダウンしそうですが、金利の低下にはかなりの時間を要するというのがFRBの見通しのようです。

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3.米景気後退はハードランディングかソフトランディングか

世界経済フォーラム(ダボス会議)での各国、各機関のリーダーの発言は景気に対して楽観論でした。FRBの理事のウォーレン氏も米景気の「ソフトランディングは可能」との発言でした。

米経済の行方が最も世界に影響します。その米経済は、景気の冷え込みを示唆する数字が出てきています。果たして、ソフトランディングで落ち着くかどうかが焦点です。

全米不動産協会(NRA)が20日に発表した2022年通年の中古住宅販売件数は前年比17.8%減の503万戸となりました。通年の販売戸数としては14年以来、8年ぶりの低水準となっています。原因はFRBの金融引き締めに伴い住宅ローン金利が上昇したことです。

ただ、この住宅ローン金利も一時よりも低下しており、今後のインフレの様子、金利がどこまで上がり、どこまで高いまま維持されるかという問題に左右されます。

(出典:TRADING ECONOMICS/米住宅ローン金利

米グーグルは20日、世界で約1万2000人の社員を削減すると発表しました。持ち株会社である米アルファベットの社員の約6%に相当する規模となります。昨年2022年11月にメタが約1万1000人を削減すると発表、マイクロソフトも約1万人のレイオフを発表。IT大手にもレイオフが広がっています。

FRBは18日ベージュブック(地区連銀経済報告)を発表し、2022年11月末以降の米経済の成長を「横ばいだった」と総括しました。多くの地区で「供給網の混乱が幾分和らいだ」との報告があった一方、全体として事業者は「今後数か月の経済成長の見込みは薄い」と予想しています。需要の減退が目立つ半面、採用難を恐れ人員削減をためらう事業者が多くありました。

米経済がハードランディングか、ソフトランディングか微妙な状況に入ってきているようです。

1月は24日にPMI(米製造業購買担当者景気指数)、26日に2022年10月~12月期のGDP、27日に12月の米個人消費支出の発表があります。そして、1月31日から2月1日にFOMCです。

米経済、世界経済は分岐点にあるようです。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】

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