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金の本質はドル以上に通貨なのか?

金のことを考えています。

現在のドル基軸通貨体制は、信用通貨、つまり裏付けのない通貨です。この裏付けのない通貨体制はわずか50年程度の歴史しかありません。

その反面、金は長い歴史の中で通貨としての地位を保ってきました。その金は1971年のニクソンショック以降、富の一種ではあるものの、通貨ではなく金属に成り下がってしまっているのか。

落合莞爾先生のブログに示唆をいただき、いろいろと考えてみました。

その中で強く感じたことは、実はドル基軸通貨体制とは本質ではなく、表面の現象であり、本質的には金が通貨であり続けているのではないか?ということです。

この辺りは落合先生の一連のブログをぜひご一読いただきたく思います。

最新のブログの考察が楽しみです。

そして、私の方でも考え続けていきたいと思い、以下、思い至ったことを調べてみました。

それはドルのマネタリーベースと金価格の関係です。

ドルは信用通貨、つまり裏付けのない通貨になって以来、金に対しては安くなっています。それは、金価格の上昇という現象です。(つまり、金の価値が上がったわけではなく、ドルの価値が下がった)

(出典:TRADING ECONOMICS/金価格推移)

次に米国のマネタリーベース対GDP比率を考えました。これは、経済規模に比して、マネーが大量に発行されているか否かを見るためです。つまり、マネーが大量に増刷されているからインフレが起きて(通貨の価値が下落して)、結果として金価格が上がったのかどうかを確認してみたかったのです。

(出典:FRED、金価格推移を元に筆者作成)

1971年から金価格は上昇を始めますが、その時はマネタリーベース対GDP比率は下がっています。つまり、米国は経済規模に対してマネーの増刷は多くなかったことを示唆します。

しかし、その中で金価格は上昇しています。つまりマネーの過剰発行があったからインフレで金価格が上昇したのではないと思われます。つまり、経済規模に対して過剰発行したわけではないドルよりも、金の価値は高いとみられています。

マネタリーベース対GDP比を見ると、2008年のリーマンショック以降がいかに異常なマネー増刷かが分かります。

こうして比較してみると面白い発見がありますが、金価格はリーマンショックでマネーが過剰に発行される前から上昇を始めています。

つまり、マネーが過剰に増えてマネーの行き先が金に向かったわけではなく、それよりも前に金価格は反応しています。これは、誰がそうした動きをしているのかについて、私は明快な答えは持ちませんが、金を本源的通貨として理解している者がいたとすると、その動きは資産を価値を失わない本源的通貨に移していたと見ることはできないでしょうか。

さらに、これだけでは理解が不足するので、株価とマネタリーベース対GDP比を比較してみました。株価の推移はダウ平均株価の過去30年との比較です。

(出典:YahooFinance、FREDより筆者作成)

ここで非常に面白いのは、リーマンショックから株価が回復していく局面です。まず、先に株価が下落していきます。そして、その後マネタリーベース対GDP比が一気に上昇して、その後を追うように株価が上昇していきます。

つまり、株価は裏付けのない信用通貨を大量に増やすことによって、人為的に上げられていることです。裏付けはないので、勝手に刷ればいい。増やせば、株価は上昇するということです。

さて、ここで、考えなければならないのは、株価は本源的な資産なのか?ということです。人為的に増やすことができるドルによって引っ張り上げられている株価は、実は本源的価値は持っていないと見えます。

本来であれば、株価はその企業の業績に連動すべきものです。しかし、こうしてグラフにしてみると、明らかにダウ平均株価は、マネタリーベースの増加に引っ張られて上昇しています。それも単にマネタリーベースの増加というだけではなく、名目GDPに対しての増加ですから、経済規模に比べて大きく発行されたドルに引っ張られての上昇です。明らかに人為的。

それに対して、金は、マネタリベースの増加前から反応しています。つまり人為的なマネタリーベースの増加に必ずしも依存していないことを示唆するものと思われます。

このことから、ドルは人為的に増やすことができ、操作が可能です。したがって、株価を形成するために実態を無視して増やすことができ、特にリーマンショック以降は経済規模に比べて異常に増やしていることが分かります。実態と乖離した通貨ドルは、非常に危険な領域に入っていると思われます。

対して、金は古来、5000年の歴史の中で通貨として扱われてきています。そして、金の総量は21万2583トン(ワールドゴールドカウンシル)であり、過剰に生産することはできません。

総量の増加がわずかな金に対して、大量に発行するドル。通貨としての信用はどちらが高いのか?

そして、経済規模に比して過剰発行するドルと、過剰発行する前からその価値を上げ始める金。現代の資本主義市場、特に株式市場でのゲームの中では見えなものが、金にはあると思います。そして、本質的に何が通貨か?をわかっている人こそ、先んじて、金保有を増やしているのではないでしょうか。

中国が、ロシアが金保有を増やし、世界の中央銀行が金保有を増やしている。その事実にしっかりと目を向ける必要がありそうです。

我が国は、金を保有させてもらえていない。そう感じざるえを得ません。

落合莞爾先生の更なる洞察を待ち、私も更なる思索を続けていきたいと思います。

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