ペトロダラーの終わりと金、そして日本
noteでのお名前が白頭狸こと、落合莞爾先生の記事を読ませていただいて、感じることがあったので、ここで書いてみたいと思います。
ここにペトロダラー体制のことが書かれています。ペトロダラーとは、戦後の金融体制であったブレトンウッズ体制の崩壊、つまり、金とドルの交換が停止されたニクソンショックを受けて、基軸通貨ドルを守るために、ニクソンとキッシンジャーが実行した仕組みです。
キッシンジャーとサウジ王の密約により、原油の決済をドルで行うこととなり、金という裏付けを失くしたドルの価値を原油によって担保したのがペトロダラーでした。
詳しくは、私もペトロダラーについて書いているものがあるので、そちらをご参照ください。
落合先生のブログの中に、主要国の金保有量とその外貨準備に占める率が挙げられていました。
私もワールドゴールドカウンシルの資料から拾ってみました。まずは、全体です。
次に、外貨準備における金保有割合の高い国の10位までを挙げてみます。
ベネズエラ、ボリビア、ウズベキスタンは、共に金の採掘が盛んな国です。そして、経済的に厳しい国で必然的に外貨準備における金の保有量が多くなっているものと思われます。
それ以外は、全て欧米の国です。米国、ドイツ、フランス、イタリアはG7の国ですが、10位までにはポルトガル、オーストリア、オランダという欧州のかつての覇権国が入っています。
これらの国は、ドルを基軸”通貨”と見ているのでしょうか。ここに出てきた米国以外の国が、もし、ドルを信用していればもっとドルの外貨準備比率が高くても良いはずです。これらの国は今でも、「本源的通貨」は金だと見ていると感じます。
次に対前年比で保有量を増やしている国です。
26位以下は、金の保有量に変化がないか、減らしている国です。金保有量は昨年比で増やした国は27カ国(同率26位があるため)となっています。
ちなみに、日本は保有量に変化はありません。
1位の中国は他国とは比較にならないほど、金の保有量を増やしています。そして、4位にロシア、7位にはインドが入っています。BRICSでは南アフリカも入っています。特に中国、ロシア、インドは、米ドルから離れていっており、金こそが、外貨準備として必要になってくると思っているのでしょう。
次に米国債の保有を見ておきたいと思います。米ドルは米国の発行する通貨であり、その国の力の象徴です。そして、米国債の保有を見ると、米ドルとの関係の強さが見えます。
日本が世界一の保有国ですが、日本、中国、そして英国が突出して多いことが分かります。中国はここ数カ月増やしているように見えますが、もう少し時間の軸を長くすると、減らしていることが分かります。
さらに、ロシアはウクライナ戦争よりもかなり以前に大量売却しています。
中国、ロシアといった脱ドルを図る国は米国債の保有を大幅に減らしています。対して、米ドルを支える立場になっているのが、日本、そして英国です。
英国は経済規模に比して、米国債の保有量は多い。これは、米国と英国の金融は密接につながっていることを示唆するものでしょう。
これまで私は気にしていなかったのですが、韓国が米国債の保有を増やしています。
韓国も日本同様に、外貨準備における金の割合が低く、米国債の保有を増やしています。
面白いのはインドの動きです。増やしたかと思えば、減らし、減らしかと思えば増やす。
日本や韓国は、米軍の基地があります。安全保障は米国に依存しています。その為、米国債を売却することはできない。売却できない圧力が存在します。
しかし、インドは米国の意向には縛られていないからこそ、自由な売買ができているのでしょう。また、一方的にBRICSに偏って、米ドル離れというわけでもなさそうです。
日本は米ドルを支える世界一の国です。そして、米国債を大量に売却することは許されていないと言えます。その為、自国の意思で外貨準備における米ドルの割合を減らし、金の割合を増やすという行為はできないでしょう。
中国、ロシアは大量に米国債を売り、金の保有量を増やすことを急いでいるように見えます。
そして、米ドルの外貨準備比率は下がってきています。以下はIMFの2023年第3四半期の世界の外貨準備における通貨別の比率です。米ドルは、59.17%となっています。次いでユーロが19.58%、日本円が5.45%、英国ポンドが4.83%、中国人民元が2.37%となっています。
米ドルは外貨準備において、まだ半分以上を占めています。しかし、歴史的な推移経緯をたどると、米ドルの外貨準備比率は激減しています。
米国の基軸通貨としての地位は大きく揺らいでいることは明らかです。
BRICSが台頭し、米ドル離れは加速しています。しかし、中国の人民元、ロシアのルーブル、このような通貨が基軸通貨となることは難しいでしょう。信頼の意味でも、流通量の意味でも難しい。
では、米国と対立する中国、米国から制裁を受けているロシア、その中国とロシアとの関係を深めているBRICSやグローバルサウスの各国は、どうするのか。
それが噂されているBRICS共通通貨というところに行きつくのではないでしょうか。その通貨の裏付けには金がおかれる。
また、当の米国でも、コモディティー担保通貨が議論されています。もちろん、コモディティーとして想定されるのは金です。
米ドルは信用通貨として、裏付けなく発行されています。原油の決済をドルで行うペトロダラーシステムは、米国の富ではなく、原油の決済を担保としています。その原油の決済は米ドルでなくてもできるわけであり、すでに中東でも米国離れが進み、必ずしも米ドルでなくても決済ができるようになりつつあります。もはや、ペトロダラー崩壊の流れは止まらないでしょう。
すると、世界各国は米ドルではなく、金を通貨として見るようになるでしょう。そして、その表れが中国、ロシアの金保有量の増大であり、世界の中央銀行の金保有量の増大です。
もしも、世界が米ドル離れを加速させ、金を通貨として見るようになり、米ドルの価値が下落し、金兌換制が復活したらどうなるでしょうか。
まず、外貨準備における金の保有量が少ない国はダメージが少ない。米国や欧州の国々は金を保有しています。
そして、米ドルの基軸通貨体制崩壊、金兌換制復活で一番ダメージを受ける国は、①外貨準備における金の保有量が少ない国、②米ドルを支えるために米国債を大量に保有している国、です。
その条件に合致する国。
そう、日本です。
私たちは、世界の本当の姿を知らなすぎる。米国の安全保障の対価は売ることを許されない米国債の大量保有でしょう。
この日本だからこそ、本当のことを知ることが大切だと、心からそう思います。
落合莞爾先生は、真実を伝えようと研究を続けてこられたのだと思います。日本人が、世界の現実を知ることには大きな意味がある、そう思います。落合先生の著作を読破したいと思います。
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