〔149〕ペトロダラーは覇権通貨、金が國體通貨 1/26誤り修正済
〔149〕ペトロダラーは覇権通貨、金が國體通貨
〔148」ではWWⅠ後の列強及び本邦の金本位制復帰の状況を論じましたが、ここではその後を少し述べます。
そもそも十九世紀に金本位制が確立した後の、通貨制度の変動は次の通りに展開します。
➀WWⅠ勃発による金兌換停止
➁WWⅠ終戦による兌換制復帰
➂WWⅡ勃発による兌換停止
④WWⅡ終戦によるブレトンウッズ体制(金ドル体制)の成立
アメリカの国際介入と米ドルの過剰発行による米ドル不信
キッシンジャー・ニクソンの訪中と共産中国の解放
⑤米ドル金兌換放棄とスミソニアン協定。
キッシンジャーとサウジ王の密約によるペトロダラー体制の成立
アメリカ覇権の崩壊とサウジのペトロダラー制放棄(湾岸通貨・金貨デイ
ナ―ルの採用)
⑥ウクライナ戦争を機とするBRICS通貨体制(金兌換制)の胎動
ウクライナ戦争の行方が見えてきた今日この頃ですが、同時に浮上してきたのが覇権通貨ペトロダラーの終焉です。
そもそもニクソン政権が金本位から離脱したのは、WWⅡ後の拡大を続ける世界経済を支えるに必要な通貨量の裏付けをするものとして、産出量の増えない金地金では到底間に合わない、と考えたからです。
金兌換を停止したアメリカ大統領ニクソンが、金の代りの“信用財”として眼を付けたのが原油です。しかしながら原油は信用財の要件を十分に満たしていません。
信用財の要件として経済学者が挙げるものは、➀いかなる形に分割しても価値が変わらぬ等質性、➁永遠に朽廃腐食せぬ耐久性、➂体積に比して高額な貴重性、などと記憶しますが、とにかくそれらの要素を最も多く揃えたものが「金」なのです。
平成二十六(2014)年末時点の人類社会における金の存在量を、トムソン・ロイター社は183,600トンと推定しています。
これが有史以来採掘、加工されて人類の手元にある金の総量ですが、平成二十六(2014)年末時点の人類社会における金の存在量を、トムソン・ロイター社は183,600トンと推定しています。
これが有史以来,採掘加工されて人類の手元にある金の総量ですが、本年1月25日のNY金相場は1トロイオンス当たり2017・8ドルです。ドル/円は147・7ですから、金は31・1グラム当たり9582円です(因みに日本では消費税10%を加えて10500円程になります)。
NY金相場のトロイオンス(31・1g)2018ドルで計算すると、目下の人類が保有する金18万3千6百トンの時価総額は2018×183600×1000000÷31・1=11兆9133億ドルになり、ドル/円は147円ですから、JPYでは1751兆2606億円ということになりますね。(先日の急病で頭のどこかが狂い、前の数額が間違っていたと思って訂正したつもりですが、それが実は間違っていたので再訂正します。ごめんなさい)。
下に2023年の主要国の金保有量とその外貨準備に占める率を掲げます。
国 屯 米欧 BRICS 中間国 衛星国
アメリカ 8133 69・6%
ドイツ 3352 68・7%
IMF 2814
イタリア 2451 65・5%
フランス 2436 67・1%
ロシア 2333 25・7%
中国 2267 25・7%
スイス 1040 8・4%
日本 846 4・4%
インド 803 8・6%
オランダ 612 57・9%
トルコ 522 30・8%
ECB 506
台湾 422 4・7%
―――三か国 略―――――
サウジ 323 4・7%
イギリス 310 11・6%
―――十四か国 略―――――
南アフリカ 125 13・3%
―――三か国 略――――
韓国 104 1・7%
―――以下 略―――――――
右のように、金保有国は外貨準備の占める割合に即して四つのグループに分かれます。最も割合の高いのはアメリカと欧州諸国で外貨準備の凡そ七割を金で保有しています。これら諸国は表向きブレトンウッズ体制から離脱したものの、なお金本位制の名残が漂っているようです。
欧米諸国に次いで割合の多いのはロシア・中国・インド・南アフリカで、今はまだ少ないブラジルもやがてこのグループに入る筈で、これらが所謂BRICSです。
第三グループはペトロダラー体制において中間的な立場をとるスイスとイギリスです。
外貨準備に占める金の割合が最も低い第四グループは、ペトロダラー体制でアメリカの片棒を担ぐサウジと、対米輸出の多さで知られる日・韓・台湾の三国で、ペトロダラー体制におけるアメリカの衛星国グループであることを露呈しています。
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