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新卒デザイナーの就活支援を10年やって思うこと。

はじめまして!
ちょむです。

デザイナーやクリエイターになる第一歩を応援したくて、
10年以上美大生を中心とした学生のキャリアサポートをしています。
noteではこれまで感じたことや少しでも役立つ情報を発信していきたいと思います!


【自己紹介】

早稲田大学教育学部卒業後、高校教師として働く。
美術・服飾コースがあり、美術系学校に進んだ卒業生からクリエイティブ就活の相談に乗る中で、より具体例なキャリアサポートをしたいと思うようになり転職。
クリエイターに特化した人材エージェンシーにて美大生に特化の就活サービスを立ち上げ7年間活動。1,000名以上の学生のサポート、100社以上のデザイナー採用の支援を一気通貫で行う。
途中アパレルデザイナー支援の会社を起業するも失敗。
その後フリーの人事として複数企業で活動。
現在は経営アドバイス×クリエイティブ制作を行う株式会社バリュークリエイトにてHR事業の責任者兼人事。Mirai creatorsというクリエイター支援事業を立ち上げ中。


【クリエイターとの接点】

大学まではクリエイターとの接点がほぼありませんでしたが、社会人になってからmixiで始めたカフェ&古着屋めぐりサークル(オシャレ泥棒の会)で、たまたま現役の武蔵美生、東京造形出身のプランナーが参加したことがスタートでした。
それぞれがモデル、カメラマンとして活動していたので、撮影イベント企画することになりました。
FBのプロフィール写真をカッコいいものにしようというイベントで、せっかくなのでヘアメイクもSNSで探してきてより本格的なものにしていきました。そこから美容学生、服飾学生、美大生、現役のクリエイターを巻き込んでいろいろ作品撮りを行うようになりました。そこから代々木公園でファッションショーを企画したり色々やりました。

一方で、働いていた高校は美大を目指す子がいる環境でした。
毎日スケッチブックに描いた絵を見せてくれる学生がいて、熱量を大した意味もなく受験勉強をしていた自分と違い、自分の好きを貫いてその熱量に感化をされました。ただ、実際に美大に入っても中々就職が大変という話を聞いて、進学よりも就職の面で教育に関わろうと思いクリエイター専門の人材エージェンシーに転職しています。


【この10年で変わってきたこと】

私が10年ほど前に美大生向けのサービス「美大芸大就活ナビ」というものを立ち上げたときは、広告業界や制作会社が元気だったこともあるのでデザイナーを目指す学生がたくさんいました。
当時から多くの求人が溢れているということはありませんでしたが、それなりに就職していた方がいた印象です。インハウスで働く選択肢も当然ありましたが、制作会社で経験を積んでからと考えている方が多かったです。
「まずは厳しい制作現場で耐えてスキルアップする」ことも暗黙の了解だったのかもしれません。

しかし、代理店での過労死が取り上げられて業界全体へのメスが入りました。制作会社も直クライアントを増やして利益率を上げて、環境整備に取り組む企業も多かったです。
労働環境の改善に向かって努力をしてきたものの、結果的に若い人材の広告・制作会社離れが進みました(経済が不安定だから安定を取りたいということも当然の流れではあると思います)

さらにコロナの影響からのDXでデザインのインハウス化も促進されました。
従来デザインは「必要のときだけ外注する」という考えから、
「作って終わりではないもの」へと価値が上がったと言えると思います。
その結果、マーケター、営業、エンジニア、経営陣、様々な属性と連携をしていく必要性が出てきました、
従来デザイナーは属人性が求められていましたが、圧倒的なチームワーク力が求められるようになりました。

職人的なスキルがなくてもデザイナーになれる世の中になってきたという点は良いですが、美大生にとってはどうでしょうか。

属人的であることを良しとされ、個人のスキルを高めていくことがまだまだ大学教育の主だと思います(それでいいと私も思っています)
その個人の力は社会に還元する大きなポテンシャルを持っている反面で、「複雑な社会性」を理解して体験する経験が少ない現状があります。

また、美大では統合系の学部が増え、総合大でもデザインを学べる学校が増えてきました。ビジネスとデザインの両軸を学んでいくことが私自身とても大事だと思っている一方で、今度はこのような声を学生から聞くことが増えてきました。

「手広くやりすぎていて強みが分からない」

これはデザインの定義も、求められる領域も広がったことによる影響が大きいと思います。
UI/UXデザイナーを、マーケティング・デザイン・ディレクション・ライティング(さらには営業まで)などすべてを網羅して役割を置く企業もあるくらいで、企業ですら正直よく分からないというケースもあります。

ただ、薄く広くで属人性がないのであれば、クリエイティブは本当にAIにとって代わられてしまうかもしれません。
私の中で、これからクリエイターに求められることとして、
強みを活かしながら社会との接点を探ることが大事という結論になりました。

これからは、「個性×社会性」がクリエイターには特に求められてくると思います。


【これから私がやりたいこと】

これまで学生・クリエイターが在籍する企業、それぞれ話して感じたことは下記です。

■学生
・全体的に自己肯定感が低い(コロナもあるかも)
・美大生は総合大生にコンプレックスを持っている(主にコミュ力)
・デザイナー志望の総合大生は美大生にコンプレックスがある(デザイン力)
→お互いがコンプレックスを持っているという不思議な状況がある

■企業
・ビジネスに関心があるデザイナーがまだまだ少ない
・デザインに関心があるビジネス職がまだまだ少ない
→デザイナーとビジネス職でのコミュニケーションに課題あり(共通言語で)
・ディレクター(またはその素質のあるデザイナー)が圧倒的に足りない

私が学生に対してやりたいこととしては、
まずは自信を持ってほしいということです。

自信や強みは、バックグランドの違う人と関わるからこそ見えてくるもの。たとえば美大だと、
高校までは絵が圧倒的に上手い → 大学はみんな上手すぎて撃沈
みたいなことも多いのですが、それは外の人間から見たらやはり上手いのです。

だからこそ【ゴチャ混ぜ】にしていくことで社会性を鍛えていくことをしたいなぁと思っています。
ファインアート、デザイン、理系、文系など垣根を超えて、さらには国籍も超えて交流していく機会を作っていきます。

ビジネス or デザインいずれかの強みを持った上でもう一方の理解も深めていくと、たくましい人材になっていくのではないかという仮説を持っています。

現職のバリュークリエイトでそれをゴールにしたサービスを今年立ち上げました(Mirai creators)

ゴチャ混ぜにして
新規事業の企画〜アウトプットのワークショップ
ポートフォリオやクリエイティブ業界研究などの具体的なサポート
企業とのイベントなど接点を増やしていく予定です。

・社会性を磨きたい美大生
・ディレクター / 企画に興味がある総合大

をメインにサポートして、企業と繋げていきます。

ぜひご覧いただけると嬉しいです!

【バリュークリエイトってなんの会社?】

私たちの使命は、企業の価値をデザインすることです。
創業以来、「企業価値の創造」をテーマに情熱を傾け、様々なサービスを提供してきました。
経営という最上流部分から企業のコンサルティングを行い、それをクリエイティブに落とし込む事業を行っています。
ボードメンバーはクリエイティブディレクター(元ADK)、公認会計士(元アーサー・アンダーセン)、アナリスト(元野村證券)、とスペシャリストで構成されています。武蔵美、慶応大、東京理科大などで教鞭を取っています。
クライアントは東証一部上場~スタートアップまで、規模感・業界問わず幅広い企業のブランディングに関わっています。
美大出身者も多数在籍しており、20%が外国籍というダイバーシティにも力を入れています。

▼会社でのちょむのインタビュー記事です(笑)