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ミライブ×鯖江市オンライン交流会「電気の『消費地』に住む大学生が『生産地』の方に地層処分問題について聞いてみた」

みなさん、こんにちは!
ミライブで記事コンテンツの制作担当をしている京都大学環境サークル「えこみっと」のコケ公とないTです!
今日は、2/13に行われた福井県鯖江市の方々とのオンライン交流会についてレポートしたいと思います。

イベントの概要

日時:2022年2月13日(日)
場所:オンライン
参加者:全国の大学生14名
講師:原発のごみ処分問題を考える会 鈴木早苗さん、福井南高校 今泉友里さん・森夕乃さん

ポスター_鯖江オンライン交流会ver.8

企画運営リーダー・はなさんが作ってくれたポスター。
明るくて親しみやすくて素敵です✨


このオンライン交流会では
自分たちの住んでいる場所が「電気の消費地」であること
・普段当たり前に使っている電気を「生産」している場所があるということ
・「電気を生産している地域」に住んでいる方々が、普段どんなことを感じていて、どんな風に地層処分問題の認知拡大のための活動を行っているのか

と言ったお話を講師の方々から伺い、その後「自分たちと同世代の若い人に向けて地層処分問題を広めるためにはどうしたらいいか」について、みんなでディスカッションしました。

コケ公
:興味関心が多少ありそうな友人ならともかく、多数の人に地層処分の問題を認知してもらうのは難しいよねぇ。
どうすれば一緒に考えてもらえるのか、この交流会を通して良いアイデアを得られたらいいなぁ。

ないT
:そうだよねぇ。地層処分問題に取り組むことの大切さを、当事者として同世代の大学生に意識を共有してもらうにはどうしたらいいんだろうね。難しいよね。

鈴木早苗さん(原発のゴミ処分を考える会)のお話

鈴木さんは、福井県の環境アドバイザーや地球温暖化防止活動推進員を長年務めていて、ご自身が事務局を務める「原発のごみ処分を考える会」では専門家を招いた市民向け学習会等を開催されています。
鈴木さんからは、これまでの会の活動やフィンランド・スウェーデンでの最終処分場の視察についてお話いただきました。

なかでも
●地層処分の勉強会を主催する際には、賛否を問うのではなくニュートラルな立場で、結論を出そうとするのではなく、参加者に考えてもらう場を提供すること
●北海道幌延町、青森県六ケ所村等の視察を通じて、実際に体験した事や共感したことなどを自分の言葉で伝えられるように心がけ、地層処分問題について考えるきっかけとなるようなテーマを設定している
● 地層処分事業について知識を得た後に、次に自分が何を知りたいか、誰になにを聞いて・どんな本を読んだら自分の疑問が解決できるのかということを「自ら考えて行動する」こと」が本当の意味での「学び」につながる

といったお話が印象的でした。

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「原発のごみ処分問題を考える会」記念すべき第1回勉強会(2017年12月)
ミライブ×鯖江オンライン交流会 鈴木早苗氏当日発表資料より

ないT:
フィンランドやスウェーデンといった地層処分が進展している国のお話を聞かせていただいたことは、とても有意義だったよね!
「違う意見を持つ人でも、多数決で決まればみんなで前を向いて進めていく」「もし失敗してもその時はその時で一緒に考えていけばいい」など、同じような態度や考え方を今すぐ日本の議会で取り入れるのは難しくても、ニュートラルな場で参加者自身が考える機会を提供し続けていくことが必要なんだと改めて感じたなぁ。

コケ公:
そうだよね!僕はフィンランドやスウェーデンの合意形成の仕方がとても興味深いと思った。鈴木さんの話を聞いて、スウェーデンやフィンランドも日本と同じ民主主義だけど、日本とは異なる社会の雰囲気や市民の意識を強く感じたな。

福井南高校の今泉さん・森さんのお話

福井南高校では、「地層処分問題について『自分事化の輪』をどのように広げていくか」について勉強会を日頃から行っていて、原子力問題等に関する自主探求を行っているグループによる「福井県高校生の原子力に関する意識調査2021」というインターネットによる大規模調査を実施されたそうです。
その成果や日頃の地層処分問題に関する取り組みについてお話しいただきました。

なかでも
課題に対する先入観で判断するのではなく合意形成というテーマを通じて自分ごと化し、課題に向き合いながら考え続けていくことが重要
同世代だからこそ、共感しやすい“わかりやすい言葉”を選んで伝えることが重要
と言った内容が印象的でした。

福井南高校写真1_re

福井南高校の教科横断型授業で、NIMBY(Not-In-My-Back-Yard) 問題や
地層処分問題について授業を行っている風景

ないT:
まず高校生の頃から原子力発電という難しいテーマに問題意識を持ち、自ら行動して緻密な調査と分析を行っているということにとても驚いた!!
こういった行動自体もそうだし、意識調査の結果得られたデータ・情報等を広く共有していくことは、原子力の課題を正しく知ること、さらには地層処分の理解促進につながるし、社会にとって大きな財産になるよね。

コケ公:

僕は福井南高校さんの調査結果で、文系理系の間で原子力発電に対する意識に明らかな差異が見られたことが意外だったな!
福井県の嶺南地区のように原子力発電所がある自治体だと、身近に自分ごととして考えるきっかけがあったり、正しい知識を知る機会もあるだろうから、漠然とした拒否感が減るんだと思う。そうなれば高校生でも地層処分問題について考える時に「難しい」「よくわからない」といった抵抗を感じることが少なくなるのかな?

グループワーク

鈴木さんと福井南高校さんのお話を伺ったのち、参加者をA・B2つのグループに分け、講師のお話や質疑応答での内容を踏まえ「どのようにしたら次世代層に地層処分の認知拡大・理解促進を図れるか」というテーマでグループディスカッションを行いました。
その後、A・B各グループの代表者からディスカッションのまとめを発表してもらいました。


<Aグループの発表>
若い世代に地層処分問題の認知拡大・理解促進を図るためには、
まず「電気は(生産地で)作られているということを意識してもらう」(意識)、そして次に「地層処分問題等について気軽に話せる場所をたくさん作る」(対話・交流)、最後に「みんなで地層処分について学んだり、視察に行く」(行動・視察)といった3つのステージ・流れを作ることで、若い世代への地層処分に関する認知拡大を図れるのではないかという意見が出ました。
また、身近な人を通じて関心を持ち、さらに視察や地域の方との交流を通じて自分事化することがきっかけとして重要という意見が出ました。

Aグループ

<Bグループの発表>
Bグループでは、対話やディベートなど「誰かとの交流」によって広めていく方法と、教科書やゲームなど「モノを使って広める」の2種類が効果的だという意見がでました。
また、立地地域の次世代層との交流が地層処分問題に関心をもつ大きなきっかけになるのではないかという意見が出ました。

Bグループ

参加した方の感想

最後に、このオンライン交流会に参加した方へ感想をお聞きしました。

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ひなた
「福井南高校さんの意識調査の結果について、学生にとって原子力のイメージがどのようなものか知ることができ、その結果をどんな風に受け止めたのかわかったので、良かったです。また、ディスカッションで、私が考えなかったアイデアがたくさんでたり、参加者の考えを繋げて行くと、まとまりがでて、点と点が結ばれていく感じが面白かったです。自分だけじゃなくいろんな方の考えを聞くことが大切だと改めて感じました。」

はるか
「鈴木さんのフィンランドの『正解だけを求めない教育』が、フィンランドにおける原子力発電への理解につながっているというお話が印象深かったです。
ミライブでは若者に向けた地層処分への理解促進活動を行っていますが、なぜ地層処分を行う必要があるのか、またその背景など、地層処分事業を知る入り口となる場が日本ではとても少ないと強く感じていました。
自由に話し合える環境、そしてそれを認め合える関係が地層処分問題の理解促進への大きな鍵となってくるのではないかと考えました。
また高校生がこの問題に取り組んでいく姿勢に感動し、見習いたい!と思いました。」

えり
「廃棄物の処理方法を巡る社会課題には、技術(エネルギー、発電、地層処分)と人(技術に関わるすべての人)が関係しています。地層処分を自分ごとと認知するためには、「技術」と「人」の両者に寄り添うことが必要だと思います。
技術に寄り添うためには、まずは普段当たり前に使っている電気がどこで作られていて、自分の今の生活とどう関係しているのかについて考えてもらうのがいいのではないかと思いました。また人に寄り添うためには、原子力発電所がある立地地域の方々など多くの人と交流することが大事だと思います。」

まとめと感想

ないT:
この交流会に参加して、やはり地層処分についての意識を社会に広めていくには、当事者意識を持って行動しその当事者意識を周囲の人に持たせるように広めていくことが重要なのだと実感した。
そのために、地層処分問題の最前線で活動する人たちや、原子力発電が身近にある人たちと交流し、情報を獲得し、「地層処分問題について自分で考えられるようになる」というプロセスを、広く社会に提供できると良いよね。

コケ公:
鈴木さんの活動然り、福井南高校の学生さんの活動然り、初めに興味を持った人たちが少数で活動を始めて、認知されるにつれて規模が拡大していく様子を拝見してとても参考になった!自分に無理のない範囲で地層処分問題についてできることがあれば、興味が続く限り行動してみようと思った。

以上、「電気の「消費地」に住む大学生が「生産地」の方に地層処分問題について聞いてみた」イベントレポートでした。
運営リーダーのはなさん、ファシリテータ―のせーだいさん、お疲れさまでした!

ミライブってなに?

私たちが参加している「ミライブ」は、原子力発電によって出た高レベル放射性廃棄物の地層処分問題について、より多くの人に知って・考えてもらえるように、全国各地の大学生と、専門家やクリエイターといった社会人が協働して活動していくプロジェクトです。
気になる人はこちらもチェックしてみてくださいね!⇒ミライブ公式HP 

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「柏崎刈羽視察交流会について聞いてみた 企画発案者・奥村さんインタビュー編
「柏崎刈羽視察交流会について聞いてみた 参加者インタビュー編①」
「柏崎刈羽視察交流会について聞いてみた 参加者インタビュー編②」


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