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深く、広く、越境という選択肢を届けたい -2022年の所信表明として-

みなさま、あけましておめでとうございます。毎年恒例(2年目ですけど)の所信表明を書いてみたいと思います。

まず、2021年はおかげさまで過去最多53名の移籍者を送り出すことができ、また「outsight」「大人の地域みらい留学」「4th place lab」といった事業を立ち上げ、新しい挑戦も始まりました。社内的にも素敵な仲間が増えてボードメンバーは16人、業務委託・プロボノでかかわってくださる方は50名以上という大所帯(私にとっては笑)になりました。

このように進化できたのもひとえに、レンタル移籍を導入いただいている大企業・ベンチャー企業の皆さま、いつも熱い伴走をしてくださるメンターの皆さま、そして何より挑戦をしてくれる移籍者のみなさんのおかげと、心より感謝をいたします。また、直接お付き合いはできていなくとも、私たちの取り組みに興味関心を持ってくださり、社内で検討してくださったりどこかで話題にしてくださっていたり、そういう方々の存在をいつも感じています。本当にありがとうございます。

2021年の学びは、「やりたいこと」を持つ難しさ

さて、2021年の所信表明で「個の解放を変化につなげる」なんてことを書きました。レンタル移籍を経験した個人が周囲に影響を及ぼし、個人と組織の関係を変化させていったり、組織そのものの目的をアップデートしていけるのではないかということを思っていたのです。

それは今も信じているし、その胎動はいろいろなところで起きてきているようにも思います。ただ、正直、やっぱり時間がかかりますね。じっくりやるしかないんだな、と。

一方、新規事業やいろいろな活動を通じて、大学生からシニアまでいろいろな方に「やりたいことをやりましょう」とか、そのために「越境しましょう」ということをお伝えする機会が増えました。そこで痛感したのは、そもそも「やりたいこと」や「自分の意志」を持つことが難しいということでした。やりたいことって何ですか?あなたの意志は?と問われて、パッと明確に答えられる人なんて、滅多にいないのが現状なんですよね。

つまり、「個を解放するから、やりたいことを自由にやってください!」と言われたって、それを心地よく実行できる人って、すごく少ない。だって、やっぱり不安ですよね。人の目が気になるし、将来が気になるし。起業して7年も経つけど、私もそうで、いつも迷いながら、不安になりながら進んでいます。(まぁこれは私の経営者としてのレベルの問題なのかもしれませんが。笑)

ただ、それでも私は楽しく働けているんですよね。周りを見渡してみても、何か明確な「やりたいこと」を持っていなくとも、いきいき働いている人はいるんです。

踏み出せる人とそうでない人の違いは「選択肢」

つまり本当はみんな何かしら不安を抱えているし、曖昧な状態にある。それでも踏み出せる人と踏み出せない人がいる。それって何の違いかというと、「選択肢」をどれくらい持っているか、っていうことなのかなと思っています。

この会社にしか居場所はない、この仕事しかできない、そういう状態では、自由に動くということや失敗するということに対して、どうしても消極的になってしまうのかもしれません。だって下手をしたら居場所がなくなっちゃうから。

そうじゃなくて、「もしこれでだめなら、こんなやり方もあるよね」とか、「自分はあそこにも行ける」「こんな動きもできそう」っていうくらいの、ゆるやかにいろいろな選択肢があるということでが大切なんじゃないでしょうか。

人は、本当の意味で自由には到達できないのかもしれない。だけど、選択肢があることで限りなく自由に近づくことはできるんじゃないかなと、そんなことを思うのです。

越境が「選択肢」を広げる

そうやって選択肢をつくるときに「越境」するというのは、とても効果的です。これは間違いない。だって、自分の居場所が新たにできるわけですから、そりゃぁ選択肢が増えますよね、という単純なお話しです。

「越境」という単語に耳慣れない方のために補足しておくと、所属する組織を越えて学びを得ることを「越境学習」と言います。例えば副業や大学院に通うことなんかも、越境と言えますね。

これまで私たちは、レンタル移籍という事業を通じて大手企業の特に30代の方を中心に新たな選択肢を届けてきました。それは、一時的に外に出るという選択肢を提供したわけですが、実はそれだけじゃなく、今いる場所や所属している組織、つまり自分の足元にある選択肢に気づくきっかけになっているように思います。同じ場所にとどまっているとどうしても足りないものばかりが見えてくる。でも外に出ると、改めて「ここにあるもの」に気づけるんですよね。

「外には何があるか」そして「ここにあるもの」、その両方の点で選択肢を届けることはできたと思うので、それを今年はもっともっと深めていきたいと思っています。その選択肢をどう活かすのか、それを踏まえてどう行動するのか。具体的に言うと、レンタル移籍を経験した方々が、組織の中でもっともっと行動できるように、私たちもあらゆる手を使ってサポートしていきたい。これまでも試行錯誤はしてきたつもりですが、これにもっと踏み込んで取り組んでいきます。

一方で、やっぱりレンタル移籍という仕組みで提供できる機会には限界があります。それは半年とか1年間とか、そういう時間をかけて壮大に越境するわけですから、いきなり全員がやることはできません。それに、いきなりそこまでできないという人も当然いますよね。だからいろいろな形で、私たち自身が違う選択肢をつくろうとしています。

週1回1時間だけの越境という形でベンチャー企業の経営者と議論ができる「outsight」や、個人の方が自分の活動として越境の実験ができる「4th place lab」など。越境とか選択肢を増やすとかって、別に大きなリスクをとらなきゃできないことじゃなくて、日常から少し越境してみるだけで何かが変わるきっかけになる。そんな仕掛けをもっといろいろ作って、広く発信をしていきたいなと思っています。

ということで、レンタル移籍という既存事業の中での取り組みもそうだし、新たな挑戦を通じていろいろな形の越境を提示できたらいいな。私たちは、誰かに武器を配ることまではできないかもしれないけれど、選択肢や、自分の持っているものに気づくきっかけを提供することはできるんじゃないか。そんな風に思っています。

大切にしたいのは「摩擦」と「思い遣り」

そんな中で、会社として大切にしたいと思っていることがあります。それは「摩擦を恐れない」ということと、「相手を思い遣る」ということです。

私たちはどうしても越境の価値を妄信してしまっているところがあるように感じています。また、ちょっと実績も増えてきています。そんなわけで、越境という取り組みに対して疑問を抱く人や、越境したけどうまくいかなかった人と距離ができてしまう気がします。そうではなく、ネガティブな感情や違う意見ともしっかりと向き合っていきたい。ぶつかること、摩擦が起きることこそ、新たなものを生み出す力になると思うのです。

ただ、だからと言って、何でもかんでも摩擦を起こせばよいということでは当然ないわけで、「相手を思い遣る」ことを大切にしなくちゃ。異なる世界を繋ぐことを生業としているわけですから、私たちがいろいろな立場の人の気持ちを分かっていなくてはいけない。そういう、端的に言うと優しい気持ちを、ちゃんと持っていなくてはと思うのです。

そうやって、摩擦と思い遣りによって、想いの純度というものを高めていこう。そんな風に思っています。

ということで、2022年のローンディールは「摩擦」と「思い遣り」を大切に、「選択肢」を届けていくことを精一杯やってまいります。つきましては、どうか私たちの起こす「摩擦」にお付き合いいただけますよう、そしてご指導ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。


追伸

年初一発目の選択肢はこれです!ご興味あれば、ぜひ。


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