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ファンクラブを楽しく活動したいのならーヅカ友からのアドバイスー

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食事がどんどん運ばれてくる。
カジュアルなイタリアンとはいえ、一品ずつ頼めばまあまあ金額がいくものだ。

澪と璃子はお酒も飲むが結構食べる。
その割に身体が細いのは、宝塚のファンで追っかけに近い活動をするには体力がいるからだろう。

たとえば入り出の待ち時間。
スターさんが現れるまでに1時間以上待つのはザラ。しかもひざを曲げたままかがんでいるのだ。あのかがむって意外としんどいですよ。

そして宝塚の生徒さんが現れると一旦立ち上がって迎えなくてはならない。
あれは本当に勘弁してほしい。若い私でもキツいのだから、お年を召した方にとってはかなり厳しいと思う。
でもあのスクワットがあったからこそ保たれるこの体型かもしれない。


私はお酒をほとんど飲めないので、会話の内容はほぼオール覚えている。
2人がすっかり酔っぱらって本音を吐き始めるころには、こちらがハラハラするような話題まで持ち出してきた。


ファンクラブ歴が長いと横のつながりが出来て、いろいろな情報が勝手に入ってくるらしい。
お酒の勢いでしゃべりだしたのは、ファンクラブ幹部のある女性についてだった。

「椿のファンクラブ入ってどれくらい?」

まだ入ったばっかりなんです、と答えると
「じゃあ、あのスタッフさんわかる?」と聞かれた。

私はまだ本当に入ったばっかりでちょっとわからない、と答えると2人は言葉を濁して「じゃあいいわ」と言う。


なんだよー、気になるじゃんかよーと言いたいところをグッとこらえしばらく聞いていると、どうも椿のファンクラブは規律がとっても厳しいらしい。

特にその幹部の女性が厳しく、その人には絶対に逆らわないほうがいいと釘を刺された。

その時には何が気に障るのかはさっぱり教えてくれなかったのだが、とにかく会の中で嫌われるとなにかとつらい目にあうという。
この場合、嫌われる=問題視されるということだ。
特にその人に嫌われた人は過去、退会を余儀なくされたと聞いた。

いったい何があったのかは知らない。けどどんな場所であっても女性というのは理不尽なものだ。
気にいらない、に理由はいらない。

男性にはわからないかもしれないが、女性は昨日良かったことでも今日イヤになることがある。
近しい人であっても喜ばしい出来事に嫉妬したり、妬んだり。
自分よりも不幸な人には寛大になれるけど、心に余裕がない時は幸せな人を見て落ち込む。

会の中でよほど問題を起こしたのなら扱いが悪くなっても仕方のないことだが、いったいどんなことがあったのか。いまとなってはわからない。

ちなみに宝塚のファンクラブというのは、会で用意するチケットを買うこととお花代、入り出の出席率で会員ランクがある程度決まってくる。

会員ランクは決して本人には知らされず、上層部のスタッフのみに共有されているらしい。

つまり上層部のスタッフに嫌われてしまうと、会の席を用意してもらえなかったりお茶会の席が悪くなったりするということだ。

私は前回の贔屓のとき、そこまでファンクラブ活動をしていなかった。だから用意された席はとっても悪かったし、お茶会も真ん中より絶対後ろ。

その時は悪いのが当然と思っていたのだが、今回は違う。
会の席は後ろでも仕方ないけど、お茶会はなるべく近くで見たい。


とにかく嫌われたくない、それだけが気になる。

「どうしたらいいですか?」

と、すがる思いで思い切って2人に聞いてみた。


すると2人はこう答えてくれた。

「ファンクラブ席のチケットを1公演中何枚かは頼むこと」
「お花代を必ず入れる、もしくは手渡しすること」
「チケット枚数で稼げない人は入り出で点数を取ること」
「入り出で目立った行動をしないこと」


これさえ守っていれば、普通に活動しているうちにランクは上がっていくという。
私は酔っぱらった2人の言葉をシラフの頭にしっかり叩き込んでいた。







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