上田文人の世界に惚れ込んで
「ワンダと巨像」で上田さんが作る世界にハマったことをきっかけに購入したゲーム「人喰いの大鷲トリコ」を昨日ようやくクリアした。
そして思った。やはり私は上田さんの作る世界が心底好きなのだと。
謎は謎のまま
前作ワンダと巨像でもそうだったが、説明を極限まで削いで作られた世界観が凄く好きだ。舞台となる世界の成り立ちについて説明は一切なし。結局大鷲を操っていたあの装置は何だったのか?ヨロイは?少年が連れ去られる扉の先には何があるのか?疑問は無限に出てくるが、その答えを得ることはできない。
ただ、そういう世界があるという事実しかわからないのだ。
謎を謎のまま楽しめる人が少なくなったとエヴァの庵野監督は言っていた。
謎に包まれた世界は神秘性を帯びる一方、一般の人に受け入れ難い存在になっていく。わかりやすさを求められる現代のエンタメの逆をいくのは難しいことだろう。しかし、私のような世界観に心底惚れるファンを一定数生み出すこともできるのだ。一ファンの我儘を言うなれば、どうか次回作も上田さんの言葉のないゲーム作りを続けてほしいと願っている。
思い出の大鷲
まるで夢の中にいるような、光が強めに表現されたグラフィックがとにかく好きだ。やりすぎだと思うぐらい、キラキラした光の表現は、少年の美しい思い出を表すためのものではないかと思う。
また、その光は少年とトリコに儚さを纏わせる。初回限定版のミニポスターなんかは儚さが凄すぎて誇張抜きで感動してしまった。
人生においては僅かだが、一生残り続ける美しい時間を切り取ったかのような一枚の写真。少年を乗せ、やさしい陽の光を浴びる大鷲は、きっと思い出になってしまったのだ。
”あの頃の一枚”を表したかのようなポスターに、上田文人の魅力がつまっていると私は思う。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?