見出し画像

freestyle 18 チョーマツ

 息子は一人っ子です。

 たびたびエッセイにも登場するので、クリエーターページのプロフィールのところにも「息子ひとり」と書きました。

 とはいえ、彼は好きで一人っ子になったわけではなく、私と夫というペアに息子以外に子供がいなかったために、一人っ子になっただけのこと。

 しかしながら息子について語るとき私は、

一人っ子なのでわがままで、マイペースで」

 などと、言ったりしてしまいます。

 たとえば学校の面談なんかで。

 そう言われた当の本人の気持ちを思うと、チクリと胸に痛みが走るのですが、でも言ってしまう。

 なぜか。

 ドップリ昭和育ちの私は、基本的に、あまり親しくない人や世間様に対しては「へりくだる」という癖がついています。

「面談」なんてオフィシャルことになると、とたんに無意識に自分側を下げようとしてしまうのです。

 先日、フランスに長く住んでいた方と子育ての話になり、フランスではママ友作りの際、「はじめまして」の次に、まず自分の子を褒めるところから始まる、と言っていました。

 日本ではどちらかというと「互いの子を褒め合う」という形がスタンダードな気がしますが、その際、相手の方やお子さんのことを良く知らない場合や、自分の子を褒められた場合など、あえて自分の子を下げる、ということをしてしまいがちなように思います。

 「一人っ子だから、わがままでマイペース」というのは、勝手な思い込みに過ぎず、根拠はありません。

 息子にしてみれば「一人っ子」に生まれたというだけで、わがままでマイペースだと決めつけられて不快だろうし、「一人っ子」とはそういうものと、親が子に価値観を刷り込んでいることにもなります。

 一時期流行った血液型占いだって、「刷り込みになる」と言われて最近はめっきり聞かなくなりました。

 実際、B型やAB型など少数派が差別されることも少なくありませんでした。△型だからなぁ~と納得するのは良いこともある反面、その△型の持つ特性(それも根拠はない)を揶揄するようなムードもありました。

 確かに昨今、長子・中間子・末子などの兄弟順によって性格が形成されるという研究もされていて書籍も多く出ています。

 子の個性・親の性格や育て方、環境によって違うでしょうし、何事も「決めつけ」は良くないように思います。

 子供を育てている今、ネガティブなモノの見方や考え方が百害あって一利なし、ということを日々痛感していますが、私は性格上、物事をネガティブにとらえがち。

 どのようなものごとにも「いい側面」「悪い側面」と捉えられることがあり、感じ方はその時の状況や主観によってずいぶん変わると思うのですが。私はどうしても「よくないほう」「だめなほう」ばかりに目を向けてしまうのです。

 ですから今回のリコさんの企画「素敵な一人っ子ストーリー」にはハッとさせられました。でも、上記のような親である私は、なかなかこの企画に乗ろうという気持ちになれませんでした。

 素敵な話、ないな…

 そう思っていたのです。

 それでも、なんとなく気になり続け、思い出したようにリコさんの記事を読むうちに、いつのまにか、自分も前向きに何か探してみたいような気持ちになってきました。

 その昔、世界名作劇場に「愛少女ポリアンナ物語」という作品がありました。

 お話の筋は覚えていないのですが、「よかった探し」と言って誰にでもなんにでもいいところを探す、今でいうポジティブ・シンキングの元祖のような少女の話です。
 ちなみにアニメでは「よかった探し」でしたが、私はなぜかずっと「いいとこさがし」と覚えていました。もしかしたら子供の頃に児童文学の「少女ポリアンナ」を読んでいたかもしれないのですが、どの訳のどの本を読んだか全く覚えていません。

 当時思春期だった私は、すでに世界名作劇場は卒業に差し掛かっていて、時折、それしか見るものがない時などにチラチラ横目で見ていました。ポリアンナがキラキラした目で周囲の人の良いところだけを見て褒めちぎる段になると、なんとなく居心地が悪くムズムズとしたものです。

 きっと私は少女の頃から、「よかった探し」が苦手なタイプだったのでしょう。

 でも、今の私にはそれが必要なようです。

 少しずつ、「思い込み」を覆していかなければ。

 ところで、気になっているのが「一人っ子」という呼び方。

 どうも、「ひとりよがり」「ひとりぼっち」「ひとり相撲」みたいな、いまひとつ「いい感じ」がしないのは、私だけでしょうか。

 長子ちょうしでもあり末子まっしでもあるのだから、いっそ長末子ちょうまっしとか。

「うちの子、チョウマッシなんですよ」。

 なんかコントが始まりそうな感じ。

 どーもー。チョウマッシでーす!

 チョーマツ、にしてもいいかもしれない。

 ユーチューバーにいてもおかしくない。

 はい、どーも!チョーマツです!

 そしたら先生にも

「いやぁ、うちはチョーマツなので〜毎日面白いことしてくれます」

 と言えばいいんだし、そうすると、

「ああ~チョーマツですか、いいですねぇ。このまま良いところをのばしてあげてくださいね~」

 と言われそうな気がする。

 一人っ子あらためチョーマツ。

 ……。

 ところで息子は、この記事を読むまで(本人の承諾を得たかったので無理やり読ませた)、一人っ子にネガティブなイメージがあるなんて知らなかったそうです。

 一人っ子だからって何か言われたことないなー。兄弟とかいいなーって思うことはあるけど。一人っ子いいよ、別に。いいなーって言われたことあるし、悪いと思ったことない。世間にそんなイメージあるんだー、へー。知らん。てか、一人っ子だからわがままとかムカつくわ。まー勝手に思われたってどうでもいいけど、親が思ってんのはダメでしょ。それにムカついたわ(👈※母注:今は全てが"ムカつく“一択の季節)

 え?
 …あんだって?

 知らなかったって…

 そもそも私、アナタの前で何度も言いましたが?

 人の話、聞いてます?

 のんきか!

 それともポリアンナ2世?

 無敵の自己肯定感。

 うん。

 でもきっとこれこそが、"チョーマツ“の良いところだと思います。笑






















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?