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テレビはお好きですか

 最近は、あまりテレビを見ません。

 普段は、朝の9時くらいになるとテレビを消してしまいます。
 それまでは、時計がわりと、天気予報を見るためにつけます。
 CMがあるとなんとなく焦るので、朝はNHKが多いです。

 ドラマを観るときは、1クールが終わった後に、配信で観るようになりました。一気に観たり、途中で一時停止にしたりが自由自在なので、大変助かるシステムです。

 ですので今年、大河を毎週楽しみにしているのは、私にしてはとても珍しいことです。

 子供の頃は、もちろんテレビが好きでした。好きでしたけれど、我が家はあまり、テレビを自由に見ることができる家ではありませんでした。
 テレビは常についているのですが、チャンネル権(昔はチャンネルを選ぶ権利の家族内順位がありました)は決まっていて、子供が優先されることはめったにありませんでした。親が見るものを子供も一緒に見るのが基本です。あ、我が家は。

 私は地方に住んでいたので、当時、地方では、地方のテレビ局が様々な局から番組を買い付けてきて、それを放送するという形でした。

 局の系列というものもあるので、私の住んでいる地方のチャンネルは確かフジが映らなかったり、TBSが映らなかったりしたように思います。

 地方と言っても、たとえば少し都市に近い地域に住んでいる友達は、別の地方局が放映する番組を視聴することができました。

 ラジオみたいに、場所によって見られる地域と見られない地域があったのです。

 中学の時、友達がしてくれるTBS系のドラマの話が楽しみでした。

 『スチュワーデス物語』
 『金八先生』
 『ふぞろいの林檎たち』

 それらは中間休みの友達の話でストーリーを掴んだものでした。中間休みで語り切れないときは、昼休みに。

 だから私のテレビ体験には、「想像するテレビ」が入っています。

 地元を離れ一人暮らしを始め、大学生の頃が、いちばん、テレビを見ていたと思います。

 おりしも『東京ラブストーリー』の時代。

 あのころは、なにより自分に時間がありましたが、ドラマもバラエティも華やかな、テレビそのものが、まさしくバブルの花が咲いていたような時代だったかもしれません。

 『東京ラブストーリー』に代表される「トレンディドラマ」や『もう誰も愛さない』などの「ジェットコースタードラマ」を毎週楽しみにして、ビデオにダビングしてまで視聴していました。

 『ねるとん紅鯨団』なども楽しみにしていました。今でもバラエティで「ちょっと待ったー」などと聞こえてくることがあり、結構息の長い「流行語」を作り出していたんだなと思います。

 それこそ今年の大河の三谷幸喜さんの『やっぱり猫が好き』も大好きでした。恩田三姉妹のアドリブ満載のシチュエーション・コメディ。設定が凝っていましたね。三谷さん、今も大河で人物に細かい設定をつけてるんだろうかとなんとなく想像してしまいます。

 当時は多くの人が同じ番組を同じ時間に視聴するのが当たり前で、視聴率というのがあたかも神のごとくに崇められていたように思います。

 今も華やかな業界であることには違いないと思うのですが、私はいつのころからか、テレビを見ることが激減しました。

 動画配信などほかに面白いものがたくさんあるから、なのか、よく言われるようにテレビ番組の質の低下なのか、年齢を重ねると若いころのように箸が転がっても笑えるような肉体的条件を失うのか、それはわかりません。

 我が家にテレビはありますし、当然の家電として我が物顔に鎮座マシマシておりますが、息子も特別に観たがりません。彼は動画で十分。なんなら見逃したテレビも解説動画で後追いすればそれでOK 。ネットミーム(ミームという言葉の初出がリチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』だったと最近になって知り、驚いている私)になった動画の元ネタを追って、突然「江南スタイル」とか「MCハマー」とか言い出すのでビックリします。

 いつの時代の何の話?

 ちなみに「一発屋カテゴリ」の曲や言葉、人物というのは、時を超えて「ネタ」という思いもかけない形で後から突然話題になったりするので面白いですね。やっぱり何か、人の心をつかむものがあったということなんでしょうか。

 我が家でテレビを見たがるのは仕事から帰宅してはぁ~と深いため息とともに冷蔵庫に直行し、アイスを出してすぐにテレビをつける昭和・平成を引きずった男、約1名。見なくてもテレビをつけています。

 最近は朝ドラがいまひとつで、ただついているだけなので、先日は気が付いたら終わっていました。さ、朝ごはんでもとやっと座ったら、たまたま渡辺直美さんが出ていました。

 インスタのフォロワー数が世界で990万人。
 ものすごいインフルエンサーです。
 日本での成功と全財産をなげうってニューヨークに移住。
 いつも前を向いていて人を笑わせ、自分も笑っている彼女を、不思議といつまでも見ていたくなります。

 考えてみたら、私が渡辺直美さんを知ったのはテレビでした。

 私はまだまだテレビからたくさんの楽しみエンタメを享受しているし、情報源として期待もしているんだなと、そのときふと、思いました。

 渡辺直美さんのインスタはフォローしていないけれどテレビで彼女の活躍を知ることができているし、彼女自身も、SNSだけではなく、テレビもひとつの発信メディアとして機能しているという認識があるから、テレビに出ているのだと思います。
 そういう意味では、まだまだテレビにも存在理由はある、ということなのでしょう。

 息子はテレビではなく、全く違う方向から、渡辺直美さんを知ったようです。エンタメの発信や情報源として、さしてテレビに期待している様子がありません。

 エンタメ・情報メディアの王座として君臨していたテレビですが、いつのまにか「多くの選択肢の中のひとつ」に埋没していくのかもしれません。いや、もうそうなっているのでしょう。

 エンタメの在り方や、情報の得かたは刻々と変化して、もう「なにかひとつから」というのはあり得ない時代になってしまったんだなとしみじみ思う今日この頃です。

 でももしテレビが壊れたら、やっぱりまだ買いなおすような気がします。
 部屋の風景にあまりにも溶け込んでいるテレビ。
 ないと寂しいような気がしてしまうテレビ。

 みなさんは、テレビ、お好きですか?














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