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ネット依存の回復ステップvol.1「依存に気付く」

こんにちは。ネット/スマホ/ゲーム依存回復支援サービスMIRA-i(ミライ)です。
今週から、「ネット依存の回復ステップ」について全5回シリーズでご説明していきます。

はじめに

親御さんの中には、「このまま子どもが依存状態から抜け出せないんじゃないか」と戸惑ったり、「色々手は尽くしたけど何をしても効果がない…」と途方に暮れてしまったり。
子どもは本当に回復に向かうのか?と不安を抱えている方が多いのではないかと思います。

ネットやスマホ、ゲームに依存している状態から回復するには、「これさえすれば良い」という解決策は存在せず、回復まで一進一退を繰り返していくため時間がかかるものです。

回復に至るステップを知っていただくことで、「今はどの段階なのか」を把握し、先の見通しを持つことができると思います。ぜひ、ネット依存で悩んでいる方のご参考になればと思います。

依存状態に気付く

回復への第一歩は、まず自らの状態に気付くことから始まります。

しかし依存症は「否認の病」と言われるように、本人は自分が依存症であることをなかなか認められません。
「これくらい大したことない」、「いつでもやめられる」などと軽く考えたり、「ゲームをやめても良いことなんてない」とあきらめたりします。

とはいえ、実は本人も「このままじゃまずいな」という自覚をどこかで持っていると言われます。ネットやゲームが心の支えにもなっているため、やめる決心がつかず、やめたいけどやめられないという相反する気持ちを持ち、内心では葛藤しています。

家族は、ゲームをしていて入浴や食事をおろそかにする、成績が下がる、スマホを取り上げると目つきが変えて怒るなど、本人の変化に気付き、心配を募らせます。
ただし、一方的に本人にやめるよう説得しても衝突してしまいます。まず家族は依存状態に気付き、本人への理解を深めていくことが大切です。

どこからが依存か?

家族としても、客観的に見て依存なのか、判断しにくいかもしれません。
チェック方法がいくつかあるのでご紹介します。

世界保健機構(WHO)が認定した「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)」の第11回改訂版(ICD-11)では、ゲーム障害の診断基準が以下のように示されています。

・ゲームをする時間や頻度を自分でコントロールできない
・日常生活でゲームを他の何よりも優先させる
・生活に問題が生じてもゲームを続け、エスカレートさせる
これら3つの条件に当てはまる状態が1年以上続く

またインターネット依存の概念を提唱したキンバリー・ヤング(Kimberly S. Young, 1998)は以下のように定義しています。

インターネットに過度に没入してしまうあまり、コンピューターや携帯が使用できないと何らかの情緒的苛立ちを感じること、また実生活における人間関係を煩わしく感じたり、通常の対人関係や日常生活の心身状態に弊害が生じているにも関わらず、インターネットに精神的に嗜癖してしまう状態

ネット依存に関するスクリーニングテストもいくつかあります。
Internet Addiction Test (IAT)は、20項目の質問に対して5段階で回答するものです。

こちらは独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センターのホームページでチェックできます。

https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/screening/iat.html

気付いたら「つながる」

スクリーニングテスト等で依存状態に当てはまる場合は、まず医療機関、相談・支援機関に「つながる」必要があります。

「様子を見る」は危険です。子どもの場合、欲求をコントロールする機能が未熟であるため、急速に依存が進行する場合があります。
自己判断せず、まずは専門家に相談し、助言を得ていただきたいと思います。

依存の回復においては、家族だけで抱え込まずに医療機関や相談・支援機関から専門的なサポートを得ていくことが非常に重要です。
回復までの道のりではうまくいかないことも多く、ご本人・ご家族ともに不安や焦りを感じやすいため、いつでも誰かに相談できる環境を作っていくことが安心感にもつながります。

ネット依存に関しては、アルコール依存症などと比べて、専門的にみる医療機関、相談機関が少ないのが現状ですが、少しずつ増えてきています。

次回vol.2では、つながった後にどのような治療・支援が得られるかを具体的にご紹介していきます。

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