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宝石ルースを愛でる

光り物が好きで、昔は宝石屋のチラシを切り抜いて遊ぶような子供だった。
40代が見えてきた今も光り物は大好きで、いわゆるジュエリーというものも少ないながら購入して持っている。
そんな私が近年になって始めたのが、宝石のルース蒐集だ。
ルースとは、ジュエリーに加工する前の研磨しただけの宝石のこと。
ジュエリーに使えないような脆い硬度の宝石を楽しめたり、地金代や加工代がかからないこともあって良心価格で購入できたりするのがメリットだ。

現在集めたルースは60石+おまけなどでついてきたルース30石ほど。
ダイヤやエメラルド、ルビー、サファイアといったメジャーな石から三大希少石のパパラチアサファイア、アレキサンドライト、パライバトルマリンなども小粒ながら購入した。
同じ種類の石でも色が違ったりカットが違ったりして複数集めているものもある。
太陽光で退色してしまう石もあるので、基本的に鑑賞する時以外はルースケースを15個ずつ入れられる蓋付きの収納に保管している。
似た石もあるので、一つ一つルースの種類をルースケースの裏に貼ったマスキングテープに書き込んである。
太陽の下で収納の蓋を開けて眺めると、小さな石達がキラキラと輝いてとても美しい。
宝石は鉱物の中でも希少価値があって美しいものを指すらしい。
文字通り私の宝物だ。

ルースを扱う際に揃えておくと良いツールが幾つかある。
まずはルーペ。
私はレンズの歪みが少ないトリプレットの10倍ルーペと、8倍・20倍のルーペを持っている。
これで小さなルースを拡大し、つぶさに観察するのだ。
ジュエリーピンセット。ルースが滑り落ちないよう先端に加工がされているものが望ましい。
私はそうした加工がされた先端が違う形状のもの2本と、硬度の低い石を扱う用に柔らかい素材を使ったもの1本の計3本を持っている。
セーム皮(鹿革)のクロス。
ルースは輝いてなんぼだ。ルースについた指先の脂や汚れを拭き取る用に使っている。
最近は手袋をしてルースを扱うこともあるが、やはりクロスは持っておくとお手入れができるので良い。
白熱電球、LED、ブラックライトの光源。
石によっては光源で色が変わったり、紫外線照射で蛍光したりするものがある。
そうしたルースを鑑賞する際にライトがあると楽しい。

あると安心なのがジュエリートレイ。
ルースは小さなものや衝撃に弱いものが多いため、紛失や落下破損防止のために観察する時はジュエリートレイを下に敷いている。
一度固定していたピンセットがゆるんでルースがトレイに落ちたことがあり、あの時ほどジュエリートレイの上で扱っていて良かったと思ったことはない。
他にルース蒐集を始めてから使っているのはカラット秤と電子ノギスだ。
カラット秤とは、ルースの重さ(カラット数)を計ることができるものだ。
1カラットは0.2gなのだが、私が持っているルースはほとんどが1カラット以下なので、0.001gから計れる秤を使っている。
電子ノギスはルースの大きさを計るために使っている。
普通のノギスでも良いのだが、電子ノギスの方がぱっと見てすぐ数字がわかるので楽だ。

気が遠くなるほどの時間と奇跡を経て出来上がる宝石というものには、人間を惹き付けてやまない魅力がある。
パワーストーンなんて言ったりするが、最近は宝石の持つパワーを研究するジュウェルネス(ジュエル+ウェルネス※健康)という研究分野もあるらしい。
私はそういったものには懐疑的かつうといので、ただただ美しいからという理由でルースを集めている。
ジュエリーは身につける楽しさがあるが、ルースは留められていない分、様々な角度から鑑賞できるのが楽しい。
ルース蒐集の沼を石沼というそうだが、私は罪深いことに片足どころか両足突っ込んだ状態だ。
鉱物標本なんかも面白いのだが、石の美しさに加えて研磨という人の技術が加わったルースというものには違った面白さがある。
ある程度欲しい石は買ったものの、これからも綺麗なルースを見かけたら欲しくなってしまうのだろう。
机の上がルースケース収納と道具でいっぱいにならない程度に欲望を抑えておきたい。

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