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折り紙から世界を眺める

外国に行くと、日本の文化の紹介をするシーンがしばしばあります。
私は和太鼓をやったり、日本の伝統工芸を大学で学んだりしてきましたが、日本の文化を海外に持っていくのに、和太鼓や機織り機を抱えていくわけにもいきません。

そこで、小さめの折り紙を持って行っています。
これが結構面白い。

オリガミは世界中で大人気

メキシコシティでは、駅の大きなショーケースに地元の折り紙サークルの人たちの作品が展示してありました。日系の方が教えているのでしょうか。それとも自発的に本などで学んでいるのでしょうか。
異国で出会う折り紙は、なんだかそこだけ日本の幼稚園みたいになっていて、不思議な空間でした。

そして、そのショーケースにたくさんの人が張り付いて見ていたのです!
えっと、わたし、折り紙持ってますよ……
折り紙を取り出して折り始めたら、人々が集まってきました。四角い紙から鶴が生まれると、ほぉーーーというため息。
羽が動くようにしっぽの折り返しを工夫して、羽をパタパタさせると、手に取って動かしたり、開いてみて分解したり。

そう、メキシコはちょっと特殊でした。
ジャングルの奥の小さな家にホームステイさせていただいたとき、夜に絵を描いたり折り紙を折っていると、宿の子供たちがやってきて一緒に折るのです。
そして、出来上がった不細工な鶴や舟を見て、お互いにツッコミあって、ゲラゲラと爆笑。

何が特殊かというと、一緒に折ろうという民族はかなり少ないんですよ。
どの国でも、折って!作って!とは言われますが、たいていは自分で作ろうとはしない。

モロッコでは子供たちが並んで、作ってもらうのを待っていました。一緒に折ろうと紙を渡そうとしても首を振るばかり。
また、貧しい地域、喜捨の文化があって貰う側の子たちほど、一緒に作りませんでした。「人からもらう」ということに慣れているのだと思います。

タイで子供たちと遊んだとき。ヤシの葉を取ってきてかごを編み方を教えてくれました。この子たちのお母さんは外国人向けのガイドでしたので、少し裕福な子たちだったと思います。
自分の手で何かを作ること。
しかもそれが生活必需品ではなく、観光客に売るための人形でもなく、楽しむために作るというのは、国や人によっては少し難しいことなのかもしれません。

※マンガは左上からお読みください(左綴じ)

ティオティワカン行きのバスの中で(メキシコ)

そして、バスのターミナルでの長い待ち時間で、また電車の中でぐずっている子に、どこでも誰にでも折り紙は大活躍。
バスでさっきまで泣き叫んで私の背もたれをガンガン蹴っ飛ばしていた男の子も、座席の隙間からそっと差し出した折り鶴で、しばらくは泣き止みます。
蓮の花は仏教圏で大活躍。難しい折り紙ですが、出来上がると仏教国の人はみんな「あれか!」という顔をします。

だから、旅のお供に折り紙をひとつ、いかがでしょう。
綺麗な和柄だと、メモとして人に渡すのにも使えます。正方形の色紙というだけでかなり珍しいものなんですよね。

旅行鞄に日本の文化を少しだけ。
鶴の折り方を復習しておいてね!

サポート頂けましたら、際限なく降りかかってくる紙代と画材代に充てたいと思います。