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ドラマで勉強「虎に翼(第19週第94話まで)」

20歳過ぎに美輪明宏さんの「友の会」に入りました。
いわゆるファンクラブですね。
そして毎年コンサートに行っていました。

ご存知の方も多いと思いますが。
美輪様は10歳の時に長崎で被爆しています。

コンサートでいつも話すのは「戦争の前と後で全く価値観が変わった。何もかも信じられなくなった」という内容。

戦時中は西洋文化は御法度だし、国(軍)の元に国民は武器を持たされた。
軍が国民を所有物として使っていた。女性に人権はなかったけど、その頃は国民は「人」として見られていたのだろうか?

戦後は「平等・平和」という言葉と共に、天皇さえも人間となった。
西洋文化がドッと押し寄せてきた。

美佐江が言った

「自分でもようく分かっています。私はとても恵まれているって。家庭環境も自分自身も何もせず誰かが近寄ってくるということは私にそういう魅力があるんでしょう。(中略)でもなぜ悪いことに定義されるのか分からない。どうして悪い人からものを盗んではいけないのか。どうして自分の体を好きに使ってはいけないのか。どうして人を殺してはいけないのか。」

これは「戦前・戦後の矛盾に反発しているんだな」と思いがちだが、もう少し考えてみた。

最初に引っかかったのは「何もせず誰かが近寄ってくるということは私にそういう魅力があるんでしょう。」という部分と、「どうして自分の体を好きに使ってはいけないのか。」の部分。

地主の娘だからチヤホヤされる、とはニュアンスが違う気がする。

今で言えば性被害に近いことがあったのではないだろうか?それに近い経験のある人は自分の体をぞんざいに扱う傾向がある。
確か美佐江が補導された事件は美人局的なものだった。

「どうして人を殺してはいけないのか」
これも「戦時中は殺して良かったのに」ということではない。

「殺したくないけど、軍や上官が殺せというから殺した」に過ぎない。
「やった〜、殺していいんだ〜」なんてウキウキと戦地に行った人はいないだろう。
「殺したくない」と思いながら、目を瞑りながら敵に銃を向けていたはず。

その最中は誰もが狂っている状態なのやれたかもしれないけど。生き残った人の何人かはそのまま狂気の中におり、その他の人は口をつぐんだ。祖父も戦争に行ったけど、具体的な話は聞くことは出来なかった。

例えば、殺したいほど憎い相手がいたとして。
「刑罰も与えないので殺していいですよ」と目の前に連れてこられたら。

憎しみの程度にもよるが、多くの人は実際に行動に起こせないと思う。
心では実行したいと思っているのに出来ない。
人を殺すという行為は本能的に怖い、と思うのではないだろうか?

だから「どうして人を殺してはいけないのか。」という問いが出ることが異常に感じる。
結局、美佐江の件は持ち越しになってしまった。
いつの間にか帝大が東大と呼ばれ、東京に行ってしまった。

「”悪い”とされていること。それはなぜ、”悪いこと”に定義されるのか」
確かに難しい。
もちろん秩序や倫理も絡むと思うが、先に書いた通り本能もあると思う。

悪い人からものを盗むことは、私刑の発想。
自分の体を好きに使うことは、自分の体をモノと思っていること。

美佐江には「人は生きている」「人には感情がある」という感覚が乏しい気もする。
スッキリしたければ自分ですればいいのに、赤い腕飾りのしもべにやらせる。

そこがイマイチ腑に落ちない。自分がスッキリするには自分で体感しなくちゃいけないでしょ?

頭の良い彼女は、どの行為も「愚か」と理解しているのだろう。でもきっと心にはポッカリと穴が空いていて、無価値観のようなものが支配しているのではないだろうか。

そしてペラッと言いくるめられて実行してしまうしもべ達を悲しく嘲笑ってる。こんな無価値な私の言いなりになるなんて、どいつもこいつも愚かだ。「この無価値な私を崇拝し媚びてくる」愚か者が増えれば増えるほど、虚無は心の中で大きくなっていくのだ。
これも自傷の一つに思える。

寅子が目の前で優未を咄嗟に庇った時。獲物を見つけた、というより「この人は大切なものがちゃんとあるんだな」と思ったような目だった。


とまぁ、色々ありつつ航一さんと寅子の気持ちの距離が縮まろうとしていた。
多分、寅子にとって初めての「これが恋?」的なものだろう。

優三さんへの気持ちは恋ではないでと思う。
ちょっとした心の揺れはあったけど。
以前の記事で「思ったよりも優三さんを愛していることに気がついた」と書いたけど、やっぱり違うかな、と思い直している。

契約結婚がスタートだったことは今でも寅子を縛っていたんだね。出征前の約束を果たすことが恩返し、と思って生きてきた寅子。「お世話になった大切な人」に近いのかもしれない。一生、その恩返しをしていこうと思っていたのだろうか?

だから思いがけず航一さんに惹かれている自分に戸惑うし、初めて感じる「好き」という能動的な気持ちを表に出したら優三さんを裏切ってしまう気持ちになる。

ここで優未が超ファインプレー。
恋愛と言えば花江ちゃんですね。久しぶりに花江ちゃんが登場してパッと画面が華やかになって救われた。新潟編は変に重かったので。

そしてお守りに入っていた優三さんからのラストレター。
Xで誰かが「優三さんの最後の関白宣言」と言っていたけど、本当にその通り。

最近、仲野太賀さんはポルシェに乗るチャラい美容皮膚科で、昨日などはSMの女王様に鞭で打たれていたので、若干頭がバグった。
同時期に違う番組には出ないほうがいいのかも(視聴者的にです)

涙無くしては見れなかった優三さんの手紙。

トラちゃん
もし、トラちゃんの元に帰ることが出来なかったら。そう思ってこの手紙をしたためています。僕の望みは前に話したけれど、もう一つだけ望みを増やしていいですか。

弱音を吐くことが出来ること、正しくないトラちゃんを好きでいてくれる人を見つけて下さい。できれば心から恋して、愛する人を見つけて下さい。

でも、見た目とか、甘い言葉を囁く相手に騙されちゃいけない。トラちゃんと優未をスンとさせる相手はダメ。トラちゃんと優未を縛る相手はダメ。トラちゃんと優未の笑顔を奪う相手はダメ。トラちゃんを心底愛せない相手はダメだ。

でも、その人を前にして胸が高鳴って仕方がないのなら、その人が好きなら、今書いたことも僕も全て忘れてその人の元に飛んで行って欲い。トラちゃん、自分を信じて。そんなトラちゃんを僕は信じる。優未もお母さんを信じて。優未のことずっと見守っているよ。二人のことを誰よりも何よりも一番愛しています。

前半は優三さんがトラちゃんにしてきたことを書いているんですね。
そして沢山の注意事項。大切な人だからこそ「あれこれ」書いてしまう。

最後は自分のことを書いたのでしょう。
寅子を前にして胸が高鳴って仕方がない。だからワンチャンにかけてプロポーズをした。あの時、優三さんは寅子に向かって飛んでいき、そして最後まで幸せだったのだ。

「僕のような人を選んでね」と書いておきながら、「自分と同じような幸せを掴んで欲い」とも思い。最後は「信じる」という言葉で寅子を手放した優三さん。

本当に愛。

優未が急に大人になったのは、この手紙を読んだからかな。
お父さんに愛されている実感。

優未が寅子の背中をさする。
今回も優未が寅子を抱きしめた感じですね。


昔の映画「モロッコ」を思い出しました。

マレーネ・ディートリヒが演ずるのはプライドの高い踊り子・アミー。外人部隊のトムと引かれ合いますが、お互い素直になれず。アミーは富豪のベシエールと婚約。

外人部隊って粗野で貧乏で住所不定。ゴロツキ・ジプシーみたいなものです。富豪とは真逆の人たち。お金の為に戦いのある場所を渡り歩いていく。

トムが新しい戦地に旅立った時、ベシエールはアミーを手放します。背中を押した、でもいいかも。

砂漠の中、外人部隊が歩いていく。その後ろを愛人達が牛や馬を引っ張ってゾロゾロと従っていく。
アミーはトムを追いかけます。プライドと都会の女の象徴のハイヒールを脱ぎ捨て、裸足になり、牛(だったかな?)の紐を他の愛人お一緒に引っ張る。
ただの恋する女になり、好きな男についていく。このシーンは有名ですね。

「これが愛かぁ」と感動しました。

恋は縛り、愛は手放す、ですね。


タロットカードは何を選べばいいのか悩みました。
これにした。

カップのプリンス。

鷲または不死鳥に乗っているプリンスくん。

幾つか意味があるのですが、一つは「復活・復縁」
優三さんが手紙ですが復活しましたね。

それから「自分の感情を見つめる」カードでもあります。
これは怒りや悲しみ、恋のようなもの全てが心の動き、感情です。

プリンスくんは「過去の感情を捨てようか、どうしようか」と悩んでいる様子。
今週は自分たちの過去の傷と向き合う回でもありました。

生きている限り人は変わる。
亡くなった人への気持ちは残り、大切であることは変わりはない。
でも生きている側の心は変わっていくもの。

蠍座に対応するカードでもあり、蠍座は「死と再生」
感情面での「死と再生」です。

自分の気持ち、過去にとことん向き合った先にある光。
その光が見えるまではずっと潜っています。
浮上するキッカケやタイミングは一人では難しい。誰かの力が必要です。

涼子様が航一さんに、優未が花江ちゃんを連れてきたり。
そしいて優三さんの手紙。
「もういいよ」というポンと背中を叩く人がいて、「変わっていいんだ」「変わろう」と浮上していけるのでしょう。




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