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87歳の片付けと、日本の色辞典

“光る君へ”を見ていて思い出した本。
父が買って来た記憶があるが、似たような違う本だったかもしれない。
グラデーションに並んだ色、一つ一つの名前が美しかった。
読みたい、眺めたい。

収録した 466色のうち 209色の日本の伝統色を完璧に再現するとともに、和の色の歴史や文化を平易に解説。万葉から江戸時代の終わりまでの染職人が行っていた、自然の植物から日本の色を出す業を半生をかけて再現

吉岡幸雄著『源氏物語の色辞典』『王朝のかさね色辞典』と合わせて、日本の美しい色文化と四季の彩りをお楽しみください。

●『源氏物語の色辞典』
千年の物語は色をどのように語ったのか。五十四帖すべての王朝の彩りを絹布と和紙で蘇らせた吉岡幸雄とよしおか工房の偉業。

●『王朝のかさね色辞典』
王朝の美・襲の色目 (かさねのいろめ) 240色を染め和紙で完全再現。平安時代を知るために欠くことのできない王朝人の美意識。例えば桜の襲といっても20数種も数えられる。現代にも通じる配色の妙をお楽しみください

日本の色辞典 解説より
迫力。

目下、実家では不用品の片付け中。
両親が空き部屋に不用品を出して来て、
リサイクル業者に処分の見積もりを頼んだそう。
約40年分の、あれやこれや。
比較的近くにいる私がどうにかしなくてはと思いながら手伝えずにいて、ついに母が動き出した。
高齢の母を手伝えなかった不甲斐なさと、
身勝手ながら、やっとすっきりすると言う安心感もある。

週末に顔を出した私に、要る物があればよけておいてね、と母。
不用品が積まれた二つの部屋と納戸。
ひどい有様と聞いて来たが、既にある程度分別がされている。
夫から最初に逃げて来た時に使っていた、娘の小さな敷布団、
こんなに小さかったかと思う。
押入れから出して、処分する客用布団の上に置く。
他に、私の出来そうなことはもう殆ど無くなっていた。
炬燵の天板のような大きな油絵が、何十年かぶりに出して来て立て掛けてある。
引き出しの重たいビューローは松本民藝なのかな、これも処分するそう。
大量にあった母の洋裁道具は、ビューローの重たい引き出しにしまってあった。
母には、文字通り、何でも縫って貰った。
下北沢の生地屋さんに連れられて行ったのは私が小学生になった頃か。
母曰く、生地のセンスは良いが奥さんがおっかなくて、騒いだりしたら追い出されるのだと。
ビクビク大人しくしていたからか、何も起こらなかった。
その頃からの道具をいくつか取っておきたいと思ったが、そもそも私は洋裁ができない。
きれいなレースを一巻きだけよけておいた。

父が急に部屋に来て、母と口論を始めた。
母に言われ物の仕分けをしたものの、片付けする意味はなかったのじゃないかと怒っているみたい。
なんでそうなるの?そもそも、なぜ人任せなの?
私は、母を庇いつい口を出す。
しかし母の反撃に遭った。

片付けの意味は、あるでしょう!
投げ捨てたら清清する。
全部投げ捨てたいくらい。

父も私も、黙った。

外出もしたので、色の辞典を探す時間は無かった。
リビングで手持ち無沙汰にしていた娘は、分厚いグリム童話を一冊持ち帰ると言う。
いつものように父は外まで見送りに来てくれて
母は足が弱いので玄関先でじゃあね、と別れた。

母に聞くと、今残っている本は取っておくそうだ。
他にも読みたい本がある、良かった。


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