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子供の成長に寄り添う漫画

今回は、小学館の学年別学習雑誌と、児童向け漫画について語ろうと思う。


小学館 学年別学習雑誌の歴史

私は小学生の頃、この小学館の学年別学習雑誌を定期購読していた。確か、祖父が入学祝いに「小学一年生」を定期購読の契約をしてくれた。「小学二年生」以降は両親が買ってくれたと思う (少しうろ覚え)

この雑誌、何と今でもあるらしい。 創刊が1922年(大正11年)との事で、100年もの時を経て、未だに健在というのは驚いた。しかし、「小学二年生」から「小学六年生」は既に廃刊。残っているのは、「小学一年生」だけである。私の小学生の頃は、まだ揃っていたのに(大昔だけれど)

私は未婚だし、子供もいないので、平成以降の子供向けの商品や作品等については疎い事この上ない(ゲームは別)  例えば、アニメ「アンパンマン」も「クレヨンしんちゃん」もまともに観た事がない。それらの放送が始まった時には、もう高校生、もしくは大人だったので……。だから、学年別学習雑誌なんて、とっくに縁遠くなっている。

年齢に合わせたストーリー

みきおとミキオ

小学館の学年別学習雑誌には、「ドラえもん」や「オバケのQ太郎」など、セリフ、ストーリー構成など、それぞれの学年毎に合わせた形で掲載されていた。学年が上がるごとに、ほんの少しづつだが、難しい内容になっているのが面白い。

今回は、藤子・F・不二雄大全集「みきおとミキオ」に収録されている「バウバウ大臣」という作品を例に紹介する。

「バウバウ大臣」あらすじ

星野大二少年のもとに現れた、言葉を話すイヌのバウバウと、ネコのミウミウ。彼らは天の川の中心部に栄えたアマンガワ星のアマンガワ王国の高官たちの生まれ変わりだった。かつて3万年の歴史を誇ったアマンガワ王国は、百年前に巨大彗星の衝突で滅び去ったが、優れた科学力により住民たちはほかの星々の住民に生れ変わったのであり、しかも大二こそがアマンガワ王国の王子の生れ変わりなのだという。王国再建を目指して大二を王子として盛り立てようとするバウバウたちは、大二や周囲の人々を振り回し、ドタバタの日々を繰り広げる。

「バウバウ大臣」wikiより

新連載時の話を比較してみる(内容はほぼ同じ)

小学二年生版
「アマンガワ星からきたバウバウ」

主人公星野大二が、学校帰りに捨て犬を探している。

ガキ大将のカバグチが大二を空飛ぶ円盤の探検隊に無理やり入れる。

大二は反発してイヌを探す。

バウバウとミウミウに遭遇。

バウバウとミウミウが大二がアマンガワの王子の生まれ変わりなのを確認。

空飛ぶ円盤を探さないでイヌを探していた大二に、カバ口は怒って殴る。

カバ口の暴力から救ってもらう代わりに、バウバウとミウミウを家に連れて帰る。

小学四年生版
「ぼくが王子さま」

主人公星野大二がイヌを飼いたくて、イヌ小屋を作る。

近所の壁にイヌをもらいますとポスターを貼る。

ガールフレンドのウララにイヌとネコが原っぱにいると教わって行ってみたが、見た目が気に入らないのでスルー。

ガキ大将のカバグチ達に遭遇して、星野大二から、「星の王子さま」というあだ名を付けられて、空飛ぶ円盤を一緒に探せと言われるが断って家に戻る。

バウバウとミウミウが勝手に家に居座っている。

バウバウとミウミウは、大二の父の機嫌を取り、2匹を追い出そうとする大二に、父は一旦拾ってきた生き物をまた捨てるのはけしからんと怒る。

バウバウとミウミウが、大二がアマンガワ星の王子の生まれ変わりであるのを確認。

アマンガワ星は大きな彗星が衝突して滅びてしまったが、「生まれ変わり装置」により、大二は地球人に生まれ変わったと2匹は伝えて、大二に王国の再建を託す。

混乱した大二は頭を冷やす為に外に出て、カバグチに遭遇。カバグチが反抗した大二にキレて殴ろうとしたところをバウバウが助ける。ミウミウは、カバグチが王子のウマのカパカパの生まれ変わりであった事を見抜いて、不思議な光線でカバグチをウマ(だった頃の記憶)に戻して、大二を背に乗せて街を歩く。

小学二年生版が、ストーリー展開がかなりザックリしているところ、小学四年生版は、細かい設定が追加されている。作中にも、大二の父が拾ってきたイヌをまた捨てるのは良くないとか、説教も交えている。

本当は、「ドラえもん」辺りの小学一年生版と小学六年生版を比べられればもっと分かりやすいかもしれない。

小学低学年くらいまでは、自分と、その目の前に起こった出来事でしか判断出来ない事が、徐々に家族や友達との人間関係や、社会のルールや常識を段々と身に付けていく。当たり前だが、小学二年生の時には分からなかった概念が、小学四年生では少し分かるようになる。

学年別学習雑誌で掲載している漫画は、子供の成長に寄り添っていると思う。ただ、今は「小学一年生」しか発刊していないので、子供の成長と共に漫画の内容が変わっていく様子を今は見られない事は、残念だと思う。

おまけ 「エスパー魔美」

藤子・F・不二雄先生の作品といえば、私が1番好きなのは「エスパー魔美」である。

エスパー魔美 文庫版

主人公である女子中学生のマミ、父親が画家なのでヌードモデルのバイトをしている関係で、作中でも頻繁に裸になっていて、それがアニメでもしっかり描写されていた (決してエロシーンではないのだが) 令和では考えられない描写なので、地上波で再放送を観られる事は決してないだろう。

話の本筋は、超能力者として目覚めたマミが、頭脳明晰な親友である高畑の手厚いサポートを受けながら、超能力者として成長を重ねて人助けをするという話。

マミは頭はそんなに良くなく、おっちょこちょいで、でも、誰よりも優しい心の持ち主。情が深い故にすぐに事件にクビを突っ込む危なっかしいマミを、高畑は放ってはおけず、優秀な頭脳と冷静な判断力を駆使してサポートしていく。

この高畑君、実は私の人生最推しの男性キャラである。

高畑君は、頭脳明晰なのはもちろん、曲がった事が大嫌いで、決して嘘は付かない。マミがピンチの時は危険を顧みず助けに行く。頭脳に反して、運動神経は皆無なのだが、それでもマミを見捨てる事は決してない。容姿は賢いジャイアンで、俗に言うイケメンではないが、私は、むしろそこがいい!(マジで)  

高畑君みたいな男性が現れてくれたらいいなぁと夢見つつ、こんな年に。高畑君は、死ぬまで私の最推しキャラだと思う。

最後に

藤子・F・不二雄先生も、藤子不二雄A先生も、もうこの世にいない事が悲しい。

そういえば、「アンパンマン」のやなせ先生も、「クレヨンしんちゃん」の臼井先生も既にこの世にいない事を思い出した。

アニメは原作者がいなくても作れるものだが、この先、新たに子供の成長にた寄り添った児童向けマンガやアニメを牽引してくれるような漫画家と作品は現れるのだろうか。

それとも、現れないまま、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「アンパンマン」が、このまま永遠に続いていくのだろうか。もちろん、続いては欲しいが、新たな作品も見てみたい気はする。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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