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大きな活字の辞書を買ったが、そこには落とし穴があった


 近くのものが見えにくくなってきたのは、もうかれこれ10年くらい前のことだ。

 私はもともとド近眼で、高校生の頃から(んー、40年くらい前?)コンタクトレンズをしていた。最初からソフトコンタクトで、当時は毎日洗って煮沸消毒していた。一週間連続装着可能な商品が出たとき、面倒くさがりな私は、それに飛びついた。夜中に目が冷めても、風景が「ボヤ〜」っとしていないことに、とてつもなく感動したことを覚えている。

 そのうち、「ワンデー」という1日使い捨てコンタクトが発売された。コストパフォーマンスは悪いが、お手入れを一切しなくいいというその手軽さに魅了され、その後はそのワンデーを使い続けていた。

 ある日、いつものように車を運転していた私は、ふと見たカーナビの画面に違和感を感じた。あれ? 見にくい……。途中で寄ったSAで、スマホを弄ろうとしたら、もっと見にくい。画面の文字が滲む。
 ああ、昨日寝るのが遅かったからだな、今日は早く寝よう、なんて思ったのだが、早く寝た次の日も、やっぱり見にくかった。

 そもそもド近眼なので、近くの細かいものを見るのには、コンタクトやメガネを外した裸眼の方がよく見える。当時、アクセサリー制作をしていた私は、裸眼で目を酷使していた。そのせいか、まさかこの見えづらさが老眼だとは思っていなかったのだ。自分を知らないって、怖い。

 知り合いに「見えづらいのよ〜」と話したら「あんた、そりゃあ老眼だわさ」と言われ、初めてそのことに思い至った。そうなのか、老眼というのは、こんなに見えにくくなるものなのか……。
 早速、遠近両用のメガネを作った。最初は違和感があったがすぐに慣れ、近いところもよく見えるようになった。

 それでも、辞書なんかの小さい文字は、やっぱりメガネを外さないとよく見えない。厄介である。まあ、スマホで調べたらいいんだけど、私は紙の辞書も好きなのだ。辞書用に虫眼鏡でも買うか〜、とネットを見ていたら、「大きな活字の」という国語辞典があった。え、それいいじゃん。口コミを見ても「活字が大きくて見やすい」「母にプレゼントしたら喜ばれた」と、いいことがたくさん書いてある。私、それが是非欲しいです、と、ポチった。

大きさを「MAO」と比べてみた。

 そして届いた「大きな活字の」国語辞典。
 大きい。
 字も大きいが、図体もでかい。
 そして、重い……。

 そうか、大きな字で同じ情報量を入れようと思ったら、当然大きさも大きくなるし、その分重くなるわな。当然の理やんな。いや、失念していました……。

分厚さを、やっぱり「MAO」と比べてみた

 活字が大きくて、老眼に優しいこの辞書には、大変重宝するが持ち運ぶのは無理である、という落とし穴があった。
 というわけで、このでっかい辞書は、私の机の右側に、どっかりと「常設」されることになったのだった。

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