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「少年誌らしさ」を感じるのはどんなデザイン?個人的に検証してみた。

どうも、MIOです。

普段の業務ではフロントエンドエンジニアとしてWebサイトを作っていますが、副業でイラスト描いたり、週末にデザイン作ったりするような人間です。

さて、そんな私が今回社内の有志の同僚さんと一緒に技術書を作成した時に私はその書籍の表紙デザインを担当になったのですが、「少年誌っぽいトンマナで行こう!」という話になりました。そのとき、今まで表紙イラストは描いたことはあっても表紙デザインをしたことがない私としては「少年誌らしいデザインって何だ?」と思ったわけです。

そこで私は、現在出回っている少年誌と呼ばれる類のものをガーッと集めてデザイン分析を行ってみました。その結果、少年誌らしさを感じるデザインにはこういう特徴がある!というのを何となくですが掴めたので、ポイントを自分の備忘録的にまとめてみることにします。

少年誌の傾向分析に当たって

・どうやって分類するか

今回分析するにあたって「表紙レイアウト」「表紙タイトルロゴ」の二つに分けて見ていくことにしました。理由としては、制作するロゴが表紙だけではなく、ポップやポスターなどの他の印刷物に使おうとしていたので、ロゴ単体でデザインを見ていこうと思ったからです。

それぞれ見ていくにあたって正反対の二つの言葉をベースにしたマトリクス図での分類した方が特徴が見えてきそうだなと思ったので、以下のルールで少年誌のデザインを分類してみました。

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 伝統的なデザイン / 現代的なデザイン
レイアウト用の分類軸
 詰め気味のレイアウトか / 余裕のあるレイアウトか
ロゴ用の分類軸
 ゴツめのロゴか / スタイリッシュなロゴか

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まず共通の軸として「伝統的か現代的か」を元にそれぞれ左右に分類していき、グルーできたそれぞれの分類の中で「この軸で分類できそうだな」と思った要素をもう一つの軸としてさらに分類させていきました。


・参考にしたサイト

この↓サイトに掲載されてる少年誌引っ張ってきました。中にはアニメ誌も含まれてますが、今回は現代的な雑誌の一つとして一緒に混ぜ込んで分析してみました。


・このツール使ってやったよ

社内のデザイナーさんに教えてもらったツールMiroで分類していきました。ヴィジュアルボード作ったり情報どばーとまとめるのにめっちゃくちゃ便利すぎて愛用中です。


レイアウトから見る傾向分析

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・伝統的な少年誌の場合

まず「伝統的な少年誌」と感じる要素は、分類した結果以下の通りでした。

• 袋文字が多め。背後にイラストがかぶる関係で文字を埋もれさせないようにするためと推測される
• 人物一人のアップの顔が多い。人の顔を大きく載せる方が容易に訴求度を高められるからではないかと推測される
• 文字は基本ゴシック体。インパクト重視のためと考えられる。
• どこかに赤か黄色を用いてる。力強さかインパクトを感じる原色を用いることで注目を引く効果が生まれていそう。
• 色をたくさん使って全ての文字が主張しまくってる印象。
(とはいえ●ロコロコミックは異常)

「伝統的かどうか」という基準は「自分が小学生くらいの時に見た少年誌と同じようなイメージを持つか」をポイントに振り分けてみました。その結果、共通点としては「いかにして人の目を惹きつけるか」を重視してデザインを組んでいる傾向がみられるというところでした。


・現代的な少年誌の場合

それに対して、「現代的な少年誌」と感じる要素は、分類した結果こんなところなのではと感じました。

• フォントにこだわりがある。雑誌の掲載内容の傾向や特徴に合わせて変えているのを感じられる。
• 色は絵に合わせてメインとなる色を決めてバランスをとってる。なので情報量多くてもまとまって見える
• 余白は広めな感じが多い。というのも、表紙の絵が背景まで書き込んでいるものが割と多いので雰囲気を重視してレイアウトを組んでいる感じ

「現代的かどうか」という基準は伝統的な少年誌の時と逆で「小学生の時にみた記憶がないレイアウトをしているかどうか」をポイントに振り分けてみました。その結果、共通点としては「表紙の絵、または雑誌自体がもつブランドをアピールすること」を重視してデザインを組んでいる傾向がみられるというところでした。新しい雑誌な分、どうやって他の少年誌と差別化するか、というのを考えてデザインされている傾向があるなと感じました。


ロゴから見る傾向分析

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続いて表紙のロゴの分類調査です。

・伝統的な少年誌の場合

先ほどと同じく、まずは伝統的、と感じるのはどんな要素か分析した結果、こんな感じでした。

• 袋文字でぎっちりづめして縦長気味の角ばったフォントで一色で塗りつぶしたら一気に少年誌っぽさを感じさせる
• 例えば「週間少年」などのサブ名称の文字は、だいたいこんな感じで組まれることが多い
 * メイン雑誌名の文字の中に入れる
 * メイン雑誌名の上にかぶせる
 * フォント小さめにして縦書き配置
• 基本的にフォントの色の彩度は高いor有彩色を使用する傾向がある

上記の中でも特に「袋文字であること」は伝統的な少年誌ほどよく使われている手法だったので、袋文字にするだけでかなりお手軽に少年誌感を出せることがわかりました。


・現代的な少年誌の場合

対して現代的、と感じる要素は以下の通りでした。

• 伝統的なパターンから外れている(そらそうだ)。中でも袋文字を使わない、というのは結構大きい
• まるっこい、袋文字じゃない、フォントの線が細い、フォント文字色が一色ベタ塗りじゃない、というだけで結構今っぽい
• 袋文字でも色が透明度入ってたりすると現代っぽくなる。→透明にすることで表紙の絵の雰囲気を邪魔しにくくなるからと推測される

レイアウトの分析の時にわかったように、現代的だと感じる少年誌ほど表紙の絵、または雑誌自体がもつブランドや世界観を大事にしてデザインを組み立てている傾向があります。なのでロゴデザインに関しては「ロゴだけ見ればその雑誌とわかる」ということをポイントに差別化を強く意識しているように感じられました。あとは絵に合わせて色や透明度を調整したりしてもその雑誌とわかるように、という配慮も同じくらい感じられました。


今回わかったことまとめ

今回の分析を通じてわかったことをざっくりまとめるとのは以下の通りです。

伝統的な少年誌はパッとみたときのインパクトを重視してデザインを組んでいる傾向がある
   * 袋文字を表紙ロゴに使うと一気に伝統的少年誌感が出る
   * カラーには赤や黄色、フォントは太めのゴシックを使い、余白は詰め気味のぎっしり感を出すとよりそれらしさが出る
   * よりイメージの訴求度が増すので、表紙は一人の人物だけにすると伝統感に一役買うことができる
現代的な少年誌はその少年誌の掲載されている作品の傾向が表紙を通して伝わるようにデザインを組んでいる傾向がある
   * 表紙イラストに合わせて透明度や色を変更しやすいロゴデザイン(あるいは変更してもその雑誌とわかるロゴデザイン)を心がけている傾向がある
   * 余白は広めにしてバランスよく詳細情報を配置してもそれっぽさが出る
   * イラストは人物が複数人だったり背景までちゃんと書き込んでいるものを据えると現代感が増す

また今回分析して気づいたのは、レイアウトや文字のデザインだけではなく、表紙のイラストの特徴も現代感や伝統感を伝える重要な要素の一つということです。今回はレイアウトとロゴのみの分析でしたが、絵柄についても分析してみるとある程度「この傾向の雑誌にはこの絵柄が合いそうだ」というのが見えてきそうです。


そんな感じで少年誌のデザインについて分析した結果をどうデザインに落とし込んだのか、というのはまた別のnoteにまとめてありますので、よければ合わせてご覧ください。

私自身本職はデザイナーではないのですが、デザインに取り組むにあたってはある程度共通ルールを見つけた上で組んでいけば、ある一定のクオリティは到達できると信じてますので、また何かデザイナーとして参画する際はこの分析を行おうと思います。

こうやって自分が日頃見ているデザインを「なぜこのデザインなのか」「どうやったらこのデザインを作れるのか」というと視点で分析すると、新しい発見があって楽しいですしね。

ではまた。


読んでいただきありがとうございます。とりあえず温かい目で見守ってくださると嬉しいです。