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Cafe Carpe diem•••eigaとongaku. 7,


海辺の小さな町にある、カフェ•カルペディエムへようこそ•••。


暗い日曜日

 

 十年近く前に、私は、ある国の、ある街にいて、ある場所を探していました。


 探していた場所は、有名なカフェでしたが、もう一つ探していたのは、漠然とですが、ある映画の撮影現場です。


 その日は、休日て、沢山の人々が、待ち合わせをしている、目印になる、駅の出口にあるモニュメントの近くにいた、男性に聞くと、其のカフェは、「ワンブロック先の右手にあるよ。」と、教えてくれたのですが、私は、同時に、三叉路の間にある、レストランらしき建物を探していたのです。


  私が探していたカフェの名前は、カフェ•ジェルボーでした。



GERBEAUD


 この国は、オーストリアとニ国統治されていた時代があります。


 さて、この街とは?


此処を舞台に撮影された映画は、”暗い日曜日”で、
この国は、ハンガリー、そして、この街は・・・


そうです!正解!


ブダペスト、で•す。(発音は、ブタペッシュト)


 映画は、何やら辛気臭い映画の様ですが、それとは裏腹に、美しい、うっとりする様な街の様々な場所や建物に、心を奪われます。


 トップシーンで、タイトル上の写真にある、美しい鎖橋が、空撮で撮影されていて、主題曲のテーマが、現代風にアレンジして、おしゃれな感じで始まるのですが・・・。


 物語は、最初は、三角関係の恋愛ものと思いきや、謎のミステリアスな社会現象あり、戦争とヒューマンドラマあり、最後は、復讐劇に変容する、何とも複雑な、美しい、心に残る映画でした。


 まさか、其の数年後に、自分が其の場所を訪れる事になるとは、つゆほども思いませんでした。


 ハンガリーの人は、自分達は、アーリア人で、ヨーロッパ人では無い、アジア人だ、と思っているそうで、私たちが、彼らの外観で判断するのとは、違った見解でした。


 ハンガリーでは、一つだけ、心残りの事ががありました。


 予定で行くはずの場所が、工芸を観光としている、センテンドレに変更され、其の街を半日巡る事になり、私は、以前から、欲しかった、イコン画を探して、ある骨董品のお店に入りました。



Szentendre


 英語で、通じるかな、と、恐る恐るお店の人を呼んでみると、暫くして、奥から、品の良いお爺さんが、体調が悪くて寝ていたんだ、と、言いながら、出ていらっしゃったので、いくつかある中から、予算に合うものを、少しだけ値切って頂きました。


 その日は、日曜日で、私が、琥珀のクルスをしていたので、カトリック信者と間違えられ、其の方もカトリック教徒だった様で、感激され、いくら違うと言っても、信じてもらえませんでした。


街の広場にあるモニュメント


 取り敢えず、お店を後にして、家族やお友達へのお土産を、あのイコン画を値切ったお金で買いました。


そしたら、また、あの、お爺さんに会ったのです。


 私は、値切ったお金でお土産が買えた事に、急に其の方に、何か言わなければと、お礼なのか、謝罪なのか分からず、ハンガリー語では、なんと言うのかな、と、思っていたら、其の方は、どうやら、お見送りに来て下さったようなのです。


お店のあった通り


 もう、二度と会えない東洋の異邦人の同じ宗教の信者に、さよならを言いに来て下さったのだ、と、気づいたのは、帰国してからの事でした。


 あの、イコン画の包み紙の裏に、あのお店の住所と、お爺さんの名前とが印刷してあり、それは、お店のではなく、お爺さん個人のプライベートの物でした。


 折角、遠く海外に来たのなら、心から人との出会いを大切にし、余計な事は一切気にしなくても良かったのです。


 あの、優しい目をしたお爺さんに、もう一度、会いたくなりました。


 映画は、観る人の心に、沢山の思い出の場所を作り出してくれる、魔法の様なものですね・・・。


 本日も、ご来店頂き、有難う御座いました。
またの、お越しをお待ち致しております。

それではまた•••”a bientot!”

               Mio

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