0513.誰にも届かなかった言葉たちが語られていくことが、きっと希望というもの
やりたいビジネスがたくさんあって、身体がいくつもほしいくらいだ。ひとりでは出来なさそうなので一緒にやってくれそうなひとを探したいし、助成金が出るジャンルの事業なのでそのへんも調べてやってみたい。
書きたいこともいっぱいあるし、やりたいこともいっぱいある。
ひとつだけ言えるのは「たぶん質でいけるんじゃないか。量や数の勝負ではなく」ということだ。
アイデアはいくらでも湧いてくるけど、今のご時世そんなアイデアマンはくさるほどいるわけで、ほんとうに価値がある人材って「アイデアを形にできる」ひとだと思うし、「形になったものを維持・発展させていける」ひとだと思ってる。具現化の力、継続の力。
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『誰も教えてくれなかった子どものいない女性の生き方』(くどうみやこ著)を読んでいる。
女性にとって大変に大きなテーマであるものの、その選択や体験はかなり個人的なものであり、領域侵害になりそうな要素が多分に含まれているために、だれもそこにライトを当ててこなかったところなのだろう。いろんなタブーが含まれる場合もある。セックスレス問題のように(ただセックスレスについてはかなりスポットライトが当たり出している感がある。そのテーマがマンガになり出したりするとそう感じるのかな)。
著者はやはりいろんな事情から「産まない / 産めない」という現実を生きることになった女性であり、その生き方のロールモデルのなさに愕然とするところからその本は始まる。そして、最初は少人数で、徐々にその規模を拡大しながら「子どものいない女性の生き方」について語り合う場づくりをし、そこでの知見や実際の言葉、データなどをまとめたのが本書だ。
事情も体験も千差万別だけれど、多くの女性の痛みや苦しみ、モヤモヤやいきどおりなどがリアルにつづられている。
が、わたしが今日取り上げたのは、その切実さになにを感じたのかを書きたかったからではない(その切実さについて語る言葉をわたしは持たないし、おそらく語られたくないのではないかとも感じる)。
書きたいなと思ったことは、同じ境遇にありながらも、道を模索し、道なき道を手探りで進み、ひとと出会い、対話をし、ひととひとをつなげ、相互にわかりあい助け合う”ひとつの場”というものを、ある種「能動的」につくった著者の、その在り方が響いたということだ。
つらいことを、つらいままで、生きるのはつらい。
つらいことを、忘れたふりをして、生きるのもまたつらい。
でも、つらいことを、「自分だけじゃないかもしれない。自分以外にも同じようにつらいひとがいるのかもしれない。」と、犯人探しや原因探しや安易な逃避以外の”なにか”を探し出すとき、そこにそのひとだけの道があるのではないかと思うのだ。
そのひとがした体験が、そのひとが味わった苦悩が、そのひとだけが(良い悪いはともかく)結果として持つようになった”苦しいままでいるという力”が、他の誰かの資源になるということが、起こるのだなあ、と思ったのだ。
そしてわたしがなんとなくまた「場づくり」をしたいと思ったのは、そのつらさを乗り越えた誰かが”先生”になって、「こうすれば乗り越えられるよ!」と教える、みたいなことではなくて、その痛みを痛みのまま持ち寄って、安心・安全の場でゆっくりと対話と自己開示さえできていければ、ひとは自分の力で、出来事と折り合いをつけながら、自分の人生を生きることができるということを、ここ1年半くらいかけてやっている「ライティング・ライフ・プロジェクト」で、体感したからに他ならない。
ひとがほんとうに癒されて、生きていると感じられる力は、不思議なもので誰かやなにかに癒してもらって教え導いてもらっている間はどうしても湧いてこない。受動でいるときは、力はもらうものだと勘違いしてしまう。
けれどひとたび「この自分の経験を語ることが、この場にいて心をオープンにしていることこそが、全体の癒しになり他者の資源になるということなんだ」と、受動から能動へと意識が切り替わったときに、またいろんなことの意味が変わってくるんじゃないのかな。
これまで小さな声で誰にも届かなかった言葉たちが、こうして語られていくことが、きっと希望というものなのだろう。
『戦争は女の顔をしていない』が、女の言葉で戦争を語ったように。
英雄とか作戦とか勝利ではなく、生理中の股を血だらけにしながらの行軍や、終わらない洗濯でボロボロになった手や、自軍の女性兵を命を賭して守ってくれる兵士たちが、敵軍の女性たちをレイプするのを見ているしかなかった女兵士たちの、つぶやきのような戦争の記憶が今この時代に語られているように。
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