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解:雪月狂花

 前日投稿しました新曲「雪月狂花」歌詞の内容になります。

歌詞の解釈

どんなに美しいのもでも、時が経てば忘れ去られてしまう様に……

 生き急ぐかの様に過ぎてゆく季節は、これ見よがしにその表情を変えて行く。その諸行無常を味わうことなく、私は夜明けに眠り、夕暮れに目を覚ましました。

 白々しく平静を装った仮面の下は暗く、前も見えない闇だけがあるのです。不安を抱え、会えないあなたを激しく想っては、無情に過ぎてゆく時間を呪いました。

 私の儚い恋を憐れまないでください。ただその代わりに約束をしましょう。やがてあなたを引き止めていた雨も止み、霞となるのですから。


 輝かしい今も、思い出も、長い歳月の中忘れ去られてゆくのでしょう。

 所詮は一時の恋。それならば、思い残すより早々に忘れてしまいたい。ですから、握り締めたこの指を解いてはくれませんか?

 あなたが去った後、その声も笑顔も忘れてゆくと分かっているのに……

 あなたとの日々を思い出し、求めてしまう私はまるで、夜明けに取り残されたあの月のようです……



 椿は、「花弁を失い醜く生きるのならば、いっそ潔くその首を捧げて逝きます」と、そう言わんばかりの最後を迎えます。
 雪の寝具に凍えるその姿は、まるで私そのものでした。
 この不安を抱えたまま老い果てるのであれば、この身を投げてしまいたいほどです。

 そんな惨めな私を雲間から見下し嘲笑う虧月も、湖面に映る己の欠けた姿を見れば、心を乱し狂うのでしょうね。滑稽だわ。

 あなたとの時間は明け方に見る幸せな夢で、覚めることで忘れられるならどれだけ良かったことでしょう。知らなければ、どんな現実でも辛いなどとは思わなかったのに。それ故今日も私は、醜い己を嫌いになるのです。

 どれだけ祈っても再会の日は訪れません。
 大きな流れに身を任せてどれくらい経ったでしょうか。季節が巡るのは早く、あなたを待つ長い時間も、天気雨に打たれ散っていく桜よりも刹那に感じられる程になりました。


 あなたを離さなかった雨も、この身を凍らせた雪も、泡沫となって消えて行きました。

 必ず守る約束だったのなら、なぜあの時、あなたは目を合わせてくれなかったのですか?

 息を飲むほど美しい、あの日の夕景を思い出しました。その果てで小さくなる背中から、二度とあなたは帰ってこないのだと、今になってようやく悟ったのです。

 陽が沈み、昇る朧月と比べても、きっと今の私は美しいでしょう。
 未練どころか、もう貴方の顔すら覚えていないのですから。


 どんなに美しいのもでも、時が経てば忘れ去られてしまうのです。

 さあ、これが最後の杞憂になるのでしょうから、思いのままに唄いましょう。


 この愁いを唄う夜も、私と共に遠い過去になってゆくことでしょう。

 この短い生涯も、これがあるべき姿というのであれば、その定めに抗うこともありません。

 季節が巡り、雪が舞い、花が咲き散る様に。落ちた月が再び昇りまた沈む様に…

 死に際になればふと、勝手気ままにあなたの事を思い出してしまうのでしょう。その日は、美しい満月の夜に違いありません。

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歌詞はこちら

https://note.com/preview/n890028675da9?prev_access_key=d4fb05ef83c5726c6d1ca732e92340da

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