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教員の元気が出る会vol.28

2021年1発目の元気が出る会は、完全オンライン開催となりました。
ゲストに中山芳一先生をお迎えして、ガッツリ1時間半お話を聞かせていただきました!
話を聞いた後に、こんなにも高揚しているのは久しぶりです!
今回も、長文になること間違いなしなので、お付き合いください。

1、テーマと参加メンバー構成

【第28回】テーマ:「学びに向かう力・人間性等を育むとは(非認知能力の育成)」
参加者:小学校教員 3名        
    中学校教員 1名    
    高校教員  2名    
    その他   9名

2、会の流れ

①オープニング
この会の趣旨説明と今日の流れ説明
名前+所属+元気度は、Zoomチャット欄に書き込みます。

②中山先生のお話

この後、たーっぷりまとめます。

③エンディング

感想をチャット欄に書き込みます。

3、中山先生とは?

まず、中山先生について紹介します。

専門は教育方法学。岡山大学ではキャリア教育や正課外活動支援を担当している。また、小学生をはじめとして乳幼児から中高生、そして大学生や社会人に到るまで、人の育ちや学びに関するプログラム開発と実践研究を横断的に進めている。
主な著書(単著)に『学力テストで測れない非認知能力が子どもを育てる』『新しい時代の学童保育実践―Innovations in After-School Childcare Practices』『コミュニケーション実践入門―コミュニケーション力に磨きをかける』『学童保育実践入門―かかわりとふり返りを深めるために』などがある。
(岡山大学全学教育・学生支援機構准教授、日本放課後児童指導員協会副理事長、日本学童保育学会理事、岡山県子ども子育て会議委員)

上記のサイトより引用させていただきました。

今回の会の前に、主催者の谷上さんより送っていただいた記事も紹介します。

こちらの記事にも今日の話と重なることですが、分かりやすくまとまっています。

4、非認知能力の正体

ご存知の方多いと思いますが

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こういうことですよね。
ここまでは、結構今は広く知れ渡っていると思います。

ただ、ここからが個人的に初耳だったのですが、
自分と自己の違い
言葉的に同じように使っていましたが、全然違う意味です。

自分…一つの個体としての自分
自己…他者や社会とのかかわりの中にある自分
*「自己中」は、他者がいるから生まれる概念ですよね。

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他者がいなければ、非認知能力は必要ありません。自分の世界だけで生きているからです。
でも、他者のいる世界で生きていかなければいけないので、この非認知能力が必要なのです。

非認知能力には3つのフレームがあります。

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自分に向かう能力と、他者とつながる能力に分けられます。
そして、これらの能力は、巷では乳幼児期でに身に付けないと手遅れになる!みたいな言われ方もしますが、全部が全部そうとは限らないのです。

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確かに、深層レベルの部分は、変容しにくいものではありますが、大事なのは、真ん中の部分です。ここは死ぬまで伸ばし続けられる部分なのですから。非認知能力とは育っていくものなので、様々な経験により、自分の価値観や認識、行動様式は変わっていくのです。むしろ、小学生以降の方が、概念を理解できるようになるので、ここの部分は働きかけやすいとも言われています。

そして、この非認知能力は数値ができないため、一見すると見えません。ですが、この家の図のように家を支える大事な大事な柱となるのです。

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5、大学入学共通テスト<大学独自試験

今年度から、大学入試が変わりました。大学入試が変わるということは、授業が変わらなければならないということ。(言い訳はできない!)
今までの、どれだけ覚えているかを測る入試から、どのように考えて表現するかが問われる入試になってきています。

出生数減少=大学存続の危機

大学も独自の試験で欲しい人材を獲得するようになってきています。
今までのような、たくさん覚えて挑むセンター試験では、脳で言うところの側頭葉をフル稼働させていました。
ですが、今大学が求めているのは、前頭前野を使える人材なのです。
それを見るための入試が盛んに行われているのが今の大学入試の現状です。

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いつまでも、学校で今までのような側頭葉ばかりを刺激する授業をしている訳にはいかないですね。

ちなみに、小3~18歳までがこの前頭前野が激伸びする時期です!学校教育でどんどんここを刺激してあげたいですね。

6、プロセスを見取る

非認知能力を伸ばしてあげたいと願う人は多いと思います。

認知能力は、「よし英単語身に付けるぞ!」と意識しているだけでは決して身に付きません。
しかし、非認知能力は、「意識づけ」によって身に付けていくことができるものです。
そして、認知能力は、お金をかければ身に付きますが、非認知能力は、お金だけをかけても決して身につくことはありません。
学力格差=経済格差と言われるのは、ここにからくりがあります。

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大事なのは、「がんばったね」という結果だけを認めるのではなく、その過程の、「いつ、どこで、何をしたことに価値があるか」を伝えてあげることが大切です。

では、その過程を見逃さないためにどうすればよいかというと。
「非認知能力レンズ」をかける必要があります。

非認知能力レンズ
ざっくりとした「がんばったね」をかみ砕いて、プロセスを見取り、意識づけするためのレンズ
①気づきのレンズ…他者との関りに関してみるレンズ
         ▲見落としがある
②意味づけのレンズ…その人の変容に意味づけができるレンズ
         
▲意味づけは、あくまでも自分の主観

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レンズを持てば、フィードバックができます。

2種類のフィードバック
①即自的フィードバック…その場ですぐに伝える
②適時的フィードバック…ここぞという時に伝える
 ↑(ex)『ごくせん』のヤンクミ的な感じで、今それ言われたらぐっとくるわ~というイメージ

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こんな素敵な事例を紹介していただきました。
高校教員を対象に、こんな生徒になってほしいという具体像を話し合う時間をとって、1か月後にもう一度話を聞く。そうすると、びっくりするくらい先生方は、生徒をみることができていたそうです。
生徒の何を見たらよいかの非認知能力レンズを持つことができていた証です。

ほめ方や、しかり方を気にする方がいますが、ほめ方なんてなんでもいいのです。
そもそも、ほめるも叱るも、価値を共有していることです。
価値として認めたいことはほめ、価値として認めたくないことは叱る。
技法を身に付けることよりもまず、子どもにとって、価値を共有したい大人になる必要があります。
この人の言うことなら聞きたい!この人と価値を共有したいと思われる大人になりたいと思いました。

7、これからの授業の作り方

戦後最大と言われる教育改革と言われている今、日々の授業はどのように変えていく必要があるのか、重要な視点を頂きました。

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上の図にある通りですが、従来の授業は、「nC」型で、認知能力重視のものでした。今回の学習指導要領改訂の一番大きなところは「NC」型の授業の視点も持ちましょうということかなと思います。

教員であれば、各教科の目標に基づいて、今日の授業のねらいを設定していると思います。それは、図で言う「C」のこと。
そこに「N」の非認知能力の視点も加えて授業をデザインしていくことが今後重要です。

ただ、気をつけなければいけないのは、いつも「NC」でなくてはいけないと言っているわけではないということです。単元全体、年間計画、学校全体の活動の中で、意図的にこの座標軸を活用して授業をデザイン、つまりカリキュラムマネジメントをしていく必要があるのです。

ちなみに、「Nc」は学校行事でよくみられること。「nc」はあそびです。遊びの中でも「n」の部分は伸びていると思いますが、子ども達はそれを意識していないのでここでは、「nc」としているのだと思います。

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先程お伝えした、「レンズ」を持つことでギミック(しかけ)を仕込むことができます。上にあげた3つの視点を頭に入れながら授業のデザインをしていくことが重要です。

例えば、幼児教育の場面で、「おりあいをつけさせたい」と考えたら、環境構成として、2人に1つのスコップを与えて活動させれば、自然と折り合いをつける場面が見られ、そのことを大人がレンズを通して価値づけることができます。2人に1つのスコップを用意することがギミックです。

8、非認知能力の評価

認知能力は数値化できるものなので、評価はしやすいです。しかし、非認知能力。学習指導要領的に言えば「学びに向かう力・人間性等」の部分は、どのように評価したらよいのでしょう。

ここで紹介されたのがスウェーデンの取組みです。
ここでは、非認知のアイコンがあるそうです。授業の際にアイコンが表示されていて、生徒たちはそれらを意識づけしながら学習に取り組めているようです。
非認知の見える化をすることで、意識づけになっていいなぁと思いました。

他の事例もいくつか紹介していただきましたが、どれにも言えることは
非認知能力の具体化です。

例えば、学校教育目標でよくある「たくましい子」
じゃあ、具体的にどんな姿なの?と本気で考えてより具体的な言葉に落として、見える化していかなければいけません。具体化されることでスモールステップの支援ができるようになります。
絵に描いた餅にしていては、もうダメなのです!

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とにかく、具体化具体化。

そして、このサイクルを回していくこと

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大阪府茨木市では、「一人も見捨てへん教育」を中心に据えて実践をされています。ここにも関わっておられるのが中山先生です。この記事は、とても具体的に書かれているし、具体化を実際にどうするのかが学校現場レベルで示してありました。参考にどうぞ!

9、非認知能力のマイナス面

時間の関係で、本当はここ部分は、お話してもらえなかったのですが、お願いして話していただけました!本当にうれしかった~!

非認知能力って、なんだか最近すごく万能な能力のように聞こえていませんか?でもそこにもマイナス面は存在します。

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こうして表にしてもらえると、確かにそうだな!と思えることばかり。大事なのは、マイナス面もあるということじゃなくて、自分でコントロールするということです。

自分を客観視するメタ認知の力を高めていくことは、大人になってからでも伸びていく力です。
あぁ今自分の中の非認知能力の「自分を高める力」のマイナス面がでちゃってるなぁ。と自分で気がつくことができればそれをコントロールすることができます。コントロールできるからこそ、他者との関係がうまくいくのです。

このメタ認知をたかめるのに有効なのが…
日記です。
ここでのポイントは、量×質です。ただ今日の出来事を書いているだけでは室は低いまま。そこに思ったことや、今後に向けてなども書いていくことによって確実にメタ認知の力が伸びていきます。

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これも、中山先生の提唱しているものですが、この左上の「振り返りレベル」に基づいて書く練習をすることが自然とできるようになることが大切です。

学校の宿題も「日記」をだせばいいのに!とおっしゃっておられました。でもそうすると、先生方は全員分見るのが大変じゃないか?という意見もでましたが、この左上のレベルを子どもに示すことで、自分で自己評価もできるので、先生は必ずコメントを書かなければ効果がないということではないようです。日記は、子どもとつながる大事な手段の一つでもあるのでできる範囲でこの「日記」が広がっていくといいなと思います。

私も、個人的に毎日日記を書いていますが、たしかに整理できるし自分を客観的に見ることができている気がします!そして、後から振り返ってみてもおもしろいです。

ドリルの宿題を辞めて、今日から日記にしましょう(笑)

10、参加者の感想

チャット欄に書き込まれた最後の感想をいくつか紹介します。

・非認知能力のいろいろな側面が知れて有意義な時間でした。
・非認知能力は幼児期に、という言説ばかりでじゃあ高校では?と思っていたので謎が解けました。
・メタ認知のためのチャンクダウンや振り返りは、子どもだけではなく大人にも必要だと痛感しました。
・手帳の振り返りを継続させられてなかったので、もう一度量と質をupさせていきたいと思いました。
・変えられない深層レベルでは、どういった力をつけていくことが大事なのかということ、そこでの大人の関りも聞いてみたいです。
・子ども達への声がけをもっと学んで質を高めたいです。
・いろいろなキーワードが最近考えていたこととつながりました。
・非認知能力の見取りが、自分は薄っぺらなので、レンズを身に付けていこうと思いました。
・来週からまた頑張れます!
・小学生の頃は、個人・グループでのプロジェクトを進めていくことが大切だと分かりました。


11、おわりに

誰かの話をきいて、こんなにも高揚した気持ちになったのは久しぶりでした。それくらい、中山先生の話すこと話すこと納得で、ずっと自分の中でもうまく言語化できていない部分だったと思います。

レンズをかけることのできる大人
価値の共有をしたいと思われる大人
になれるよう、私も死ぬまで毎日の日記を続けていこうと思いました!

このnoteをまとめるにあたって使用した画像は、すべて中山先生の資料から引用させていただいたものです。
本当にありがとうございます。おかげで多くの人に先生の話を伝えることができそうです!

インプットしまくった90分でしたが、ただただ話を聞くという時間もたまにはなくっちゃね!!と思った最高の時間でした。

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