深夜2時半、タクシーに揺られながら。
地元横須賀に住んでた高校生の頃、
タクシーは「大人が乗るもの」
そう思っていた。
深夜2時半。
代理店の仲良い人と3次会のカラオケが終わり、みんなと別れてひとりタクシーに乗る。
運転手のおじちゃん、こんな時間にお仕事増やしてごめんね。
そう思いながらほろ酔い気味のわたしは少し微笑みながら目的地を伝える。
六本木から菊名までのドライブがスタート。
知らないおじちゃんとドライブ。
ほんのちょっと悪いことをしてるみたいで、わくわくする。
眠気は限界。明日も朝から仕事だし憂鬱なはずだけど、私は深夜のタクシーが好きだ。
人気の少ない道路と、窓越しから見える酔っ払いやカップルの姿。
そんな中走るタクシーとほろ酔いのわたし。
タクシーに揺られながら、さっきカラオケで歌ったテレサ・テンの「つぐない」と中島みゆきの「糸」が脳内でフラッシュバックされる。
「縦の糸はあなた 横の糸は私
逢うべき糸に出逢えることを
人は 仕合わせと呼びます」
なんてときめく曲なんだろう。
いつか縦の糸に出逢えたらいいな、なんて思いながら少し酔いが覚めて寂しくなったり、会いたい人の声が聞きたくなったり。
24歳、自分の思い描いていた理想の24歳とはかけ離れてるけど、
深夜2時半、タクシーに揺られながら、ふと思う。
30歳を過ぎて、もし誰かの奥さんになって、誰かの母になれてたら。
きっと24歳のいま、
「大人になったものだ」
そう思っていたことが
「まだまだ子どもだったわねあの頃は」
に変わるのだろうか。
そんなことを思いながら、東京の街を眺め、「また明日からも、仕事頑張ろう」と意気込む私は、きっともう立派な大人だ。
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