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どうして葬式には「黒装束」で参列するのか?

これから葬式が行われるというとき、参列者の中に黒色以外の服、例えば白い服を着ている人がいたら「なんて非常識な人なんだろう」と周りから思われるか或いは直接注意されることだろう。

では一体いつから葬式には黒い色の服で参列するようになったのか。

実は、これ比較的最近のことで、明治時代に政府が欧化政策のひとつとして西洋の葬祭儀礼を広めたことがきっかけになっている。
具体的には、明治30年の皇室葬儀のとき、列強の国賓の目を気にして黒色での統一が決定したらしい。
その後、皇室の喪服が正式に黒と規定され、庶民もそれに従って徐々に広まっていった。

では、明治以前は何色だったのか。

答えは「白」だ。
でも、どうして白なのか。
白は汚れのない清廉さを意味する。結婚式の白無垢なんかがいい例だ。
そして、葬儀の際の遺体のいわゆる死装束も白だ。この死装束の場合の白も清廉で潔白な様子を意味している訳だが、誰に対してそのことを示しているのか。それは、神仏に対してだ。

人は死んだら49日間は来世までの旅が続くと仏教では信じられている。
その旅の途中、様々な神仏に出会うことになるのだが、そのとき、来世に再生して成仏する資格があるとして、身の潔白を証明するために白装束が必要になる。
このように、神仏への従順な態度を示す意味で白が用いられてきた。(神道でも神様を祀るときなどは白装束を身にまとう)

ちなみに、いつから喪服が白色なったのかというと「日本書紀」をはじめとする古代の文献に喪服は白であったという記録が残っている。
ところが、平安時代になり養老律令が発令(718年)され、喪の際は黒色の服を着るよう制定され、一時的に黒の喪服が広まったとのこと。
しかし、室町時代になるとまた白装束が復活しているようだ。

このように、時代と共に喪服の色は白と黒が交互に変わっているようだ。
とはいえ、黒色が喪服の色として広まった背景には、「不浄」を意味する黒と「死」と関連する葬儀が、イメージとして違和感なく結びついたことも関係しているのではないだろうか。

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