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25卒 国総受験記 教養区分編②

この受験記は、国総教養に受かってしまったしがない受験生の顛末を記したものです。練習のつもりで受けた1次試験を運で通過し、官僚になるための努力を突貫工事で行いました。官庁訪問には失敗しましたが、この半年は私の人生の中でもっとも深く濃い経験をしてきたので、受験記としてまとめておきます。

前回はコチラ↓

2次試験の準備

1次試験後、予備校のデータリサーチに解答を入力しました。ボーダー点を見てみたところ、「もしかしたら」通過しているかもしれない状態でした。
国総が第一志望ではないのは確かだったので大きな心境の変化はありませんが、本番半年前に試験の雰囲気を体験できたこと、数的処理に太刀打ちできたこと、当て勘が冴えていたことで気分は上々。
ただ2次試験の中身は複雑なため、もし通過してしまったらちゃんと「準備」しなければならないことに不安感もありました。

🌸1次合格発表は10/18。
人事院のサイトで数字を追うと、ありました私の番号。

運命に感謝

2次試験は11月末なので、約1か月でもろもろを準備することになりました。まずやったことは、公務員予備校の総合職講座を取ること。
☑️情報戦であることは間違いないですし、特に私の大学、私の学部(文学部)で国総の話が入ってくることはまずないので、情報が欲しかったです。
これもまた運がよかったことですが、予備校は私の大学と提携しており1年次に学内講座を取っていました。偶然にも、学内講座受講生は国家総合職コースを無料で受けられるとのことだったので迷いなく申し込みました。

それからの1か月は
①予備校の活用
②白書の読み込み📚
③大学のガイダンス
          で2次試験対策しました。


①予備校の活用

2種類あります。

  • 1つは、担任講師のカウンセリングです。
    私の校舎では公務員コースの講師である先生がさまざまなお悩み相談に乗ってくれます。内容は自由とのことなので、面接カードの添削と面接練習のために3回ほど利用しました。

国家総合職の志望動機はとても悩みましたね。先生も「国総は、国家レベルでどのような世界・日本をつくっていくかを話さなければならない」とおっしゃっていて、今思うと当時の私はとてつもなく未熟な頭脳とスキルだったことでしょう。。。
ただ、半年前から面接の練習(という名の本番)ができるのはアドバンテージだと捉えていたので、いわゆるガクチカも含め自己分析を進めました。🗣️

自分で言うのもなんですが、私のガクチカはとてつもなく多いです。ゼミ、部活動、委員会、サークルなどいろいろな活動をしてきた上にいろいろな役職・仕事をしてきました。なぜこれだけの多くの組織に所属してきたのか、仕事をやりきることができたのか、2023年10月時点では謎でしたが、官庁訪問を終えてはっきりした答えが出てきました。
✅これは後ほど、国総受験記 官庁訪問編と題して記事にしましょう。

  • 話を戻して、、、予備校活用の2つ目としては、国総教養受験者向けにセッティングされていた模擬面接と模擬企画提案を受けました。

〈模擬面接🗣️〉
ボロボロでした!!!!!!!
そりゃそうですよね。これまで面接対策すらしたことがないですし、ましてや国家総合職向けの対策ですから、突飛で難しいことも聞いてきます。用意していた志望動機もガクチカの話も思い出すことで精一杯。加えて「話すこと」に慣れていない私は、「話そう話そう」と頭が真っ白になってしまいました。
以後気を付けたこととしては、「結論ファースト」「長くならないよう短文で」の2点です。話す内容は、ある程度は頭に入っている必要がありますが、面接の実際は何といっても会話。フラットな状態で話をしていく。それがー いちばん だいじーです。

〈模擬企画提案🗒️〉
まずまずでした……。
後述しますが、企画提案試験は国総教養の特徴的な試験の1つです。あらかじめ提示された白書を踏まえ、面接官の前で政策プレゼンします。
模擬企画提案も本番に沿った形でレジュメの作成、プレゼン、質疑応答を30分かけて行いました。

はっきり申し上げるとそんなことやったことないですし、正解もないので完全に手探りです。教材のマニュアルを参照しながらデモプレゼンしました。


②白書の読み込み📚

これは企画提案試験のための対策です。
今年の課題はずばり「誤情報・偽情報対策」
総務省が公表している、情報通信白書が参照文献として指定されており、1か月の間に読み込みました。

問題としてはとてもタイムリーで印象的ですよね~。これを出してくるんだという所感。すばらしい。
直近で言えば、SNSであるX(旧Twitter)が収益化されてからいわゆる「インプレゾンビ」が爆増しました。拡散されれば勝ちなので、閲覧数稼ぎのためにどんな情報でも流通してしまう。特に地震や豪雨といった災害時には、情報が錯綜します。元日に起きた能登地震では、デマの救助要請が多数投稿されるなど、大きな問題になっていると感じます。そして日本は世界各国に比べて、そうした情報リテラシーの法制度・教育が遅れています。アメリカにはファクトチェックを行う企業があったり、「フィルターバブル🫧」「エコーチェンバーℹ️」のようなリテラシー用語の認知度も高いです。

これらの前提情報からどのような政策が必要か、というのを考えるのが難しいのですが、思考力・想像力を広げるよう努めました。


③大学のガイダンス

2次試験の1週間前に、キャリアセンター主催の軽い対策会がありました。そこでも予備校の講師が来てくださり、最終合格のための作戦を目論みました。先生曰く、✅面接・企画提案・政策討議のいずれかひとつでも「B以上」が取れるだけでかなり良い位置に行けるとのことでした。

理由は2点あり、順当にやっていれば普通の受験生は全て「C」評価になること、またそれぞれの試験の標準点の傾斜差が大きいことです。
実際、B評価とC評価の標準点の差は30点程度あり、「B」を取るだけで抜きんでることができます。(ちなみに「A」はよっぽど優秀な人しか認定されません。また企画提案は基準が「4点」なので、それ以上を取れたらより良いでしょう。)

私が受験した2023年度のものです

こうして私は、面接と企画提案の両方に不安を抱えながら、2次試験を迎えることになりました。

え??政策討議は??????

そうです。国総教養には「政策討議試験」という名の集団討論があります。
私は予備校の資料を参考にしながら、(頭の中だけで)模擬集団討論をやりました。当たって砕けろのぶっつけ本番で2次試験に挑みます。


11/25 2次試験一日目

【企画提案試験】

集合時間は朝9時。試験会場である西ヶ原庁舎は私の自宅と正反対の方角なので、7時前に家を出ました。会場最寄りの南北線西ヶ原駅から歩きます。

地図を頼りに進んでいくと建物が見えてきました。ただどこを見ても入り口が見当たりません。同じ受験生とみられるスーツ2人が前方にいたのでとりあえずついて行きました。
建物の裏手に回ると、やっと裏口のようなものが見えて…………

きません。

京浜東北線の線路脇を歩いているとそのまま上中里駅まで辿り着いてしまいました。入り口どこだよ!!

結局私とスーツ2人は、庁舎のある土地を1周する羽目になりました。西ヶ原駅の時点で35分だったので今ギリギリです。
もう何度目かの焦り。額からは汗。
小走りで会場入りしましたが、トイレに行く時間はなくすぐに説明が始まりました。こういう時に私の汗は止まりません。周囲に余裕のある席だったのでまだマシですが、ずっとハンカチパタパタしてました。失礼しました。

めちゃくちゃ遠回りした

スマートフォンを封筒に入れるよう指示され、少し時間が経ったら試験開始です。
▶️90分で政策プレゼンの原稿レジュメを作成します。
濃く書くことを前提に、A4用紙の裏表を用いて何でも好きなことをかけます。もちろん事前に与えられていた白書をもとにある程度内容を考えてきてますから、問題の条件に合わせて部分的に変える感じです。問題は「誤情報・偽情報」に対する国の施策を考えるという、予想されていた通りでした。

施策の目的

意義・背景

必要策

施策の具体的内容・効果

このような形で、大きく分かりやすくレジュメを作成しました。
資料を参照したり、問題形式に合わせて書き方を変えたりしたため、時間ギリギリに書き終えましたね。また、書ききらなかったものやこれ載せる必要があったと後から気づいた箇所は、口頭プレゼンで忘れず話せるよう問題にメモをしておきました。加えて、想定質問もいくつか考えてメモしました。問題・資料・プレゼン原稿はすべて回収されます!!!

ここから試験運営者の皆さんは、プレゼン原稿のコピーを取る時間です。私たちはその時間、性格検査(?)をやりました!MBTIみたいな感じで100問20分とかだった気がします。


入室

休憩時間か何かがありました。そのあとに何人かずつ廊下に呼ばれ、上の階へ移動していきます。いよいよ口述プレゼンのパートです。私もそう遅くないうちに呼ばれました。面接室は複数あるため、受験生がそれぞれの部屋へ向けて離脱していきます。部屋の前に到着して、どのようにして入ったかは覚えてません…。いつの間にか入室してました。

入室・着席

最終確認(5分)

プレゼン(5分)

質疑応答(20分)

退室

3人の面接官の前にあるテーブルと机に座ります。入室同時に、先ほど回収した問題・資料・プレゼン用紙を渡され、5分程度最終確認の時間があります。正直あっという間です。

その後、政策プレゼンに入ります。
めちゃくちゃ緊張しましたね。ただ、順序立てて説明する+書き忘れた部分を補足するの2点を意識しました。

終わったのも束の間、すぐに質疑応答タイムです。20分間、現役官僚からのスパーリング質問に耐えます。

〈✅質問の方向性〉
・プレゼンシートの抽象的な語(定義・程度)に関する説明
・規模や予算等の実現可能性
・政策効果の有無、検証方法
・射程の対象 
・論理飛躍のある部分 etc.

プレゼンした政策について上記の観点で、具体的で突っ込んだ質問が来ます。私も同じような形でプレゼンシート作成の時に想定質問を考えていました。実際うまく答えられたな、というのもあります。

「提案② 全国の教育機関や企業に情報リテラシーの啓発義務付け」
Q. なぜ?どうやって?
A. まず現役世代へのリテラシー教育が重要だと考えたから。関係法令の整備→努力義務でも可。
Q. その効果はあるのか?
A. 自転車のヘルメット着用のときのように、各メディアで取り上げられることで一定の効果があると考える。新聞やテレビは高齢者世代の利用率が高いため(問題資料より)、若者や現役世代だけでなく全世代へ周知させていくことも可能。企業のよい取り組みを紹介、表彰することも想定。

もちろんお相手は何十年も政策立案に携わってきたすごい方々ですから、答えられない難しい質問もあるかと思います。そこは正直に「想定していなかった、再考の余地がある等」と述べた上で、「なぜそこに気付かなかったか」「提案した政策にどのように付け加えることができるか」等を話すようにしました🗣️


20分の連射質問に耐えられれば、これで一日目は終了です。ちなみに時間については面接官が大きなタイマーを持っており、長引くことなくきっちりと終了します。🕰️
私の得点は4点で基準点そのままでした。それでも、やってやんぞ!というチャレンジ精神で臨んだため、自分の提案した政策にも愛着を抱き、満足感のある一日目でした。


11/26 2次試験二日目

【個別面接】

前日の反省を踏まえ駅から一直線に向かいました。また集合場所となる部屋は同じでしたが座席が変わりました。横1列6人×10組くらいで、この「横」メンバーと今日1日を共にします。というのも、個別面接はこの6人が同じ面接官の面接を順番に受けることになっていました。そして午後の政策討議試験はまさにこの6人で集団討論を行いました。

最初の説明が終わったのち、さっそく面接が始まります。待合室の職員と一緒に全員で面接室の場所確認に行きました。そこに最初&2番目の受験生を残して、我々は待合室まで戻ります。待合室では「面接中」の札を机に置き、戻ってきたら各自が横にずらしていくという形でした。

私は順番が遅かったので少し落ち着く余裕がありました。待合室に戻るときに2番目で残された受験生と目が合い、「がんばって🙌」のジェスチャーを送信しました。待合室では話している人もいなくて重たーい空気が漂っていたので、少し心と体がほぐれました、、、

入室

戻ってきた人と入れ替わりで私が面接室に移動します。すでに戦闘を終えた2番目の受験生と再度アイコンタクトを交わし、今度は私がテレパシーパワーを受信しました。🙌 階段を上ります。
面接室の外にいるときは、緊張のダムが満水になるところでした。自分にとって「初面接」であって、しかも練習であまりよい感覚をつかめなかったことが気がかりで……
ただ自己分析ノートやテレパシーで事前放流していたので、決壊は免れました。中から声がかかります。

………荷物を置いて、椅子に座ります。

ここからなぜか私は、見えないゾーンに入ったかのように無双しました。

「どうですか、結構長い間待ったから疲れたでしょう?」
「そうですねー、確かに待ち時間は長くて緊張もましたが退屈ではなかったです!私の良さをお伝えする貴重な機会なので素直に頑張ろうと思います!」

内容は面接カードに沿った質問そのままでした。ガクチカを中心に、何回かの深堀りを繰り返しながら順当に進んでいく感じです。面接カードも「ここ聞かれるだろう」という抽象的な部分で話す内容をまとめていたため、回答に苦労したところはほとんどなかったです。逆に質問の誘導をうまく行うことができたのかもしれません。
🔥やはり基本は会話ということですね。3人の面接官それぞれに顔と体を向けながら、聞かれたことに端的に答えることを徹底しました。

おかげで、面接は「B評価」を貰うことができました。


【政策討議試験】

お昼休憩をはさみ、集団討論の説明がなされました。

お題発表&レジュメ作成(20分)

割とすぐ面接室へ移動

入室して、レジュメのコピー待ち

開始。個人の意見発表(各2分)

討論(40分)

個人の感想発表(各2分)

このような流れです。
問題を見て→自分の意見をまとめ→
    資料を参照し→A41枚のレジュメを作成する
これを最初の20分でやらなきゃいけないのがきつかったです。かなり焦りました。今回のお題は「買い物弱者支援に対する国の行政介入の必要性」。分かりやすいテーマですが、自治体や民間事業者の裁量範囲を検討するのが難しかったですね。

入室

係員の指示に従い、待合室から6人で移動しました。「がんばりましょう~笑」という感じでみんなで入室します。
ただ私はそこでピンチを迎えます。どうしてもトイレに行きたくて仕方がありませんでした。。。😇😇
レジュメ作成前にも一度お手洗いに行っているんですけどね。考えれば考えるほど尿意が増すので、思い切って係員にお願いしました。さすがに議論中にトイレを提案することはできませんので。笑


試験が始まります。まず全員のレジュメが印刷された資料が配布されました。それをもとにAさんから、個人意見の発表を行います。私はガチガチに緊張していましたが、企画提案試験の時のように、思考の流れを丁寧に言語化することを意識しました。

議論開始。進行も結論も完全に自由で、受験者同士で合意を取りながら進めることが求められています。
私のグループは可もなく不可もなく進みました。そして私は初挑戦の集団討論にも関わらず、タイムキーパー兼ファシリテーターのような役になりました。大丈夫なのでしょうか………。
グループの皆さんは優秀です。適切な意見の提示、論点修正、共通点・相違点の指摘をスムーズにやってきます。発言量は、多い(3人)普通(私)少ない(2人)という感じです。ただ私自身ももちろん負けてられないので、場に出た意見と自分の意見を比較したり、発言の少ない人の発表内容を引用したりして立ち回りを模索しました。

やっていると40分はあっという間です。一応全員の合意が取れる意見を導き出し、課題の背景、理由を再確認して終了しました。優秀な人を頼りつつ、自分も頼られつつという形で、タイムキーパー兼ファシリテーターの役目を終えました。笑

最後にグループの全員が討論後の意見の変化等を述べます。以上で政策討議試験は終了です。

一方的な発言だったり、よほど発言量が少なかったりといった「落ちる立ち回り」をしていなければ及第点はもらえることでしょう。議論にしっかり参加して、話す聞く姿勢があれば十分だと思います。✅
こんな私でも「C評価」です。とても勉強になりました。


帰路(⚠️ここだけでも読んで!!)

ここからの話が1番伝えたいこと

庁舎から出てきたのち「発言量 多い(3人)」のうちの2人と、「お疲れさまでしたーーー!お互いありがとうございます」と解放感を共有しました。少しの感想戦をして駅まで歩きます。

お察しの通り、もちろん東大生の2人です。

 国家総合職を目指したきっかけ、、
 どこの省庁に行きたい、、
 どんな政策に携わりたい、、、

口から出てくる言葉には熱い魂と野望が詰まっており、私1人だけ月に飛ばされたかのような重さを感じました。尊敬の眼差しを宇宙速達便で届けます。
普通の大学生活を送っていると、彼らのような思考力、学びへの意欲、野心・向上心を持つ人と出会うことはまずありません。今の大学が嫌だということではなく、ただこうした刺激のもらえる環境に身を置くことがいかに大切なのかを改めて実感しました。こうした私の発言の重さは、彼らの6分の1にも満たないですが、質量は変わらないと思います。つまり私も、彼らと同じパッションを持ち、同じポジションに立つことは可能だということです。

実際私は1次試験を運で通過しましたが、だからこそ試験を同じくし、討論の場を同じくすることができています。こんなに貴重な機会が再びあるとは限りません。
そして私が感じたこの心動は、彼らのパッションと同じくするものだと思います。知らない知識、知らない人間、知らない分野に自らの熱量を割くことができる。たかが試験の縁ですが、それも私を形作る立派な円弧の一部を構成するでしょう。連絡先を交換させてもらい、いつかまた会うことを誓いました。(私が心の中で勝手に誓ってます。)

自分を成長させてくれる貴重な機会となった2次試験でした。
結果のことは考えすぎず、近頃おろそかになっていた春試験たちの対策を再開しました。

今回も長くなってしまいましたね。最後の最後でいいこと書けた気がするので、続きはまた今度にします。

次作↓

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