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ゲーム中毒者が急増

 今や一大産業となったゲーム業界。刺激的なゲームを出して競争が激化していますが、ゲームを消費する側に影響が出ています。新型コロナウィルスの影響でゲームに費やす時間や金額が増え、習慣化してゲームをやめたくてもやめられず、日常生活よりゲームを優先するゲーム依存症が増えています。依存症になると不登校やインターネット依存、情緒や行動の問題を抱えやすいといった傾向も見られます。
 専門家によれば1日のゲーム時間が「平日2時間・休日3時間」を超えるとゲーム依存のリスクが高まることがわかっています。ゲームを習慣的にする人はゲーム時間をゼロにするのは難しくなっています。ゲーム中毒になるのを防ぐには料理や運動・犬の散歩などゲーム以外で家族と充実できる時間が自分にとって大切だと認識することです。
 ゲームを習慣としている子供に「宿題の後ならゲームを1時間していい」などとしている家庭も多く、これは望ましくないといいます。なぜなら子供にとって「ご褒美」を得ることが目的となってしまい、「ルールを守る」という本来の目的がおろそかになってしまうからです。
 最も大切なのは親子が向き合って解決の糸口を見つけていく行動確認がカギになると専門家は言います。ゲームをする人は得意・不得意がはっきりしていることが特徴的であることが多いため、得意分野を伸ばすことが生きづらさを生きやすさに変えていくポイントになります。
 ゲーム依存症の場合、コミュニケーションスキルの低さが最も問題となっており、その背後には父親不在か威圧的な父親が支配する、のどちらかと言われています。その結果「母子カプセル(やさしい暴力)」を生むことになり埒が明かない機能不全家族に陥ります。
 機能不全家族に陥った子供のこころの特徴は(1)低い自尊心(閉じこもり)(2)自己主張が苦手(IT機器で疑似的な人間関係をつくる)(3)不得手な対人関係(威嚇または同情をかう)が代表格でそれぞれ厄介なためじっくり腰を据えて治療することになります。
 日常生活に支障が出てもゲームがやめられない、依存症の一種である「ゲーム障害」の患者も急増しています。家族のクレジットカードを悪用して課金したり家庭内暴力に発展したりしてしまうケースもあります。単なる遊びすぎではなく、脳のメカニズムも関係しており治療には本人や周囲の理解が不可欠です。ただ、依存症を抜け出すのは容易ではなく、支える家族もどう接するのが正解かわからないと治療の難しさに頭を悩ませています。
 ゲーム障害は「病気」という認識は近年急速に広まっており、世界保健機関(WHO)は2023年5月にゲーム障害を精神疾患のひとつに位置付けました。ネット依存症から子供を救うには適切な家族の対応が不可欠です。1.取引しない・駆け引きしない2.一貫した毅然とした態度3.一喜一憂しすぎない4.1人で判断しない5.「私は・・・」で始まるメッセージで話す6.家族で同じ対応を目指す、この6か条が大事といいます。親は友達とおしゃべりする、旅行にでかける、趣味に打ち込むなど上手にストレスを発散することが大切です。
 ネットへの依存状態がグレーゾーンの場合は本人と家族の自助努力で回復できることもあります。キンバリー・ヤング博士はネット依存症から脱却する有効な方法として自分が失いつつあるものを知ることが重要といいます。インターネットで費やす時間のために切り詰めたり削ったりしていることを書き出してみると何を失いつつあるのかを自覚できます。
 本人がネットを使用している時間を測ることで自覚します。1日5時間とすると1週間で35時間、1か月で150時間にもなります。具体的に計算させるとより実感できるでしょう。そのうえで1日の予定をたてネットを利用する時間を決めてスケジュール表に書き込みます。ネットの代わりとなる活動を見つけましょう。
 病気になってしまったら本人や家族の自助努力では無理です。支援グループや相談窓口、医療機関、親身になってくれる第三者なども見つけることで支援をみつけることです。また、ネット依存症になったきっかけを探して可能ならその問題を解決しましょう。
 ゲームが生活の中心になると脳がゲームから得られる刺激に慣れてしまい、むしろ「当たり前」と認識します。より強い刺激を求めてゲームへの渇望がますます強まり、逆にゲームを中断されると想定されていた会館を得られなくなるため、怒りがわきあがる。すぐに発覚するとわかりながら親のクレジットカードを使って無断で課金する患者が出てきてしまうのも将来のデメリットより目先の快感が優先されてしまうためだと言われています。
 ゲーム依存症とは別ですが、最近、メディアを騒がせた水原一平氏のギャンブル依存症を思い出します。依存症の問題は生産性を大きく損ないます。日本人の生産性低下にはこのような依存症の増加も背景にあるのではないでしょうか。依存症克服に向けた一歩を踏み出すには日常生活の中で自己肯定感を高め、ゲームなしでもやっていけると思えるようになることが必要です。刺激の強いゲームやギャンブル以外の趣味はなかなかみつからないですが、些細なことでもリアルな生活での喜びや楽しみに本人が気づくような手助けを身近な家族がサポートしていくことは重要なポイントとなります。

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