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最先端技術でスマート化が進む中国の港

 スマートポート、港のスマート化とは港の競争力と魅力を高めること全般を意味しています。ここに中国が猛烈な勢いで推進しており、貨物の取扱量も世界トップ10のうち6つまでがランキング上位に入るようになりました。港のスマート化は中国の輸出競争力向上に寄与するのは間違いないと思われます。
 IoT・ AI・ビッグデータなどを活かしたデジタル技術によって効率化・最適化を図ることだけでなく同時に環境の持続可能性を増し、背後圏の都市や住民に対してもスマートであることを意味しています。中国はスマートポートを長期目標とする港湾計画の策定、あるいは港湾運営のペーパーレス化・デジタル化、さらにはDXを目指す課題抽出とプラットフォームの開発、港湾活動全体にわたる脱炭素化構想など幅広く取り組んでいます。スマートポートは主としてSDGsの目標8(働きがいも経済成長も)、目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)、目標11(住み続けられるまちづくりを)、および目標13(気候変動に具体的な対策を)の達成に貢献します。
 スマートポート化の中核にあるのが完全自動化ターミナルです。コロナ禍により一部の港湾のコンテナ処理能力は低下したままです。人手不足の解消も含めて自動化ターミナルは従来のターミナルと比べて入力効率が高い・人員が少ない・遠隔操作が可能・非接触型などのメリットがあります。深圳港では自動運転トレーラーが走行、人の介入は2%程度です。既存のトレーラーを改修し、26台が稼働しています。クレーンは無人操作です。中央制御室から2人で26台のクレーンを操作しています(貨物の持ち上げのみ)。残りはすべて自動化されており労働環境が大幅に改善されています。コンテナターミナルゲートは入場時に貨物の損傷状況を確認するだけです。手続きはオンライン化されており、約10分で完了します。以前は紙の書類手続きに約2時間もかかっていたので大幅な改善です。移動中のコンテナはカメラで自動追跡します。
 LiDARはレーザー・GPS・INS技術を組み合わせてデータを取得し正確なDEM(デジタル標高モデル)を生成するシステムです。中国のスマートポートはLiDAR方式と高周波画像取得・処理機構を採用しています。サンプリングやスキャンレートは調整可能で仕様に合わせたカスタマイズが可能です。港湾設備の自動化技術は現在のニーズで、港湾業務のあらゆる場面でLiDARを活用することで複数の方法により効率を向上させ運用コストを削減します。
 中国でスマート化を完了させた港は18港あります。スマート技術によりパフォーマンスと経済競争力を向上させる自動化された海上施設は従来の港湾よりもスムーズに機能しています。貨物量の増加と船舶の大型化に伴い、世界の港湾の80%がデジタル化を大幅に加速させています。世界では政府の取り組みや海上貿易の急激な増加によりスマートポート数は急速に増加しています。二酸化炭素排出量の削減や効率化に役立つ新技術の導入を余儀なくされ、現在のデジタル化の取り組みに伴い、世界中の政府はビッグデータ・AI・IoTなどの様々な技術を港湾分野に導入しています。IoT分野はその変革能力によりスマートポート市場で最も高い成長率を達成する見込みです。 様々な港湾コンポーネント間のシームレスな接続とデータ交換を可能にし、運用の最適化と効率の向上を実現します。IoTソリューションは貨物・設備・インフラのリアルタイム監視を容易にし、資源配分の改善・予知保全・セキュリティ強化につながります。これらの進歩はスマートポートにおけるIoTの採用を促進し、大幅な成長を促進します。翻って、日本の港はスマート化に出遅れています。早急に巻き返しを図らなければ日本の輸出競争力に大きな悪影響を及ぼすことになります。

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