「働く女子と罪悪感」を読んで
浜田敬子さんの「働く女子と罪悪感」を読んでショックを受けた。雇用機会均等法は、ちょうど私が大学を卒業し、就職した年に発効したのですが、同世代の女性がこんなに酷い環境で仕事をしていたとは、信じられない思いがしました。浜田敬子さんが大学を卒業して最初に就職したのは朝日新聞社だったのですが、そこは露骨に男性の縦型社会で女性は戦力としてみなされていなかったそうです。長時間労働が当たり前、おまけに不規則とあって、浜田敬子さんは、仕事に必死に食らいついていった。酷い思いを何度もしながら。同世代の女性は、それに耐え、しかし、結婚・出産を機に退職してしまいます。理由は、長時間労働を続けられないと考えるからです。
今の世代は、逆に、その結婚・出産後を考えて、学生の時から就職活動をするそうだ。出産後も働き続けられるかを心配している。大きな違いは、今は、男性の給与だけでは心もとないから、夫婦共働きがスタンダードになっていることにある。浜田敬子さんは、仕事が生きがいになったから、何としてでも働き続けたいと思った。しかし、今の世代は生きていくために働き続けなければならないから働き続けたいようだ。男性の育休参加など環境整備はされてきているが、まだまだ日本はジェンダー・ギャップでは世界の後進国であり、近隣の中国や韓国よりジェンダー・ギャップ指数では下位に甘んじている。
以前のブログにも書きましたが、日本のジェンダー・ギャップ問題の解消は待ったなしの状況に来ていると思います。それは、少子高齢化が進んでいるからです。日本のGDPが世界3位から4位に落ち、近いうちに5位に落ちると言われています。このまま、落ち続けるのは必至でしょう。IMFから発表された2024年の一人当たりGDPランキングも韓国に抜かれる見通しです。企業は、二つの大きな改革を迫られています。ひとつは縮小する国内市場ではレッド・オーシャンなので、海外市場に活路を見出さなければならないこと。ふたつは、人の働き方改革です。働き方改革は、労働時間を減らすだけではダメで、女性の働く環境を改善することとチャンスを男性と同等に与えることです。女性は、男性とは体のつくりも違うので女性にとって働きやすい環境を考える必要があるのと、女性的な視点がダイバーシティにとって非常に重要なので管理職や経営層の半数は女性が占める必要があります。この改革を断行しなければ、日本企業に未来はないと思います。
長時間労働(といっても会社に長く居座るだけの非効率労働)をしていては良い仕事はできないというのは世界の常識ですが、日本ではまだこの悪習がはびこっているようです。人生百年時代を迎えて、八十歳まで働くことを考えれば、社会も個人も変わっていなかればならないと思います。働くことが好きだといえる社会、個人が健全だと思いますが、今の日本、特に男性たちを見ていると、日本人的な働き方のぬるま湯に浸かっているだけに見えます。男性管理職は、特に女性の力を引き出し、次のステップに引き上げることを考えなければ、会社全体にとって大きな損失となることを肝に銘じるべきだと思いました。