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男性の育児休業の目標設定義務付けへ

 男性の育児休業取得率は17%、しかも2週間以内の育児休暇に留まるのが、日本の男性の育児休業の実態です。日本政府は、2025年までに男性の育児休業取得率を50%にするとの目標を設定していますが、目標と実態には大きな開きがあります。
 女性の育児休業取得率は80%で6か月以上の育児休暇を取っています。少子化の是正、女性の社会進出を支える必要性から、男性が子育てと仕事の両立をするために家庭生活に積極的に参加するのは当たり前となってきています。
 男性の育児休業は取得率だけでなく、育児休業期間も問題だと思います。女性が6か月以上の育児休暇を取っているのに男性はせいぜい2週間の育児休暇を取っているのは形だけとしか言えません。男女平等に育児休暇期間を取る目標義務設定が必要なのではないでしょうか。
 厚生労働省は、2030年までに男性の育児休業取得率を85%に引き上げる目標を掲げており、2025年の50%は通過点に過ぎず、また、女性と同じ取得率にできるだけ早く持っていきたいと考えています。
 男性の育児休業を取得しやすい職場かどうかは、業界によって差があるようです。宿泊業、飲食サービス業、卸売業、小売業は取得率が他業界に比べて低いようです。厚生労働省は、従業員100人以上の企業、約5万社を対象に育児休暇を義務付けする方向で検討していますので監視も強化されると思います。
 日本のジェンダーギャップ指数が中国や韓国より下位にいるのは流石に大問題だと言わざるを得ません。多様化と公平性は新しいものをつくっていくには大前提にあるものですが、日本の社会には決定的に欠けています。だから、技術革新は起こらず、旧態依然とした企業が既得権益を守ろうとする力が強いままなのだと考えられます。
 男性育休の取得者側のメリットとして、育児休業給付は非課税で、育休中は健康保険料や厚生年金保険料など社会保険料が免除されます。休業前の手取り賃金の8割程度が支給されることになるため、経済的にも安心して育児に専念できるでしょう。問題は男性に育児休暇を取らせない職場の空気、風土だと思います。
 男性育休取得率の高い職場は、リクルートにもプラスの効果を生みます。今の学生は、出産後も安心して働けるかを見て会社を決めると言われています。女性だけでなく、男性も育休取得しやすい職場かどうかは、優秀な学生をリクルートする際の重要なポイントになります。
 経営者は、自社の経営にとって男性の育児休暇は重要な問題だと認識しなければなりません。そのことで職場に活力を生み出すということを考え改めなければなりません。日本の経営改革は、ジェンダーギャップ問題の解消から始まるといっても過言ではありません。

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