最近表紙買いしたおすすめ漫画

 はじめまして。おとむしといいます。つい半年前(?)にクラブの暗闇で知り合ったととさんが面白そうな企画をやるということで、このカレンダーに参加しました。

 さて、音ゲーの事を書くとか宣いましたが、気が変わったのでおすすめの漫画でも紹介しようかなと。漫画といっても鬼滅の刃とか呪術廻戦の王道少年漫画ではありません。めちゃめちゃに人を選ぶものを紹介します。
 僕はお金があると秋葉原や神保町まで足を運んで漫画を数冊買い込みます。長いシリーズものじゃなくて、一巻完結もしくは数巻で完結するやつ。これが楽しい。未知との遭遇です。表紙・帯・絵柄だけを見てぴんと来たものを手に取ります。そんな出会い方をした漫画たちを紹介していきます。

 まずはこれ。『宙に参る』。去年あたりから目を付けていたのですが、先日ようやく購入しました。ただ、読み終わった今ではもっと早く買えばよかったと少し後悔。
 宇宙をテーマにしたSFモノで、奥さんが息子のロボットと一緒に旦那さんの葬式をしている場面から始まります。ロボットと当たり前に共存し、宇宙に浮かぶ巨大衛星に人々が住むというどこかで見たような設定ですが、違和感なくそういった世界を描いています。ロボットがいくら生活を豊かにしようと、我々が暮らす毎日が大きく姿を変えることはないのです。いつの時代も権力は争いを生み、酒で現実から逃げるのです。
 夫の遺骨を届けるために地球へ向かう船旅というのが本作品の主なストーリーですが、この作品の面白さは「エンジニアってこう人たちだよね」「あーロボットとかAIってこういうとこあるよね」みたいな、我々が体験したことないにも関わらず持ち合わせている先端技術への偏見のような感情を上手く描いているところです。あんまり書くとネタバレになるのでぼかしますが、軍事利用の可能性を危険視されている将棋AIや発しただけでロボットが停止する特定の言葉など、SF好きが好みそうな設定がこれでもかと盛り込まれています。kindle版には特典も付いてるみたいなのでドラえもん好きな方はぜひ。

 お次は『さめない町の喫茶店』。これは結構好きな人おおいかも。主人公のスズメはハクロさんというマスターが営む小さな喫茶店で働いています。そこで日々おかし作りに没頭し、お客さんにふるまうという内容ですが、結論から言うと上に書いた内容はすべてスズメの夢。でも、夢の中で彼女が住む町「ルティア」は確かに世界として存在していて、ゆったりとした時間が流れています。
 毎話においしそうな料理やおかしが登場します。作り方やレシピも載っていて、パスタしか作れない僕でも挑戦してみたくなります。いつかサンデーモーニングコーヒーのお供に素敵なおかしが作れたら…なんて想像しちゃいます。
 この漫画は二巻完結なのですが、あくまでもこれは夢の中だよというスタンスで話が進んでいきます。次の話が読みたいけどいつかスズメの夢は覚めてしまうのか、もしそうなったらこの世界の人々は?など一松の不安を抱きながら読み進めなくてはなりません。けっこう辛い。でも、自信をもっておすすめできます。絵もかわいいし、ぜひ疲れた夜に手に取って読んでほしい一冊。

 最後はこれ。『おむすびの転がる町』。一推しです。僕の好みにこれでもかという位ハマっている作品です。ただ、まずは、この作品の著者であるpanppanya氏とその作品群について書かれたこの方のnoteを読んでみてください。

 非常に丁寧にpanpanya作品群の魅力を描いています。そう、panpanya氏の作品は短編集で、一貫したストーリーもありません。登場人物も固定です(スターシステムと言うそうです)。なので、正直彼の作品であればどれを手に取ってもらっても構いません。『足摺り水族館』『蟹に誘われて』など全7冊あり、その中で上にリンクを貼った『おむすびの転がる町』が最新刊なので紹介したのです。
 この本に収録されている話を端的に説明すると、「近所の急坂の上が気になる話」「マジのツチノコを見つけてしまった話」などです。面白そうと思いましたか…?これがね、面白いんです。緻密に書き込まれた絵柄や町中の絶妙な描写などが話に説得力を持たせ、いかにも現実でありそう感を演出しています。「ああ、こういう視点で著者は生活しているのか」と感嘆させられます。どこか懐かしさを感じる絵柄や話は夢を見ているような気分にしてくれます。『足摺り水族館』の帯に「寝入りばなに見る夢のような作品たち」というキャッチコピーが書かれていますが、まさにその通りで、あくまでも舞台は現実の日常です。人の夢日記を読む感覚に近いかな。また、巻末には各話の解題があり、作品の間には筆者のエッセイが書かれています。これがまたいい。友人に話されたらふーんと流してしまいそうな話題ばかりですが、謎の面白さがあります。文学的でも詩的でもない文体ですが、なにか惹かれてしまうような魅力があります。
 うーん、難しい。正直作品から感じ取っていることの1/5くらいしか言語化できていません。それほどに不思議な作品です。あと、一冊1000円することもあって異常なほど装丁にこだわっています。作品ごとに使われている紙も違うし、凝った帯、そしてカバーを外すとまるで洋書のようなデザインが。しかも写真のように(触らないと分からないけど)コンクリートの壁のようなレリーフ加工が程kされています。

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なのでぜひ現物を買って寝る前に読んでほしいのですが、困ったことにそんじょそこらの書店にはおいてありません。通販を使うことをお勧めします。アニメイトにも、紀伊国屋にもありません。書泉さんにはあります。試し読みではなく(試し読みでも全然OKですが)、ぜひ現物を買って寝る前に布団にくるまりながら読んでください。新たな読書体験ができることでしょう。

 初めてのnoteで苦戦しましたが、如何でしたでしょうか。僕自身こういったレビューを書くのも初めてで、感じ取ったことを言語化する難しさを思い知りました。少しでも紹介した作品たちに興味を持ってもらえたら幸いです。乱文乱筆でしたが、読んでいただきありがとうございました。

明日は赤インクさまの記事です。

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