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このままひとり、なんてそんなことは絶対にない



鎌倉に向かう途中、品川から乗ってきた若いふたり。

会話の内容から、付き合う前だろうと推測されたふたり。

うまくいったかしら。


1時間の長旅を終え、東京駅で降りる。

もう家に帰っても何もしたくない。

自分を甘やかそうと、駅弁でも買ってしまおうか、と思ったけどやめた。
丸の内北口を出て、二重橋前駅を目指す。

本当は地下から行った方が早いのだけれど、なんとなく、夜の丸の内駅舎が見たかった。

誰かと見るより、ひとりで見たことの方が多い丸の内駅舎。

こんな気持ちを受け止めてくれる人なんてわたしにはいない。


風が冷たい、空が綺麗。

冷たい風が目に入ってきて、
瞳がうるむ。

丸の内仲通りがキラキラしていなかった。それだけが救いだ。時にときめき、時にグサグサ心を刺してくる。


家に帰っても、あたたかいごはんはない。
憂鬱な日常がまたスタートする。

それでもこんなセンチメンタルも長く続くわけではなく、きっとわたしは元気になる。

家に帰ると、先週買った曲がったチューリップが、もっとへにゃんとなっているだろう。

自立できなくなってしまったそれは、壁で少し支えている。明日のゴミの日で、出してしまうか迷う。

昨日出かけた人との、次の約束の打診のLINEに、なんて返そうか迷う。

憂鬱だ。

最寄駅に着いたら、コンビニで結局お弁当を買うしかない。

せめてお風呂は、湯舟をはって、早く入ってしまおう。もったいないからと、長風呂はしなくていい。15分経ったら出てしまえばいい。

それでもう今日は特別だ。

いろんなひとが、いろんなステージで悩んでいることを知った。わたしはひとりじゃない。でもひとりだ。



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