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睡眠時間ゼロ時間社会について、眠る必要がないとしたら

こんにちは。睡眠研究家みんたつです。

9月3日は秋の睡眠の日です。

さて皆さん、普段からよく眠れていますか?
「あと、30分、いや5分でいいからもう少し寝させてほしい」そんな風に朝から睡魔との闘いで始まるなんて人も少なくないのではないでしょうか。

私も前日、仕事などで遅くなってしまうと、朝、布団から出るのがおっくうに感じることがあります。

そんな日々繰り返す睡眠について、今回はちょっと変わった観点からいろいろと考えてみたいと思います。

序文:日本は世界一の短時間睡眠社会だからこそ

後ほど統計データなどでも紹介致しますが、日本は世界でも睡眠時間が最も短い国=ワースト1位という評価を受けています。残念な結果というか、本来は健康的な生活を送るうえで、十分な睡眠時間を確保することが大切なのは言うまでもありません。

しかし、あえて今回はこの結果を逆に捉えて、日本は現時点で世界の最先端を行く短時間睡眠社会であるという観点から、考えてみたいなと思いました。

この短時間睡眠社会が究極的に進んで、睡眠時間ゼロ社会にできるようになるとしたらどうでしょうか?

そんな、有り得ないような未来に目を向けて、もし私たちが一切眠る必要が無い、寝なくてよくなるとしたらどんな生活を送りたいか?などについて、この睡眠の日に考えてみたいと思いました。

ちなみに、そんな睡眠をしなくても良いという世界を描いた近未来SF小説『ベガーズ・イン・スペイン』という作品があります。眠らずにすむ無眠人(スリープレス)という新人類が出てくる話なのですが、24時間丸々使える新人類は、旧人類からは羨望の的、そしてさらには憎悪の対象になってしまうという話です。

余談ですが、読みがいのある小説で、読んでいたらついつい寝るのを忘れて読みふけってしまいます。秋の夜長にもおすすめです。


睡眠時間世界ワースト1位

冒頭で触れておりましたが、2018年OECDの調査によると、日本人の睡眠時間は、7時間22分で世界WORST1の短さでした。

さらに、ブレインスリープ社の調査によるとワースト1位とされている睡眠時間より実際はもっと少ないという下図のような結果もあります。

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参照元:日本の平均睡眠時間

また毎年、寝具の西川では下記のような統計データを発表したりしています。2021年の結果では、1万人に調査したところ、なんと全体の約半数である49.9%の人が 「不眠症の疑いが高い」という、衝撃的な結果となっております。

2021 睡眠白書ー 日本人の睡眠を大調査! ー

こうした統計結果からも睡眠不足が問題視されている日本の現状が垣間見えます。

そんな、睡眠不足が問題となっている状況を踏まえつつ、そもそもどうして眠るのか?睡眠の役割って何だろう?ということを理解しておくのも大事な点ですので、こちらのnoteに書きました。

睡眠時間ゼロにする可能性

さて、ここからはSF小説のように、睡眠をとらなくても良いようにする方法や、それによる生活の変化などについて考えてみたいと思います。


①短時間睡眠で生きられる遺伝資質を持つ人がいる

人口当たり約1%未満と考えられていますが、ショートスリーパーという6時間未満の睡眠でも十分に健康を維持できる、短時間睡眠体質の人がいます。
短時間睡眠体質の方は遺伝子に変異があることがわかっています。

カリフォルニア大学神経科学科の近年の研究で、ショートスリーパーには睡眠に関わる遺伝子に変異があることが分かったのです。この変異遺伝子をもっている人は、目覚めやすく、より長時間活動的な状態でいられる脳をもっているとされています。短時間睡眠体質のショートスリーパーとは?米研究者が特有な遺伝子を発見

この変異遺伝子をもとに、一般の人でもそういう資質を取り入れることができるようになれば、まずは短時間でも活動できるようになるかもしれません。

これなどは、まさに先に上げたSF小説『ベガーズ・イン・スペイン』の世界ですが、可能性が無いとは言えないかもしれません。

②デバイス・ナノマシンなど外部から取り入れるものによって睡眠様の状態を作り出す。

ここまで、寝ないことによるリスク、脳が睡眠中に行っている脳内の物質交換、グレンパティック系といった脳の老廃物を除去するシステム、成長ホルモンによる身体の修復作用などがわかってきていることをお伝えしてきました。

こういった、寝ている間に行われている機能を、起きている間に薬やナノマシンを体内に入れること、酸素カプセルのような場所に行くことで回復させられたら、我々は寝なくても生きていけるようになるかもしれません。

実際に「スマートナノマシン」を使った医療というのも進んできています。

「スマートナノマシン」高分子でできたカプセル。直径は50ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリ)の極小サイズ。当然肉眼では見ることができない。 中に薬剤を入れて体内を循環し、異常な細胞があると治療する。引用元:体内病院「スマートナノマシン」で医療の未来を創る!
がん治療のスマートナノマシンは実用化目前
がん治療用のスマートナノマシンは開発がかなり先行して進んでいる。一般の抗がん剤は全身に広がり、正常な細胞も傷つけてしまうデメリットがあるが、抗がん剤を入れたスマートナノマシンは、がん細胞のみを"攻撃"するという。引用元:体内病院「スマートナノマシン」で医療の未来を創る!

酸素カプセルではありませんが、寝ている間の脳波に作用して、深い睡眠を得やすくするといったアイテムもあります。

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7つのモードで脳波を調整、 リラックスや睡眠状態に入りやすくするヘッドバンド登場

こういった技術が発展していけば、まるで充電するかのように脳波を調整することで眠ったかのように回復させることもできるかもしれません。


寝なくてよくなったら何をしたい?

もし寝なくても健康的に毎日をご機嫌に過ごしていけるとしたらどんな生活を送りたいかについて考えてみましょう。

平均睡眠時間である約7時間が自由に使える時間になるというわけです。そんなに自由に使える時間ができたらと考えたらなんだかワクワクしますね。

さて、どんな1日を計画するでしょうか?

まず朝、起きてからという概念が無くなりますね。その為のルーチンワークも必要なくなります。食事も朝、昼、晩、深夜という1日4食が基本の生活になるかもしれません。

その為、時間があればやりたいと思っていた、資格や語学の勉強、趣味としての漫画やアニメ、推しのライブ観戦、ゲームや旅行に行ったりすることも可能になります。

仕事は、飲食店をはじめ殆どのお店が24時間お店を開けている必要も出てくるでしょう。先に上げたエンタメ(漫画・テレビ・スポーツ・アニメ・音楽などなど)も消費量に追いつくために、より一層制作する必要がでてきます。

こうなってくると、どんどん消費が進んでいくとともに、それに合わせた生産もされる必要が出てきます。

結局時間が足らない

24時間フル稼働になる社会を簡単に想像してみましたが、こんな状況になったときにどう感じると思いますか?

私はこの想像をして思ったのが、小見出しのとおり、結局今と変わらず「時間が足らない」という気持ちになると思いました。

有名なパーキンソンの法則の第一法則によれば「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」とされています。

パーキンソンの法則(パーキンソンのほうそく、英: Parkinson’s law)は、1958年、英国の歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソン(英語版)の著作『パーキンソンの法則:進歩の追求』、およびその中で提唱された法則である。役人の数は、仕事の量とは無関係に増え続けるというもの。パーキンソンの法則 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

つまり、増えた時間と同じだけ仕事もやることも増えるということになります。


幸福度をあげることが大切

ここまで、睡眠時間ゼロ、眠らない生活に向けて、そもそもの眠りの効果なども踏まえて考えてきました。

その結果、眠る時間が無くなったとして、果たして私たちは幸せに過ごせるのだろうか?という疑問に行きつきました。

確かに、時間が足りなくてやりたいことができないという思いはあります。だからこそ、睡眠時間を削ってしまったり、短時間睡眠のできる人になりたいと思ったことも一度や二度ではありません。

しかし、限られた時間の中で本当にやりたいことが何かを考え、健康を保ち、イキイキと生きている人もまた沢山います。

たとえ、睡眠時間がゼロにできたとしても、やりたいことは止めどなく溢れてくるでしょう。

それであれば、今できることは、人生の幸福度アップのために、十分な質と量を保った睡眠時間を確保して健康を保ちながら、自分にとって大切なものが何かを考えて、行動することに尽きるのではないかと思います。

私のモットーに「睡眠が変われば人生が変わる」があります。

睡眠について考えることは、人生を考えるきっかけにもなります。この9月3日「秋の睡眠の日」に、睡眠について考えることで、改めて人生についても考えるきっかけになって頂けたら嬉しいです。

睡眠が変われば人生が変わる
睡眠研究家みんたつ


参考文献:

短時間睡眠体質のショートスリーパーとは?米研究者が特有な遺伝子を発見



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