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快眠をサポートする食事~栄養編~

こんにちは、睡眠研究家みんたつです。

さて、新年度になり、慣れない一人暮らしを始めた方や引っ越しなどで生活に変化があった方もいらっしゃるかと思います。

また改めて、健康的に過ごしたい、夏に向けてダイエットしようと決意を新たにしたなんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな皆さんにとって、食事は是非気を付けたいポイントですよね。

そこで、前回は快眠をサポートする食事について、いつ食べるか?というタイミングについて紹介させて頂きました。

快眠をサポートする食事~タイミング編~

その後編として【快眠をサポートする栄養成分】についてそれぞれの成分や食材を紹介していきたいと思います。

睡眠によい食べ物というと、どんなものが浮かびますか?

例えば、夜、眠れない時にはホットミルクを飲むというのを試したことがある方も多いのではないでしょうか?何故ホットミルクなのか?それには、含まれている成分に由来する理由があります。

そういった快眠の為に意識して取り入れたい栄養成分として以下の3大要素があります。

大きく分けるとアミノ酸、ビタミン、ミネラルです。その中でも快眠に効果があるとされる成分がカッコの中の7つです。

1.アミノ酸(トリプトファン・グリシン・GAVA)
2.ビタミン(ビタミンB12,B6)
3.ミネラル(カルシウム・マグネシウム)


睡眠を語るうえで是非知っておきたい睡眠ホルモン~メラトニン~

さて、それぞれの栄養の話に入る前にさらにもう一つだけ是非、知っておいて頂きたいのが、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの存在についてです。

極端な言い方をすれば、メラトニンを制する者が眠りを制すると言っても過言では無いでしょう。

メラトニンは脳の視床下部というところで作られます。メラトニンによって、睡眠が促されて夜眠くなる作用が働きます。逆に朝は日の光によってメラトニンの分泌が抑制され覚醒していきます。

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これが、朝日を浴びるのがとても大事であるとされる理由の一つです。

光を浴びて14~16時間経つと、メラトニンの脳での分泌が増えてだんだん眠くなってきます。

例えば、朝7時に日の光を浴びると、21時~23時に分泌が増えてくるということになります。

このメラトニンを作り出す為には、まずセロトニンが作られ、セロトニンはトリプトファンから作られます。このトリプトファンが必須アミノ酸の一種なので、必ず食事などから摂らなければなりません。

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セロトニンは、別名、しあわせホルモンと呼ばれる脳内ホルモンで、「ノルアドレナリン(神経を興奮)」や「ドーパミン(快感を増幅)」と並び、感情や精神面、睡眠など人間の大切な機能に深く関係する三大神経伝達物質の1つです。引用元:「トリプトファン」を摂って、しあわせホルモン「セロトニン」を増やそう!

しあわせホルモンと言われるセロトニンも大事ですし、睡眠ホルモンであるメラトニンを作り出すためにも、トリプトファンが必須になります。

このように、睡眠に良いとされる栄養素の中には食事からしか取り入れることができないものもあると言うことがわかって頂けたかと思います。それでは、これから一つ一つ見ていきたいと思います。

1.アミノ酸

まずは私たちの体はタンパク質で作られています。

特に大部分を占める水分を除くと、私たちの体はタンパク質と脂質が多くの割合を占めています。

タンパク質は、筋肉、臓器、皮膚、骨、毛髪などの主要成分として存在するほか、体の機能を調整するホルモン、酵素、抗体などの材料でもあります。
人間の体はタンパク質でできている。タンパク質・アミノ酸・ペプチドの関係を解説

全ての源と言えますね。そんな、私たちのカラダを作っているタンパク質は、20種類のアミノ酸からできています。

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画像引用元:ダイエットにEAA(必須アミノ酸)は有効か?byGronG

アミノ酸には表の通り、「非必須アミノ酸」「必須アミノ酸」があります。9種類の必須アミノ酸はヒトの体では合成できないため、食品から摂取する必要があります。既に紹介したトリプトファンがそんな必須アミノ酸の一つです。


これ以外に、タンパク質を構成しないGAVAというアミノ酸もあります。

最近はチョコレートを始め、様々な食材に機能性表示食品としてGAVAが使われているので、見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?

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快眠サポートアミノ酸

さて、いよいよ仮眠をサポートするアミノ酸について紹介していきます。既に出てきたトリプトファンを始めとして快眠をサポートするアミノ酸の代表格としてあげられるのが次の三つです。

①トリプトファン
②グリシン
③GAVA

どれもあまり聞いたことが無い成分だと思いますが、これらを上手く取りこむことが、快眠に繋がっていきます。

①トリプトファン

トリプトファンは食事から摂取するしか取り入れる方法がありません。

そこで、トリプトファンが比較的多く含まれている食材を意識的に取り入れていきたい所です。

主に、豆腐・納豆・味噌などの大豆製品、チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品卵・バナナ・アボガド・スジコ・タラコといったものに比較的多く含まれています。

さらに、肉や魚にも多く含まれます。

しかし、動物性たんぱく質に含まれるBCAAというアミノ酸はトリプトファンを脳へ取り込みにくくするとされているため、植物性たんぱく質から摂ることをおすすめします。

敢えて、サプリメントなどで大量にとる必要はありません。むしろ、取り過ぎは健康障害を引き起こすリスクもありますので、普段の食事を意識するだけにしておきましょう。

②グリシン

食材の中では、エビ・ホタテ・イカ・カニ・カジキマグロ・しじみ・あさりなどの魚介類に多く含まれていて、うま味のモトとなっています。

うま味と言えば、私は【味の素】が思い浮かぶのですが、調べてみるとやはりAjinomotoでもグリシンと睡眠の関係を研究していました。

実際に、睡眠の質が改善する効果があるという研究結果を報告をされていて、グリシン含有のサプリメントも開発して販売されています。

グリシンを摂取することで、得られる改善効果のポイントは下記の通りです。

グリシンの【睡眠の質】改善効果ポイント
深部体温を低下させ、自然な深い眠りにすみやかに到達させる。
睡眠リズムを整えて、質の良い睡眠を得ることができる。
翌朝:スッキリと、気持ちの良い目覚めが得られる。
日中:眠気を解消し、作業効率もアップ。集中力・意欲も高めストレスも軽減 睡眠の質を高めるアミノ酸“グリシン”

アミノ酸“グリシン”が睡眠の質を向上するとともに、肌質を改善することを確認

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その他、ホタテガイ貝柱100グラム中に2000ミリグラム含まれていますし、あさりやシジミなどにも含まれています。

私なんかはついつい魚介類ってなかなか取り入れにくいと感じてしまうのですが、しじみやアサリであれば、お味噌汁などにして食べやすいのではと思いました。

ちなみに、NHKでは美肌をサポートする成分としても紹介されていました。

豆知識ですが、あさりやシジミの砂抜きをする時には真水ではなく必ず1リットルに10g程度の食塩を入れましょう。塩分があることでシジミの体内のうま味成分が増えるんだそうです。このうまみ成分の一つがグリシンでもあるので、美味しくグリシンも取り入れる為にも、砂抜きの際にはひと手間加えてみましょう。

③GAVA(ギャバ)

ギャバとは脳やせき髄に多く存在し、神経伝達物質としての重要なγ-アミノ酪酸という物質の略称のことです。

ギャバには興奮を抑えて、リラックスさせる作用があります。その為、チョコレートなどではストレス低減といった表示がされていたりします。

食材としては、玄米・胚芽米、アワ・キビ・ヒデ・大麦などの雑穀、漬物、小魚・トマト・スプラウト・ココア・チョコレートに多く含まれています。

最近では、GAVAの量を増やしたバナナやキノコなどもあり機能性表示食品になっているものも見かけるようになってきました。こういったものを食品選びの際に意識してみても良いですね。

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2.ビタミン

ビタミンは健康の為にはなんでも大事そうだなと思うのですが、その中でも快眠をサポートしてくれる成分としてビタミンB群があります。

特に、ビタミンB12B6が良いとされております。

ビタミンB12はメラトニンの分泌量を調整して、正しい睡眠のリズムを作り出すということに作用しており、ビタミンB6 は神経伝達をスムーズにする効果があり、睡眠時に必要な副交感神経の働きを高めてくれます。

どんな食材に多く含まれているかというとシジミやアサリなどの貝類や、ニシン、サンマ、鮭、タラなどの魚やスジコ・卵・牛や鶏のレバーといった、動物性の食品です

ビタミンB12は水溶性であり、多く摂っても必要のない分は排出されるため、摂りすぎによる問題は発生しません。睡眠リズムを整えるビタミン


3.ミネラル

快眠をサポートしてくれるミネラルには二つあります。

それはカルシウムとマグネシウムです。

カルシウムには、神経の高ぶりを鎮めて、精神を安定させる効果があるので、眠る前に摂るとリラックスでき、寝つきがよく、ぐっすりと眠れるようになります。

食品としては、乳製品・小魚・殻ごと食べられるエビなどの魚介類大豆製品、特に牛乳や乳製品は効率よく吸収できる形で含まれています。


マグネシウムが不足すると、神経が過敏になって、興奮・錯乱したり、抑うつ気分や妄想、不安感が強くなったりします。また月経前症候群の緩和や片頭痛の予防にも効果があります。

マグネシウムには体を鎮静させる効果があります。「筋肉をリラックスさせるのに役立ち、抑制作用のある神経伝達物質GABAの機能を高めることができるので、不安感を低減する効果もあるのです」ということで、既に出てきたGAVAとの相乗効果も得られますね。

マグネシウムが含まれる食材についてはこちらを参照ください。

アーモンドやほうれん草、豆乳、ピーナツバター、アボカドといったマグネシウムの宝庫をもっと食事に加えればいい。また、卵や牛乳、ヨーグルトなどの乳製品やバナナにも含まれている。乳製品や、アーモンドやバナナ、ほうれん草などの植物性食物をあまり食べない人は、医師にサプリについて相談してみるのもいいだろう。より良い睡眠のためには「マグネシウム」を摂取すべき?


食生活以外に私が時折取り入れているのがエプソムソルトという入浴剤をつかったマグネシウムの摂取方法です。

エプソムソルト(Epsom salt)の成分は硫酸マグネシウム(MgS04)という白い結晶で、マグネシウム・硫黄・酸素が含まれた物質。温泉や海水に含まれる天然成分でもあり、ソルトと言いますが、塩分が入っていないため浴槽を痛めることなく、残り湯を使うことができるのも魅力のひとつですアスリートも注目!筋肉疲労からPMS・睡眠までケアする「エプソムソルト」

お風呂に入りながらマグネシウムも摂取できるという、一石二鳥な商品だなと思って定番アイテムとして使っています。

摂取するのに気を付ける成分

ここまでは、取り入れるべき栄養素について紹介してきましたが最後に、摂取するのに気を付けるものとして、カフェインとアルコールにも触れておきたいと思います。

カフェイン入りの飲み物と言えばコーヒーが一番に思い浮かぶかと思いますが、最もカフェイン量が多いのは実は玉露です。

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そんなカフェインとビールを摂取する大原則としては、量と時間がポイントになります。

・カフェインを取るのは起床後90分以降、就寝7~8時間前まで。健康な成人は最大400 mg/日(コーヒーをマグカップ(237 ml入り)で約3杯程度)
・アルコールも夕食の時間(就寝2時間以上前、理想は4時間前)までに適量にする
睡眠薬代わりに寝酒を飲む習慣を持っている人が男性で多いことがわかっています。アルコールは、睡眠薬代わりに少し飲んでいる場合でも、慣れが生じて量が増えていきやすいことが知られています。アルコールは、入眠を一時的には促進しますが、中途覚醒が増えて睡眠が浅くなり、熟睡感が得られなくなります。

また、どちらも体質によって耐性が強い弱いがありますので、上手に付き合っていきましょう。

カフェインレス生活を送っていた私の記録も良かったらご参考までに

まとめ

今回、快眠をサポートする3大要素の中から栄養成分7つを紹介しました。

1.アミノ酸(トリプトファン・グリシン・GAVA)
2.ビタミン(ビタミンB12、B6)
3.ミネラル(カルシウム・マグネシウム)

これらの成分が良く含まれる食材としてよく出てきたのが雑穀・穀物類、大豆製品、乳製品、バナナ、アボガド、魚介類でした。

そこで、朝食であれば納豆・お味噌汁・雑穀ご飯、洋食であればパン(全粒粉)・牛乳・バナナにするということや、夜のホットミルクが良いとされるのもトリプトファンが含まれていること、カルシウムによる精神安定効果が得られるということで、どれも理にかなっていると言うことがわかりました。

人生の3分の1を占めると言われる睡眠は寝るときだけではなく、日中どんな風に過ごしたか?ということから大きく影響を受けています。

食事を始め生活習慣を見直して、素敵な快眠ライフをおくる参考になれば嬉しいです。

毎日がご機嫌で暮せますように

睡眠習慣改善パートナー
みんたつ

【参考文献】

朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』(坪田聡著、ダイヤモンド社)
世界最高のスリープコーチが教える 究極の睡眠術』ニック・リトルヘイルズ
健康づくりのための睡眠指針2014(平成26年3月)(厚生労働省健康局)

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