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ぺこぱとの出会い

先日アメリカから日本に帰国した。本当はもっとアメリカにいたかったけれど,状況を考えて予定より早めに日本に帰ることになった。一応卒業はできたものの,ロクに卒業式も出来ず,留学が消化不良に終わり,本当に悔しかった。コロナによる影響を受けたのは最後の数か月だけだけど,終わり良ければ総て良しの逆で,きちんと締めくくりができないとすごく後味が悪いのだ。

ANAの帰国便にのっている間,なんだかやりきれなくて眠れなかった。機内エンターテイメントを探しつつ,あんまりおもしろい映画もないなあ,バラエティでもみるかなあと思ったらM1グランプリ2019の録画を見つけたので観ることにした。去年の年末の番組だからかなりのタイムラグだ。

漫才にはそんなに興味がなかったので大して期待していなかった。私の中で漫才というと関西弁の人がやや怒り気味でまくし立てて人の頭を殴っているっていうイメージが強くて,面白いんだけれど,ちょっと暴力的で,見ていて気持ちがついていけないことがあるのだ。M1で誰が優勝した!とニュースを見かけても,凄いことだとは分かっているけれど,わざわざその漫才を観ようとは思わなかった。

だから昨年のM1を見たときに衝撃を受けた。まず,冒頭のニューヨークで,歌と突っ込みで進めていく漫才で,こんな形もあるのだとびっくりした。(その後,ニューヨークのコント等をいくつか見たが,本来のやや毒のある芸風も好きになった。)優勝したミルクボーイの漫才もコーンフレークだけであそこまでよくもまあ面白くなるものだと本当に驚いた。

しかしなにより何より最後にでできたぺこぱに度肝を抜かれた。

ノリ突っ込まない漫才,否定しない漫才,色々な言い方がされているみたいだが,トゲの刺し合いみたいなやりとりがないからなのか,すごく安心して聞くことができた。そして何より松陰寺が自分自身に突っ込むみながら一人でじたばたしている姿が面白かった。少なくとも私は人に突っ込むよりも心の中で自分自身に突っ込むことの方が多いので,そんな松陰寺の姿に共感したのかもしれない。こういうのも漫才としてアリなんだとしたら案外漫才って自分が思ってたほどハードル高いものじゃないのかもしれないなと感じた。

その後はYoutubeで色々な動画を漁った。過去のM1も見てみた。自分がなんとなく近づきがたいなあと思っていた関西っぽい漫才以外にも色々なスタイルがあって,自分が面白いと感じる漫才やコンビを見つけるとなんだかうれしかった。

そしてぺこぱも大好きになった。ほかのコンビもそうなのかもしれないが,仲の良さがすごく伝わってくるのだ。特に松陰寺のしゅうぺいに対する言動が非常に愛にあふれているのだ。松陰寺としゅうぺいがただ仲良くしてるだけの平和な動画を見るだけで,なんだかほっこりした。二人の愛を感じる言動があるといちいち嬉しくなった。

ぺこぱのラジオも聴いた。漫才だけ見ていると,松陰寺のキャラが前面に出ていてそれだけでトーク回すのはきついんじゃないかという印象もしなくもなかったが,無用な心配だった。むしろしゅうぺいの方が上手く流れをコントロールしていて,ラジオトークに慣れている感すら感じられた。キャラを脱いだ松陰寺こと松井勇太も普通に面白かったし,逆に松陰寺キャラを第三者的な視点で見ている松井勇太が,営業先との接待で疲れたサラリーマンみたいで,オフの状態をさらけ出してくれているように感じ,親しみを覚えた。そして何より,二人のいちゃいちゃした会話に心が弾んだ。早くレギュラーのラジオ番組持ってくれないかなあ。

アメリカから帰国後,2週間自主隔離しなくてはいけなくて,出歩くことも出来ず,精神的に滅入っていたけれど,ぺこぱの漫才やトークを聴いている間は余計なことを考えずに単純に楽しむことができて救われた。

なんとなく近づきがたく思っていた漫才だったけど,自分のツボにぴったりとはまる漫才があることを知ることができた。帰国便の中で観た機内エンタメという,偶然のタイミングで見つけたM1,そしてぺこぱだったけれど,出会うことができて良かった。

私はぺこぱがゆくゆくはオードリー的なポジションで活躍してくれることを願っているし,そうなるんじゃないかと目論んでいる。そんな将来を楽しみにして,私ももう少し頑張ってみようかな。

日常にささやかな楽しみと励みをくれたぺこぱに本当に感謝したい。





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