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意地っ張りへジンがカワイイ乙女に変わるまで『海街チャチャチャ』

Ep10での告白を経て、ついにカップルになったへジンとホン班長。

Ep11-12は間違いなく恋する二人を堪能するターム。いわばサービス回だった。
ホン班長のヨキ彼氏っぷりとへジンの可愛さが惜しげもなく描かれていて、視聴者にトキメキとシアワセを提供した。

でも、ふと考える。
このドラマが始まった時、へジンはこんなにカワイイ女だったけか?

いやいや、ドラマ序盤では、どちらかといえば「感じ悪い女」な部分がクローズアップされていたはず。

しかし、恋は人を変えるもの。

ここでは、意地っ張りのユン・へジンがカワイイ乙女に変わるまでの心境の変化にフォーカスしつつ、思うところを綴ってみたい。


1.歯科医ユン・へジンという女

物語前半のへジンは決して一般受けするタイプの女ではない。
美人だがプライドは高く、歯科医である自分はエリートだと自覚している。
現実主義者でもある彼女にとって社会的ステイタスは重要で、時に相手を見下すこともある。

一方で、歯科医としての腕はいい。
医師としての信念を持ち真摯に仕事に取り組む姿は凛々しい。真面目で努力家であることも彼女のポジティブな側面だ。
また正義感の強さから、上司である女院長と真っ向勝負するあたり、曲がったことを嫌うへジンの芯の強さを感じさせる。それは彼女の気の強さにも通づるのだが、自立した女として悪くない素質だ。


そんなへジンには、人に干渉されることを極度に嫌う個人主義な一面もある。

しかし、それは本来の彼女の姿ではない。

そのヒントはEp1、親友ミソンとの会話にヒントがある。
ミソンに「中学生の時から守ってきた座右の銘は?」と聞かれたへジンはこう答える。

「他人より自分の心配を」


この言葉が座右の銘ということは、へジンは本来、他人をほっておけないお節介な性格だということを物語っている。
とするならば、へジンは社会に揉まれる中で学習し、本来の自分をできる限り封印して生きているということ。(それでもおせっかいな性格はたびたび顔をだすのだが)

さて、本来のへジンとは何か。

それを語るにおいて、彼女の生い立ちを知ることは欠かせない。

へジンにとって最も重要な出来事は、早くに母を亡くしたこと。
そして父との関係や父の再婚。
これらは複雑に絡み合い、へジン人格形成に多大なる影響を及ぼしている。

病弱だった母を気遣い、母の死後は酒びたりで荒れていた父を支え孤独な子供時代を過ごした。そして、その環境が「しっかり者のへジン」を作り出した。

言い換えればそれは、寂しさを我慢することに他ならず、幼い少女は「甘えたい」という願望を封印したのだと思う。

人が死んだら誕生日は消えて命日だけ残るのが悲しい

母が生きてきた事実が かすんでしまう気がする


このセリフからも、今も尚、母を恋しく思う気持ちが強いことがみてとれる。
つまり彼女は、子供の頃に満たされなかった母からの愛情や、母を亡くしたことから派生する寂しさを抱えて生きているのだ。


実際のところ、彼女の本質は寂しがり屋で甘えん坊なのだと思う。
それでもしっかり者の娘として、頑張って、努力して歯医者になって今の地位を築いた。


自意識過剰だったり、少々めんどくさいところがある女ではあるけれど、しっかり者のへジンの中には乙女なへジンが隠れている。

そう考えるとへジンがどうしようもなく愛おしくなっていまう。



2.自然体のホン班長がへジンの心を溶かしていく


ともあれ、へジンのようなタイプにとって、自分を解放するのに最も手っ取り早いのが「お酒」。アルコールでタガが外れた時、本来の自分がようやく顔出す。

飲まないと素直になれないのは常に気を張っている証拠。
そして、飲んで弾けてしまうのは、日頃、本来の自分を押さえつけているからとも言える。

ともあれ、ホン班長の前で酔ったへジンは、いつになく素直になってこう言う。

むやみにに酔ったりしない 

イヤなの
素になるのも 弱くなるのも 正直になるのも



彼女が気を張って生きているのは人に干渉されたくないからじゃない。
それによって自分を守っているのだ。

ところで、へジンが素直になったのはお酒のせいだけだろうか。
そこにはへジンの心を溶かすもう一つの要素、ホン班長の自然体がある。

虚勢をはるへジンの姿とは対象的な、ホン班長の自然体こそがへジンの心を開かせるのに一役買っているのだ。


へジンは、自分の家族とホン班長が食事する風景を見ながらこう思う。

ホン班長のいる風景はなぜこうも自然なんだろう

どうして彼は気まずい空気を和ませ 周りの人を温かい気持ちにするんだろう


ホン班長が醸し出す自然な雰囲気が、へジンの心に変化を与えたのは間違いなし。



一方、彼女を辛抱強く見守っていたホン班長は、意地っ張りへジンについての理解を深めていく。

それは、彼女の情の深さ、正義感、悪いところは直ぐに謝る潔さや賢さ、時折見せる寂しがりやな少女の顔などなど。
そして、ジンを知れば知るほど彼女に惹かれていくホン班長。

そもそも人は皆、素のまま生きているわけではない。(ホン班長にだって「空白の5年間」や心の傷がある)。

だからこそ、人が意図せず垣間見せる「弱さ」に強烈な印象を受ける。
へジンの「弱さや寂しさ」を知ったホン班長もそう。
ホン班長自身も孤独な子供時代を送ってきたからこそ理解し共感する何かがあった。

それにしても、意地っ張り女子が秘めている「本当の私」を理解してくれる男の存在の尊きことよ。。


3.自分で自分の殻を突き破る-「自分解放」の瞬間

私がへジンのことをを心から好きになれたのはEp10の告白から。

それまで、気は強いは空気読まないはで、ガッツリ視聴者からの共感を得ることができていなかったへジン。

でも、自分の気持ちに気づいた後は、迷わず想いを伝える潔さや情熱を見せ、この行動がへジンの女を上げた。

それは同時に、彼女が今まで避けてきた「素直になること」を解禁した瞬間であり、そういう意味で彼女は自分の殻を自分自身で突き破ったといえる。
この「自分で自分の殻を突き破る」というところがポイントで、へジンが新しいステージに進んだ瞬間であり、心に抱えていたあらゆる感情を解放する決意をした、重要なターニングポイントとなるのだ。

そして、心を許した人にはとことん甘える。
これ、場合によっては典型的にめんどくさい人ではあるけど(中学の制服で写真とるとか、結構きつい笑。。)、そんなことを思わせないほどのカワイさを発揮するへジン。

愛する人が自分を愛してくれる喜びを全身で受け止め、一方で自分の愛を、愛する人にストレートにぶつける。

それまで封印していきた「甘えん坊」の自分を存分に発揮するへジンは乙女そのもの。へジンとホン班長の恋は、30代半ばの大人たちのそれとは思えないほど甘ったるいのであった。

しかし、その甘ったるさは視聴者をシアワセな気持ちにさせる尊きモノで、それこそが、Ep11-12に視聴者が癒される大きな要素になったと思う。


さて、Ep13以降でホン班長の「空白の5年間」が明かされるはず。
Ep12現在、人生最高のシアワセ状態にいるへジンにも影響を与えるであろうホン班長の過去とはいったい何なのか。

ここから先、へジンの良き部分がもっと引き出されるのだろうと個人的には思っている。

ともあれ、それは週末のお楽しみなのであった。


*こちらの記事は、Ep12配信時点で書いた記事です。
ホン班長の「過去」が簡単に明かされない理由について書きました。
↓是非ご覧くださいませ。↓


*こちらの記事は、キム・ソノの軌跡をたどるべく、「最強配達人」「トゥー・カップス」など、キム・ソノの過去出演作について紹介した記事です。
↓是非ご覧くださいませ。↓



トップ画像:tvN「海街チャチャチャ」公式サイトより引用
http://program.tving.com/tvn/chachacha


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