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韓国ドラマ『社内お見合い』にハマる理由を考える

韓国ドラマ『社内お見合い』を完走。

ドタバタな格差恋愛を、笑いあり、ときめきありで描いた爽快なラブコメディだった。

ちなみに私、ドタバタ系ラブコメはあまり観ることがない。
大抵の場合、数話観ればどういう展開になるのかが予想できるので、好きな俳優が出演しているなどのプラスαがなければ、ほぼスルー。

でも、『社内お見合い』の評判があまりに良いので気になって開封。

期待値低で見始めたけど、これがめちゃくちゃ面白かった。



ということで、ここでは、『社内お見合い』にハマる理由と感想について綴っていきます。


1. 韓国ドラマ『社内お見合い』とはどんなドラマ?

まずは、『社内お見合い』内容をざっくりと紹介したい。

主人公シン・ハリは、食品会社ジーオーフードで働く研究員。
実家はチキン屋。家族と仲良く暮らしている。

一方、ハリのお相手となるカン・テムは、容姿端麗、仕事も完璧な財閥御曹司。
ハリの勤める会社の社長でもある。

ハリは、財閥令嬢の親友ヨンソの頼みで縁談をぶち壊す役を引き受ける。が、ヨンソになりすましお見合いをした相手は自身が務める会社の社長のカン・テムだった。正体がバレて窮地に追い込まれるハリと、ハリが気になるテム。いつしか二人は恋に落ちるが、社長と社員の恋には障害が多く・・・。

という感じのお話。


ちなみに、カン・テムは無駄なことを嫌う合理主義者。
自己評価が高く自信過剰な一面も。その一方で、幼い頃に両親を事故で亡くしたトラウマを抱え、心に傷を負っている。

対するシン・ハリは、ひとりの男に7年も片想いをするような一途で純情な女。可愛らしく性格もよい。


さて、この主役たちのキャラクターや組み合わせ、既視感がある。
特にテムはラブコメにおける御曹司キャラの王道をいってるし。

そういう意味で、このドラマにラブコメとしての目新さはない。

でも、面白いのだ。


そこにはいくつかの理由があるのだ。
次の章で考察したい。



2. なぜ『社内お見合い』にハマるのか

前述のとおり、『社内お見合い』は既視感バリバリのラブコメだ。

では、なぜハマるのか。

そこには、3つのポイントがあると思っている。


【その1】主人公を必要以上に追い込まない&登場人物の感情推移の省エネ化

ドラマは基本、主人公がどのような窮地に陥り、それをどのように克服していくかというストーリー展開にそって、人間模様を観察するエンターテイメントだ。

つまり、主人公がイジメられたり、蔑まれたり等々、とにかく、窮地に陥ってこそドラマになる。


もちろん『社内お見合い』でも、ハリは窮地に追い込まれる。

しかし、その追い込まれ方が緩い!
視聴者目線で見れば「ハラハラ」する場面がそれほど多くないとも言える。

それは悪役(対立軸となる人物)のキャラが濃過ぎないことや、ハリとテムの間に生じるすれ違いや誤解がすぐに解消することに起因する。

特に、悪役(対立軸となる人物)の緩さが、主人公の立場を必要以上に追い込まない。つまりは、わりとスムーズに物語が展開するのだ。


これ、何が良いかといえば、ハラハラが弱い代わりにイライラしないのだ。


情報過多なこの時代、誰だって時間は効率的に使いたい。忙しい合間をぬってドラマ視聴の時間を捻出する視聴者にしても、その気持ちは同じはず。

なので、ドタバタラブコメ的なドラマにおいては、効率よく観たいのだ(たぶん)。


そして実際に、『社内お見合い』はそれを実現している。


具体的には、視聴者に最低限必要なハラハラを提供しつつも、それによって生じるイライラを極小に抑えている。
その一方で、視聴者が観たい展開をサッサと観せていくスタイル

観ながらスッキリ、観た後もスッキリ的な。
こういう感覚が、忙しい現代においては心地良いのかも。



それに加えて、全ての登場人物の感情推移も省エネ化されている。

通常、『社内お見合い』的なドタバタ系ラブコメでは、登場人物たちの感情の機微に重きを置いているわけではないので、登場人物たちの立ち位置や感情はあっさりと切り替わる。

『社内お見合い』もその王道に則っているワケだが、この切り替わり方がめちゃくちゃ効率的なのだ。

たとえば、ハリが7年間片想いをしていたミヌは、テムとハリの仲を割ることができる唯一のキャラクターであるにもかかわらず、チョロっと波風を立てる程度で葛藤も弱め。そしてあっさりと引き下がる。(ほとんど波風になっていないとも言える)

テムとハリの関係もそう。二人の間に生じる誤解はわりと短時間で解決し、関係はすぐに正常化する。それはサブラブラインの二人の喧嘩も同様だ。


とにかく、無駄な描写がない。


このような手法、つまりは、登場人物の感情の揺れをむやみに引っ張ったりせず、視聴者が期待する展開を惜しみなく観せていくのは、テンポの良さ、適度なスピード感として、視聴者に「観心地よさ」を提供する

そしてそれは、徹底的に「無駄」を省き、登場人物たちの感情の効率化を図ることによって実現しているのだ。



うん。新しい。

下手をすると中身がスカスカの物語になってしまうリスクもあるが、そこに果敢に挑んでいるところもチャレンジングだと思う。


【その2】ドタバタラブコメをとことんやり抜いている

『社内お見合い』はラブコメの王道を行く設定だ。

既視感があろうが、先の展開が読めてしまおうが関係ない。

このドタバタラブコメをとことんベタにやり抜く潔さが視聴者に愛される所以だ。

でも、これはある意味「無駄を省く」という効率化と相性がいいのかも。
無駄を省くためには、先の展開が読める方が混乱を招かないという点で好都合だし。

結果として、「効率化」+「とことんベタなラブコメ王道を貫くこと」で相乗効果を生んでいるのだ。



そしてそれに貢献しているのが俳優陣。

わかりやすいキャラクターを、これまたとことんわかりやすく、振り切って演じきっているからこそ、視聴者もこのドラマにどっぷりハマれる。


【その3】カン・テムのブレない王子様キャラ

そして、絶対欠かせない要素が【その3】。
ドラマの柱でもある「カン・テムの王子様キャラ」が完璧だったからこそ、視聴者がどハマりしたのは間違いない。


たとえば、カン・テムは全てを持っている。
容姿、財産、地位、優しさ&時々ツンデレ。

そして、(ここが一番大事なのだけど)彼は超一途な男なのだ。

全身全霊でハリを守るテムの姿は、観る者の「白馬に乗った王子様願望」をガッツリ満たしたはずだし(少なくとも私は満たされた)、ハリ共々視聴者を夢見心地にさせた。

テムの、物語前半でツンデレの「ツン」の部分を思いっきり強調し、後半「デレ」を遺憾無く発揮する手法は、女心を掴む上では効果絶大。

その結果、視聴者はカン・テム演じるアン・ヒョソプにすっかり心奪われてしまうという流れ(私もガッツリ心奪われました)。


何はともあれ、視聴者が『社内お見合い』にハマる理由は、完璧な王子キャラへのときめき、そして、無駄をとことん省き、効率的に、期待されているもの(視聴者が観たいもの)だけをダイジェスト的に観せるテンポの良さにあるのだと思う。

ドタバタ系ラブコメ、侮れません。



3. 韓国ドラマ『社内お見合い』の感想

ハリとテムの恋愛模様はもちろんだが、サブラブライン、ヨンソ&ソンフンカップルの恋も爽快な展開だった。

特にヨンソのキャラがいい。
「こだわらない」「言いたいことをハッキリと言う」など、究極のサバサバ度に好感。
「庶民に馴染む財閥令嬢」という現実離れしたキャラクターも、逆に吹っ切れていてよかった。

また、テムの祖父を演じたイ・ドクファは、ヒョンビン主演のドラマ「ジキルとハイドに恋した私」で御曹司の厳格な父&会社会長として出演していたあの人だ。
言ってみれば、今回の役と同じ立ち位置なわけだけど、『社内お見合い』では愛すべきハラボジ。個人的には結構ツボだった。


そして、話題になったのEp 11のハリ&テムのベットシーン!
あーゆー大人なシーンは、それまでのコメディ要素満載の展開からは想像もしていなかったので、そのギャップがよかったと思う。

思わず「おぉ〜」と唸ってしまいましたよ。


ちなみに、ラストシーン。
こちらは、ドタバタ系ラブコメらしく、もう少し派手なハッピーエンドでもよかったと思う。
もしかすると、ここでも無駄を省略したのかもしれなけど。

まあ、確かに予定調和全開なのも興醒めだし、ダラダラしないラストも『社内お見合い』らしいのかもしれない。
12話という尺にスッと収まっているのもちょうどよかったし。


ともあれ、気軽に観れるし、気分は明るくなるし、アン・ヒョソプはカッコいいしで、いいことずくめ。


『社内お見合い』、オススメのドラマです。


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