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愛すべき女クク・ヨンスと『その年、私たちは』

『その年、私たちは』を完走。

がっつりチェ・ウンにハマった『その年、私たちは』。

その現象は、クク・ヨンスの存在なしには語れない。
なんと言っても、ヨンスがウンの魅力を引き出しているのは間違いないわけで。


ここでは、愛すべき「クク・ヨンス」を中心に、『その年、私たちは』について考察する。


1.高校時代のクク・ヨンスの愛おしさについて

キム・ダミ演じるクク・ヨンスは有能な女。
仕事ができるチーム長として活躍している。

一方で、性格がキツくて人を寄せ付けない雰囲気が漂う。「壁」があるというか。

それでも高校時代に比べたら随分と人間がまるくなった。つまり、高校時代の彼女のキャラクターは、29歳のヨンスとは段違いにドギツイのだ。

たとえば、授業中、空気読まずに教師に質問しまくるとか、ノートを見せて欲しいと擦り寄る友達の目の前で、そのノートを引きちぎって食べるとか。


そして、注目すべきはウンに対する態度。
成績学年ビリのウンを本気でバカにしている。
いや、軽蔑しているという言葉の方がピッタリとくるかも。

そして、その態度とは裏腹に、鈍臭いウンをからかうことに至上の喜びを感じている。

「このサイコ!〜」と、ウンに追っかけれ、廊下を走り抜く時のヨンスの生き生きした表情ときたら!


さて、どこからみても正反対で、絶対的に相容れないヨンスとウン。

にも関わらず、意外にもヨンスとウンは恋に落ちるのだ。
人は自分にないものを持つ相手に惹かれる生き物らしい。


が、それだけではないはずだ。
具体的には、ヨンスはウンのどこに惹かれたのだろう?


一言でいえば、ウンが(祖母以外で)初めて心を許せた相手だったから。


そしてもうひとつ。
撮影のために嫌々過ごしていたはずのウンが、思いの他「ラク」な相手だったからだ。

「ラク」とは、一緒にいてラク、本音をぶつけられるからラク、(ウンが)打たれ強いからラク、などなど。



さて、ヨンスが周囲の人とうまくいかない原因のひとつに、「心を閉ざしている」というのがある。また、素直になれない性格も、彼女の孤独を増幅させたはず。

そんな肩肘張って生きるヨンスにとって、のんびりダラダラ生きるウンの存在は、軽蔑半分、新鮮半分だったに違いない。

「好きだからイジメる」という男子のような振る舞いを繰り返すヨンスだが、からかわれてイチイチ反応するウンが面白いだけでなく、共に過ごす時間が絶対的に楽しかったはず。
おすまし顔の高校生のヨンスが、ウンといる時にだけ見せる笑顔がそれを物語っている。


にしても、そんなヨンスが本当に愛おしい。
素直じゃないけど、ひとたび心を許せば親身になって相手に尽くす。
そう、実はかわいい女なのだ。


「僕だけに見せる顔がある」

そう言ってニヤけるウンの気持ちがよくわかる。

いわゆるギャップ萌え。いやツンデレの勝利というべきか。


とにかく、ヨンスには憎いけど憎めない的な独特の魅力がある。

29歳になった彼女もヨイけれど、高校時代の凛とした美しさにこそ、強く、強く惹かれるのだ。


2.ヨンスとウンの「影」の程よさが、恋の「光」を際立たせる

ここで、ウンと別れるきっかけにもなった、クク家の苦境について考えてみる。

祖母と二人暮らしのヨンスの生活は、長きに渡り苦しかった。
親の不在もさることながら、苦しい家計事情は彼女の人格形成に大きな影響を与えただろう。また、しっかり者に育ったのも、この家庭環境が背景にあるのは間違いない。そして、究極のおばあちゃんっ子であるヨンスが心を許せるのは、ウンに出会うまでの長い間、祖母ひとりだけだった。


そんなヨンスが大学生の頃、更なる苦境に直面することになる。
それは「会ったこともない叔父」の借金を背負わなくてはならなかったこと。

劇中、祖母はなすすべもなく、ヨンスが全てを背負ってきたことが仄めかされ、彼女がひとり、必死で目の前の苦難を乗り切ってきたことが描かれる。


ところで、ウンの生い立ちもそうだけど、『その年、私たちは』の爽やかさには似つかわしくない重たい事情が彼らのキャラクターには内包されている。

でも、その「影」の部分があるからこそ、ヨンスとウンの恋がキラキラと光輝くのだと思う。そしてその「影」は、二人の「光」を侵食しない程度に程よく表現され、初夏を思わせる物語の「眩しさ」を損なうことなく描かれる。

そういう意味で、『その年、私たちは』はロマンティックコメディの見本的な作品だと言えるだろう。そして、その「影」を乗り越え、前に進む二人が描かれているからこそ、物語が心に染み入るのだ。


3.ウンの魅力を引き出した立役者こそがヨンス

チェ・ウンの最大の魅力とは「一途なこと」

ヨンスへの強い愛情と想いこそが、視聴者をときめかせる。
そして、それを引き出しているのはも、もちろん、ヒロインであるヨンス。


さて、ドラマで「一途であること」を表現するためには、「困難」や「障害」の存在が必須だ。
なぜなら、それらを乗り越え相手を想い続けることで、ようやく「一途認定」されるから。


ちなみに、ウンの直面した困難とは、ヨンスとの別れであり、コントロールできない自分の感情(ヨンスへの恨みや怒り)、そして自分一人で全てを抱え込もうとするヨンスそのものだ。

彼はその全てを乗り越えてみせた。
そして、女子が最もときめく、「良いところも悪いところもひっくりめて全てを愛してくれる男」をウンが体現している。


「ぼくには君が必要だー!」と、全身で表現するウンは、最も難関だった困難、ヨンスの閉ざされた心を開くことに成功した唯一の男なのだ

そしてそれはすなわち、ウンの最大の魅力である「一途」をヨンスが引き出したということでもあり、常にウンに試練を与え続けるヨンスの存在価値は大きいと言える。


ともあれ、再び付き合い始めた二人を観る時間は本当に至福だった。
ヨンスとウンのイチャイチャは、ずーっと観ていたくなる類の温かさがあって、視聴者を幸せにしてくれる質の高いイチャイチャ(そんなのあるのか?)だったと思う。


ヨンスとウンに癒された『その年、私たちは』。
それは、優しく、そして心地よい良質なドラマだ。


【関連記事1】ブログにも記事書いています。
『その年、私たちは』を、ウンの魅力、そしてウンとヨンスの関係性から考察しています。


【関連記事2】チェ・ウンの魅力について書いています。


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