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映画・ドラマのレビュー

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映画・ドラマ・ドキュメンタリーなど鑑賞した映像のレビューと、作品から感じたことを綴ります。(ネタバレあります)
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2021年1月の記事一覧

脚本は設計図 韓国ドラマ『シグナル』から学ぶ2つの世界の描き方

今年2作目の完走ドラマは「シグナル」。 日本バージョンではなくオリジナルである韓国バージョンを鑑賞。 「ハイエナ」のキム・ヘス繋がりで観始めたこの作品、刑事ドラマというカテゴリーでは収まらないヒューマンドラマだ。 このドラマは、過去と現在の刑事が謎の無線機を通じて交信し未解決事件を追うという設定で、彼らの行動によって過去や現在が変わって行く複雑な構成を見事に描き切っている。 2つの世界を描くドラマは多々あるがこの作品は秀逸。 そして脚本を勉強する身としては学ぶことが多か

40歳、迷走の先には光が見える 『チャンシルさんには福が多いね』

絶対観ようと心に決めていた作品「チャンシルさんには福が多いね」。 なんだかめでたいタイトルも気に入った。 この物語の主人公であるチャンシルさんは、映画プロデューサーとして仕事に人生を捧げてき40歳、独身、恋人なしの中年女。 ある日、一緒に仕事をしていきた監督が急死し突然失業することに。 それだけではない。自分は映画製作に欠かせない重要な役割を担ってきたと自負していたのに、他人の評価はそうでないことを知りショックを受ける。 おまけに生活苦。 仕方なく、妹のように可愛がっ

「伝えたい」という想いの強さに圧倒される 映画『えんとつ町のプペル』

えんとつ町のプペルを観た。 自分でも驚いたことに、泣いた。 鑑賞前からストーリーは想像できたので泣くことはあるまいと思っていたが、鑑賞しながら自然と涙が流れた。 その理由のひとつが「伝えたい」という制作側の想いの強さに圧倒されたから。 その辺りのことを含め、「えんとつ町のプペル」の感想を綴っておきたいと思う。 1. 「出る杭」がそうでない人たちを味方につけるまで絵本が原作だけあって、ストーリーは非常にわかりやすい。 ルビッチ少年が、バカにされても自分の信念を曲げず、

『ハイエナ 弁護士たちの生存ゲーム』 からみる甘くない大人の恋

正月明け最初の三連休は巣篭もりと決め込み、Netflixで韓国ドラマ「ハイエナ ー弁護士たちの生存ゲームー」を完走。今年初完走の連ドラだ。 ところで、韓国ドラマは序盤退屈なことが少なくないが、このドラマは第1話からグイグイくる。あっという間に物語に引き込まれ、あっという間に観終えてしまった。 とにかく、続きがすぐに観たくなるやつ。 何と言っても登場人物のキャラクターとキャストがヨイのだ。 このドラマの主役の一人チョン・グムジャを演じるのはキム・ヘス。 たとえ法を犯そうと

『逃げ恥』から考える、価値観の変化と多様性が導く先

2021年初記事は「日本ドラマ」レビューから。 今日は朝から(TVerで)「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル」を鑑賞。 久々に「ほのぼの丁寧語カップル」平匡さんとみくりに会えて嬉しかったのはもちろん、社会における課題あれこれ、価値観の変化・多様性といった時代性のあるトッピクも盛り込まれていて、興味深く鑑賞した。 さて、盛り込まれていたトピックはおおよそ以下のとおり(自己分類)。 ◼︎妊娠・出産 ◼︎夫婦の家事分担 ◼︎初めての子育て →永遠の